トレンドコラム

技術解説

SEAGATE EXOS X 2U24 Raid Array Storage Systemのハンズオンから導入まで

2024.07.11

NTTPC サーバーエンジニア

サーバーエンジニア
力石 誠也

GPUエンジニア 石渡 巧

GPUエンジニア
石渡 巧

SEAGATE EXOS X 2U24 Raid Array Storage Systemのハンズオンから導入まで

はじめに

今回、日ごろからお付き合いのあるお客さまにシーゲイトのストレージを導入する機会に恵まれました。実は我々のチームでは、シーゲイトのストレージをお客さまに提案するのも、設計・構築するのも初めての経験でした。そこでシーゲイト製品への理解を深めるため、天王洲アイルにあるシーゲイトさまオフィスにてハンズオン講習を受講し、シーゲイト認定資格を取得しました!
本コラムでは、シーゲイト製品を選定した理由から、上記のハンズオン~資格取得の流れ、実際の設計・構築手順まで、一連の過程をご紹介します。

なぜシーゲイト製品を選択したか

今回のお客さまからは、事前に次のような具体的なご要望をいただいていました。

【お客さま要望】

  • vSphere環境のNFSデータストアとして使用したい。
  • 既設のファイルサーバでトラブル(OS都合でのトラブルやディスク障害)が続いており、業務に支障が出ている。そのため、保守サポートが手厚いものを使いたい。
  • コマンドラインで管理ができる人員が不足しているので、できればローカライズされたGUIでオペレーションを行いたい。メンテナンス性や使い勝手を重要視している。

通常、当社がクラウドサービスの基盤やHPC系案件で導入するストレージは、大容量(500TB~数PB)かつハイエンド製品が多く、それ故にメーカーが設計、構築、保守までをシームレスに行うケースが多かったのですが、今回のお客さまの要望は、容量はそこまで多くはなく、リーズナブルで安定したストレージを望まれていました。

そこで、お客さま・当社・シーゲイト社の3社で打合せを行い、運用管理の具体的な方法や構築プロセス、必要とするスペックについて改めて確認しました。結果、今回の要件のポイントである「管理の容易さ」、「構築のシンプルさ」を満たせる点を特に評価いただき、シーゲイト製品を選定いただくことができました。

ハンズオントレーニング

お客さまへシーゲイト製品を納品するにあたり、事前に天王洲アイルにあるシーゲイトさんのラボにお邪魔して、パートナー向けハンズオントレーニングを受講しました。本項ではその様子をレポートします。

ハンズオンでは実際の検証機を用いて、物理的な設置方法(ラックマウント、マウント後の取り付け)、電源ON、初期インストールまでを一気通貫で学習することができました。また、故障時を想定した機器交換手順についてもパーツ毎にレクチャー頂きました。

その後、座学パートとして、日本シーゲイト株式会社 営業技術部長 兼主幹技師の岩田様に、改めて各種最新製品の特徴や用途について説明して頂きました。シーゲイトは様々なニーズに対応する製品を展開しており、ディスクやコントローラのラインナップも多岐に渡ります。

機能の特徴は大きく2つあります。1つ目は「RAIDの再構築時間を1時間以内に抑えて可用性を向上」できるRAID ADAPTです。これはシーゲイト独自の技術で、ダブルパリティと分散されたホットスペア領域により、データ保護の信頼性を高め、復旧時間を大幅に短くすることができる技術です。学習データの保護やダウンタイムの短縮が必要なAI演算用途にてうってつけの機能だと感じました。

2つ目は「HDDの故障・廃棄を大幅に減らす自己修復機能」=ADRです。これはHDDのプラッタやヘッドに不具合が発生した場合、その部分のみを無効にして、残りの正常な部分を継続して使用することができるもので、これもシーゲイト独自のテクノロジーです。これら2つの独自技術についても、実際にハンズオンを行い体感することができました。

認定資格取得

オンサイトでのハンズオントレーニングを受けた後、シーゲイトの認定試験にチャレンジしました。試験はシーゲイトの製品や技術に関する知識や理解度を評価するもので、モジュールごとに学習動画が用意されており、動画を拝聴した後に、各モジュール毎の確認試験を受験する流れで進みます。
その後、全ユニットから満遍なく出題される最終試験に合格すると、「Seagate認定フィールド・エンジニア」に認定されます。最初の試験では、まだ理解が不十分だったため、合格することができませんでした……。しかし、受験回数に縛りはなく、何度も受験可能なので、その後も継続的に学習を続け、何度か試験を受け直し無事合格に至りました。忙しいエンジニアでも、自分のペースで学習を進められるのでお勧めの資格です。

認定資格取得に向けた学習を通して、シーゲイトの製品や技術に関する幅広い知識を習得しました。エンジニアとして、製品の概要や特徴、適切な運用方法、トラブルシューティング手法などについて体系的に学ぶとともに、実際のシーゲイト製品を操作する機会にも恵まれました。これにより、理論だけでなく実践的なスキルも身につけることができ、自信を持って顧客や同僚にアドバイスやサポートを提供することができるようになりました。

設計・構築

今回お客さまへ導入する製品はこちらです。

■Seagate EXOS X 2U24, Raid Array StorageSystem

構成
 SSD (for Data) :3.84TB SAS SSD, 12G ※RAID ADAPT(実効:約43TB) 16基
 NIC :10GBase-T iSCSI 2ポート

今回のお客さま用途はVMWareのデータストア用のボリュームということで、VMサーバー側からiSCSIでマウントする構成でご提案しました。
※写真ではネットワークアダプタはSFP+ですが、今回はRJ45の10GBase-Tを選択しました。
シーゲイトのストレージシステムは、用途に応じて、iSCSI/FC/SASのインターフェース製品を選択する事が可能です。

それではさっそく、ハンズオンで実施した内容通りインストールウィザードで設定をすすめましょう。ログインからダッシュボード画面まではまったくもたつくことなく、ものの数分で表示できました。

UIは日本語対応されており非常にわかりやすく、画面左のメニューツリーから各種設定が行えます。
ダッシュボード画面では、アクティビティ欄で現在のステータスを可視化できるため、何か問題が発生したりアクションを行う必要がある場合はひと目でわかるようになっています。

今回はプロビジョニング設定からボリュームの作成と、Windowsテスト機からiSCSIイニシエーターで実際にマウントするところまでを実施しました。


ボリュームの作成画面

設定したストレージプールA(今回はディスクの本数の仕様上プールが1つ)に、VMデータストア用のボリュームを1つ最大容量で作成しました。


プロビジョニング設定画面

次にプロビジョニング設定の「ホスト」から、接続したWindowsOSにマウント設定を紐づけます。

WindowsのiSCSIイニシエーターで接続した後は、「ディスクの管理」からディスクの再スキャンを行う事でマウントしたボリュームが表示されるようになります。

起動からここまでの作業を完了するまで、わずか20分程度でした。

マニュアルがなくとも、インストールウィザードに沿って進めるだけで簡単に設定できますが、より複雑な設定をしたい場合は日本語でのマニュアルがPDFで用意されているのでユーザーにとってかなり操作性が高く、初めての方でも扱いやすい製品であるといえます。

感想

シーゲイトのハードディスクといえば、世間一般ではコンシューマ(家庭)向けのイメージが強いと思いますが、テクノロジーは常に先端を進んでおりエンタープライズ用のハードディスクも容量/プラッタの進歩も業界ではいち早く手掛けています。シーゲイトは長年にわたりストレージ市場で確固たる地位を築いており、独自の耐障害性、拡張性といった強みを備えたハードディスク、それらを一つのシステムとしたブロックストレージを武器に、大規模ストレージ分野でいま大きく発展しているメーカーだと感じました。
ユーザー目線に立った場合でも、機能性や操作性が日本人向けに最適化されており、非常にわかりやすい点が大きな魅力です。そのため、多くの方に自信を持っておすすめできる製品です。
最後に、今回お客さまへの説明と講師を担当して頂きました、日本シーゲイト株式会社 営業技術部 部長(主幹技師) 岩田 太郎様よりコメントを頂いておりますので紹介します。

■日本シーゲイト株式会社 岩田様より

「今回ご参加して頂いた方々には、ラッキングから初期設定、トラブルシューティングまで全てを習得頂きました。
安心してお客さまのご紹介や、協業を進める事が出来て、シーゲイトとしても大変有難いです。
NTTPCコミュニケーションズ様の持つAIトータルソリューションを支える基盤の1ピースとなれると信じています。」