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駆け出し奮闘記Vol.2
~人工知能は人間になれる?~

2018.07.18

営業本部 GPUセールス&マーケティング担当 亀谷 淑恵

営業本部
GPUセールス&マーケティング担当
亀谷 淑恵

さる6/13 ( 水 ) ~15 ( 金 ) にかけて、幕張メッセでInterop Tokyo(https://www.interop.jp/)が開催されました。数年前から、AIをテーマとした展示会やセミナーが増えてきているように思います。今回のInteropでも、AIを活用した業務効率化ソリューションやAIアナウンサーなど、さまざまなサービスが出展されていました。
わたしが聴講したとあるセミナーでは「汎用型人工知能」という言葉が登場しました。汎用型人工知能とはどのようなものでしょうか?なんとなく革新的な技術というイメージがありますが・・・

汎用型人工知能とは?

汎用型人工知能 ( AGI ) の定義はさまざまありますが、「人間が子供から大人に成長するように、自分自身で学習し、トライ&エラーを繰り返しながら成長することができる人工知能」が共通認識となっているようです。

残念ながら、現時点 ( 2018年7月 ) ではまだ完成しておらず、どのようにすれば開発できるのか?そもそも実現可能なのか?について議論が進められています。つまり、現在発表されている人工知能はすべて「特化型人工知能」なんですね。

みなさんはHondaのASIMO®に会ったことはありますか? ( まだ会っていない方 > お台場にいるのでぜひご覧になってください ) ASIMO®は、人間とさまざまな会話を交わし、人間と同じような動作をすることができるため、汎用型人工知能に近いようにみえます。しかし、人間とのコミュニケーション用途に特化しており、それ以外の知識を自律的に学習することはできないため、特化型人工知能の一種とされています。いったい汎用型人工知能はどんなものになるのでしょうか・・・?

汎用型人工知能について考えるためのファーストステップとして、実現するための有力技術といわれているディープラーニングの仕組みや特化型人工知能と汎用型人工知能について調査していきます!

ディープラーニングについてはVol.1で触れました。具体的な仕組みについて詳しく書くと長くなりすぎるのですが、一言で表すと「人間の脳神経回路をアルゴリズム化」する技術が用いられているようです。

そもそも、人間がものを考えるときに脳がどのように活動しているのか、想像もつきません ( 生物の授業で少し習ったような・・・ ) が、もし人工知能が人間の脳を完璧に模倣することができれば、人間と変わらない知能を獲得できるのかもしれませんね。

特化型人工知能と汎用型人工知能

冒頭で汎用型人工知能と特化型人工知能について触れましたが、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか?

特化型人工知能 ( Narrow AI )

専門的な分野に限定すれば、人間を超える能力を持つ人工知能も登場しています。囲碁や将棋、画像認識などがその例です。コンピュータは人間のように休息を取ったり感情的になることはないため、常に安定した成果を発揮できます。

とはいえ、人間がやらないと意味がないサービスや、人の手をかけることでより価値が上がる分野もあると思います。
例えばお笑い。実際に、過去の統計データからパターン解析し、万人ウケするネタや賞レース向きなネタを考えるAIが開発されているそうですが、お笑いってそういうものじゃないと思いませんか?絶妙な間だったり、シュールだったり、リアクションだったり・・・こうした芸は人間ならではのものですよね ( 笑 )

また、食べ物や料理に関しても、人工知能では代替できない領域があると思います。みなさんは、天然モノと養殖、どちらのお魚がお好きですか?
現在流通している多くのお魚は養殖で、生育環境を厳密に管理されています。もちろん安定供給という大きなメリットはありますが、一般的に天然もののほうが価値は高く、味も美味しいように感じます ( もちろん私は天然モノが好きです ) 。

また、料理人顔負けの腕を披露するお料理AIロボットも開発されているようですが、みなさんはどう思われますか?どんなお料理でも、人の熟練の技や手のぬくもり、気持ちのこもった手作りのほうが美味しそうですね。

汎用型人工知能 ( Artificial General Intelligence )

先述の通りまだ研究段階ですが、完成までにはいくつものブレークスルーが必要といわれています。たとえば、われわれ人間は五感から得た情報+過去の経験をもとに、瞬時に考えて行動を起こすことができますが、現在のロボットに搭載されている人工知能では、複数のデバイスからの異なる入力値を瞬間的にマージ、処理し、出力することはできません。

また、人間なら当たり前にもっている「感情」や「意識」を人工知能が獲得するのは難しそうですね。一見自らの意思や感情を持っているように見えても、プログラムによって人の感情的行動を真似しているだけだったり、予め登録されたルールから善悪の判断をしているだけでは、本来の意味での汎用型人工知能とはいえませんよね。

とはいえ、いつか人工知能に感情が芽生える時がきたら・・・ワクワク感もありますが、ちょっと怖い気もします。

汎用型人工知能の見た目を考える

ところで、汎用型人工知能はどんな見た目になると思いますか?

おそらく多くの方がPepperのようなヒト型ロボットを想像されたのではないでしょうか。しかし現在のロボティクス技術では、人間に近い形のロボットは作れるものの、人間の持つ身体機能を網羅したロボットを作るのは難しいと言われています。最低限のコミュニケーションを図るための手足や、なんらかの音を出せる機構は必要だと思いますが、私は必ずしもヒト型である必要はないと思っています。

例えば鳥のように自由に空を飛べたり、カエルや魚のように水中で行動できたり、または四足歩行で悪路でもバランスを崩さず活動できれば、活用シーンが広がりますね。
また、ドラえもんの足は常に地面から3mm浮いているそうです ( アニメ放送時に寄せられたクレームに対応するための後付け設定だそうです ) ・・・!どういう仕組みかまったくわかりませんが ( 笑 ) 、人間にはないこんな便利機能があってもいいですね!みなさんはどう思われますか?