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アジア最大のIT展示会『COMPUTEX TAIPEI 2019』に行ってきた!

2019.08.00

営業本部 GPUセールス&マーケティング担当 亀谷 淑恵

営業本部
GPUセールス&マーケティング担当
亀谷 淑恵

今年も、アジア最大のIT総合展示会『COMPUTEX TAIPEI』(以降、COMPUTEX)が開催されました。同時開催の『InnoVEX』(スタートアップ企業によるピッチコンテスト)の模様とあわせて、AI・GPU・エッジコンピューティングなどに関するホットな情報をお届けします!
※別会場で行われた『5G Summit』のレポートは後日掲載します。

今年のCOMPUTEXの主な展示テーマは、「IoT」「AI」「ゲーミングPC」「モバイル(5G含む)」「ハードウェア(主にサーバー、GPU)」などなど。さらに、AIとIoTを組み合わせた「AIoT」という新たなキーワードも強く打ち出されていました。工場や物流システムなど現場でのIoT活用は進んでいるものの、AIを使った業務改革を実現できている企業はまだ多くないため、両者を組み合わせることでビジネスチャンスを生み出そうという動きが感じられました。
たとえば、ゲーミングPC、マザーボードで有名なGIGABYTE社は「Smart Agriculture」として、農場に設置したセンサーで気温や光度、土の水分量を測定し、AIが作物にとって適切な環境を保つソリューションを展示していました。

また、多くの企業がNVIDIAのGPU(GeForce、Tesla)やAMDのRyzenを組み込んだサーバーやゲーミングPCを出展しており、軒並み人だかりができていました。

今回気づいたことは、AMDやIntelはブースは設けておらず、新型CPUを活用するソリューションパートナーの紹介をメインとしていたことです。NVIDIAに至っては、同社のパートナーであるGIGABYTEやmsi、ZOTAC GAMINGなどと合同でスタンプラリーを実施し、RTX2080TiのFounders Editionがもらえるといったキャンペーンをやっていました。CPU / GPUチップは利用者が特段意識することなく組み込まれているものなので、製品自体をアピールするよりも、自社製品を使ってソリューションを開発しているパートナーを推す方針のように見受けられました。


NVIDIA スタンプラリーカード

また、Intelは基調講演で第10世代CPU「Icelake」の概要を正式に発表しました。競うように、AMDも7nmプロセスの新アーキテクチャ「Zen 2」を発表し、プロセッサー市場は今後も開発競争が続きそうです。

なお、SupermicroはCOMPUTEX会期中に台北市内でプライベートセミナーを開催していました。その内容は後日掲載します。

IoTはすでに普及期に入り、産業分野向けの具体的なユースケースが多く展示されていました。

中でも、産業用イーサネットのリーディングカンパニーであるVOLKTEKは、貨物船や海洋上の拠点にLTEルータを設置し、港から船舶の運行状況や各種センサー情報をモニタリングできるツールを展示していました。将来的には5Gにも対応予定のようです。2020年の5G商用化後は、大容量・低遅延・省電力通信を活かし、IoT技術のさらなる進歩が期待できそうです。

2日目は『InnoVEX』に参加。台湾スタートアップ企業のピッチコンテストや展示を視察しました。

こちらは分野やターゲット層もさまざまですが、ほとんどの企業でAIやエッジコンピューティング技術が活用されていました。各社それぞれの研究に誇りを持ち、目を輝かせながら熱く解説してくれました。気になったブースの一部をご紹介します。

OmniEyes

街中に設置されたライブカメラからの映像や、交通システムの情報を収集し、AIを使ってデジタル化・統計分析・位置情報への変換を行うことでスマートシティの実現を目指すスタートアップです。エッジコンピューティングを採用することでネットワークの負荷を軽減しており、すでに台北市内で実用化されているようです。ピッチコンテストにてAWS Joint Innovation Center Awardに輝きました。

ubiik

説明員1~2名の小さなブースを構える出展社が多い中、比較的大きなスペースに出展し、来場者の注目を集めていたubiik社。LPWANの「Weightless」業界では有名で、Weightlessデバイスモジュールと基地局を開発・製造しています。
屋内では400m、屋外であればなんと2km半径での通信が可能で、スマートメーターや農業、駐車場、工場などでの導入実績があるとのことです。COMPUTEXのBest Choice Awardを受賞しました。

otomo

InnoVEXでは珍しい日本のスタートアップ企業です。日本を訪れる外国人旅行客に対し、おすすめのツアープランを提案したり、日本在住のイングリッシュスピーカーを旅行ガイドとしてマッチングさせるプライベートツアーサービスを展開しています。
また、宿泊事業者向けには、外国人旅行客とのコミュニケーションを円滑にするためのAIコンシェルジュサービスを提供しています。周辺情報を英語で発信したり、アンケート情報の集計、さらには家電操作までAIがサポートしてくれるとのことです。旅行者の“Travel Experience (旅行体験) ”をより豊かなものにすることを目指しています。

adok

壁やテーブル、地面など、どんな場所でもタッチスクリーンに変換することができるスマートプロジェクターを開発するパリの企業。さらにタイマー機能や投票機能を設け、会議の短時間化に取り組んでいます。うちの会社にも一つほしい・・・。

主催者発表によると、今年のCOMPUTEXは過去最多となる42,495名(主催者発表)の海外バイヤーが参加。InnoVEXも昨年度3%増となる18,251名が訪れ、AI、5G、エッジコンピューティングなど新技術への期待が感じられました。当社も引き続き世界の潮流をウォッチしていきたいと思います。