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【イベントレポート】GPUエンジニアが見るTOKYO GAME SHOW2023

2023.11.15

GPUエンジニア 岡本 茄生

GPUエンジニア
岡本 茄生

入社二年目の岡本茄生です。普段はインフラエンジニアとして、GPUサーバの構築・設置などの業務を行っています。

2023年9月21日~24日にかけて、幕張メッセにてTOKYO GAME SHOW2023(以下TGS)が開催されました。
最新ゲーミングGPUのトレンドやゲーム業界でのAIの活用事例を探るため、 私も現地で参加してきましたのでレポートします!


TOKYO GAME SHOW2023 入口付近

TGSとは?

TGSとは、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会が主催する日本最大のゲーム・エンターテインメントの展示会です。年に1回開催されています。
ゲーム関連会社がブース出展したり、ゲームの試遊会が開かれたり基調講演が行われます。新作ゲーム・開発中のゲームを試遊できる場でもありますね。ビジネスマンや一般の方、大人から子供まで楽しめるゲームイベントです。

開催期間2023年9月21日~24日のうち、9月21日~22日は企業向けの「ビジネスデイ」、9月23日~24日が「一般公開日」です。私はビジネスデイと一般公開の両方を体験したかったので、21~23日の3日間に参加しました。


↑ASUS ROGのブースの様子

↑Intelブースに設置されていたSONICモデルゲーミングPC

私がGPUエンジニアとしての業務で扱っているのは主にNVIDIA製のGPUですが、TGSではIntel製GPUを複数種類目にする機会に恵まれ、ゲーム向けGPUとして満足できるゲーム体験ができることを実感し、コンシューマ向けGPUの選択肢として新たな可能性を感じました。
ノートPCにIntel製GPUを導入したものが多く展示されていました。しばらくはノートPCに搭載されたGPUとして目にする機会が増えていくかもしれません。
将来的にはコンシューマ向けGPUではNVIDIA / Intel / AMDの三つ巴の戦いが繰り広げられそうです。

ゲーム業界で取り入れられつつあるAI

IT業界全体で多く取り上げられる「AI」というワードは、ゲーム業界でもバズワードとしてトレンドになっているなと感じました。
画像認識によりでゲームのテスト・デバッグを自動で行うAIを紹介しているブースでは、いわゆる「音ゲー」がAIによって完全自動でクリアされていく様子が展示されていました。

また、「生成AIはゲーム開発をどう変えるのか」というテーマの基調講演にも参加しました。
スクウェア・エニックスやバンダイナムコスタジオ、ゲームフリーク、Cygamesの技術者・研究者が登壇し、各社での生成AIの活用例や取り組みの説明からゲーム開発における生成AIのあり方の変化について議論する内容でした。

講演では、生成AIとは?という基本的な説明から、活用されている生成AIの種類やディープニュートラルネットワーク(DNN)・強化学習(PCGRL)・自然言語処理(NLP)・これまで使用されてきた生成アルゴリズムのPCGとの違いを、以下のような事例を踏まえて説明されていました。

【ゲーム開発におけるAI活用事例】

  • 写真を入力されたタッチの絵画風に出力するスタイルトランスファー
  • ゲーム内の主人公が絵画を描いたり、テーマソングをアレンジしたりする生成AI
  • ダンジョンの構造等ではなく、ゲームデザイナーの制作過程を学習するAI
  • ゲームのストーリー進行に自然言語モデルを活用した会話生成AIを活用した取り組み

ゲーム開発で使用されるAIには、GPTをはじめとした大規模言語モデル(LLM)を搭載するケースが増えているということです。これにより複雑な文章をAIが処理することができるようになり、これまでのAIでは困難であった文章の誤字チェックなどが容易にできるようになったという説明もありました。

同講演内でバンダイナムコさんからはGPTの活用事例も2つ講演されていました。

① 文章生成・誤字脱字チェック

GPTの大規模学習により、0から複雑な指示を書かずとも、単語だけ与えれば自然な文章へ修正できるということでした。

② Q&Aボット

大量の開発ドキュメントを瞬時に検索するためのQ&Aボットも実装されていました。すでに各社から自然なQ&Aボットがリリースされているため、将来的には一般的なものへとなっていくのかもしれません。

講演全体を通して、生成AIがこれからゲーム開発に多くの影響を与えることが実施事例などを通して理解しやすいものとなっていました。これから生み出されていくゲームにはどのような生成AIが使用されているのかということにも着目していきたくなる内容でした。

TGS2023 会場の雰囲気

TGS2023はビジネスDAYにおいても多くの人に賑わっており、各ブースでトークイベントやゲームの大会が開かれています。プロゲーマーやインフルエンサーの方も多く来場していました。

ゲームショウというだけあって多くの人の目的は新作ゲームの発表・試遊や物販でもありますが、ビジネスDAYではビジネス商談のコーナーが設けられており、多くの人が集まっていました。ビジネスコーナーでのトレンドはやはりAIだったように感じました。AIを活用した開発環境のソフトウェア・デバイスなど多くのモノが紹介されていました。

今回のTGS2023は会場の規模が過去最大の規模となっており、会場全体を歩き回るのには一苦労する広さになっていました。
そんな大規模な会場を活かしたスタンプラリーも多く見受けられました。
多くの人でにぎわっていた会場ですが、新作ゲームの試遊には300分待ちになっている待機列や事前登録制の試遊コーナーもありました。

TGSに・・・家具?

ゲームだけではなくゲームをプレイする環境も新しくなっているとのことで、デスクやチェアだけではなく防音室なども大きなスペースで展示されていました。


ニトリの展示

CORSAIRの展示 実はこのモニター、手で湾曲させられます!

携帯機器

ゲームデバイスとしては、小型化されたゲーミングPCともいえるポータブルデバイスが各メーカーから展開されていました。


ONE X PLAYER

イベントならではのVRゲーム

VRゲームというと自身の体を動かして操作することから、自宅では大きなスペースを確保できないといった問題を抱えがちでなかなか手が出ない人も多い印象がありますが、TGSでは広々としたスペースで思いっきり遊べます!

VRコーナーでは自分が歩くことで移動操作を行える歩行型VRデバイスKATVRも展示されており、実際に触ってみたいということで多くの人が集まっていました。


歩行型VRデバイス「KATVR」

今回のTGS2023は、ゲームの進化と最新技術をたくさん知ることができるイベントでした。