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「InnovationLAB MeetUp #1」を開催しました!
~ 新たなビジネス開発に向けたコラボレーションを ~

2020.03.12

InnovationLAB MeetUp とは

NTTPCでは、AI/IoT事業者との技術・マーケティング両面での協業を企図した「Innovation LAB」を主宰しています。高い技術優位性をもつスタートアップ企業とのビジネスコラボレーションを通じて、新規事業立ち上げや既存事業改革を目指す企業におけるAI/IoT導入を積極的に推進しています。

今回、パートナーさまにさらなるアイディア創出やビジネスコラボレーションを図ってもらいたいとの考えのもと、2020年2月7日(金)にTHE CORE KITCHEN/SPACE(西新橋)にて「InnovationLAB MeetUp #1」を開催し、AIサービス事業者・AI / IoT関連サービスの導入を検討されている企業さまや学術研究機関の方々などをお招きしました。

週末の夕方からということもあり、リラックスした雰囲気でMeetUpイベントはスタート。最初に弊社代表取締役社長の田中基夫が、「本日は美味しいクラフトビールや料理を楽しみながら、リラックスした雰囲気でさまざまな企業の方とコミュニケーションいただき、新しいビジネスチャンスやアイディアへと繋いでいただければ嬉しく思います」と、開会の挨拶を述べました。

AI/IoTパートナーによるプレゼンテーション

続いて、AIパートナー6社から、それぞれの企業の概要や技術的なポイントのプレゼンテーションがありました。概要は次のとおりです(発表順)。

ニューラルポケット株式会社
取締役CTO(最高技術責任者)
佐々木 雄一 さま

「2018年に創業したニューラルポケットは、画像系AIを中心に、(1) インターネット上の画像を元にしたファッションの動向分析、(2) スマートフォン用ドライブレコーダー・アプリ『スマートくん』、(3) 通行者の属性を認識するカメラ付きデジタルサイネージ・システム、および、(4) スマートシティ関連技術の四つの事業を進めています。『AIエンジニアリングで未来の社会を形にする』をミッションに、開発や実装にとどまらず、ビジネスのアイディア創出、マネタイズ、運用までトータルで提供することを心がけています。」

株式会社Laboro.AI(ラボロ エーアイ)
代表取締役CEO
椎橋 徹夫 さま

「当社はオーダーメイドによる『カスタムAI』の開発・提供を行うスペシャリスト集団で、画像認識、音声認識、行動予測、故障予測をはじめ、機械学習技術が得意とする「認識」と「予測」の領域を中心に、あらゆるAIソリューションをさまざまな業界に提供しています。強化学習を応用した建物の制振制御を大林組と、人間の感情推定技術の研究をOKIと進めるなど、いろいろな領域を扱っていますが、共通しているコンセプトは『テクノロジーとビジネスを、つなぐ』ことです。エンジニアリング領域とビジネス実装領域の両輪を得意としていますので、AIの応用に関してぜひご相談ください。」

Hmcomm(エイチエムコム)株式会社
代表取締役CEO
三本 幸司 さま

「Hmcommは、産総研(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)発のベンチャー企業として、音から価値を生み出し革新的なサービスに結び付けて社会に貢献することを理念に、音声処理技術の研究・開発、およびソリューション・サービスの提供を行っています。コンタクトセンター向けの音声テキスト化ソリューションなどの『音のソリューションVシリーズ』と、自動車、電車、畜産、機械設備などを対象に音から異常を検知する『FAST-D』シリーズが主なプロダクトで、後者はInnovationLABを利用して実証を進めています。」

DATUM STUDIO(データムスタジオ)株式会社
パートナーアライアンス部 部長
秋山 泉 さま

「DATUM STUDIOは、AI、統計、数理最適化などの手法を使いながら、分析を通じてお客のさまざまな課題を解決する会社です。関連会社を含めおよそ120名のデータサイエンティストを擁しているのが強みで、インフラの構築に詳しいスタッフも在籍しています。数値予測、言語処理、画像解析、マーケティング分析、AI自動文章校正ツール、広告効果最適化ツール『D-Reg』、類義語辞書自動作成ツール『D-Syno』などの機能やプロダクトを提供してきました。データ分析でこんなことができませんか?というお客さまのご相談に的確にお応えします。」

株式会社ALBERT(アルベルト)
セールスマーケティング部 セクションマネージャー
中野 和俊 さま

「ALBERTはお客さまの課題をオーダーメイドのAIで解決する会社です。各分野のリーディングカンパニーである、トヨタ自動車、東京海上日動火災保険、KDDI、三井住友フィナンシャルグループ、マクニカ、日本ユニシスなど、さまざまな企業に当社の技術を提供しています。AI・分析プロジェクトの開発、データサイエンティストの育成支援のほか、高性能チャットボットサービス『スグレス』と画像認識サービス『タクミノメ』というふたつのプロダクトが主な事業です。GPUサーバーを利用できるInnovationLABをいつも活用させていただいています。」

株式会社 トリプルアイズ
AIコーディネーター
浅妻 龍弥 さま

「当社はシステム開発事業のほか、顔認証技術や囲碁AIエンジンの提供などを行っています。このうち囲碁AIは、直近の世界大会で2位、国内大会で1位になった実績があり、市販のパソコン用囲碁ソフトに採用されました。顔認証を可能にする画像認識プラットフォーム・AIZE(アイズ)は、マスクやメガネを着用していても認識精度が低下しないという特長があり、来店分析や防犯、社員の入退室管理などの目的で多くの店舗に導入されています。またAIZEは、ヤマダ電機の顔決済アプリ「ヤマダpay」にも導入されました。いずれ顔がIDになってパスワードなどを必要としない社会が到来するでしょう。」

ご登壇くださった6社の皆さま、ありがとうございました。

Society 5.0時代のスマートシティとは

歓談の時間を挟んで、イベントの後半に2つのテーマでパネルディスカッションを行いました。最初のテーマは「Society 5.0時代のスマートシティ実現に向けて」です。ニューラルポケットの佐々木雄一さまと、OKIでAIエッジコンピューティングを推進されているIoTプラットフォーム事業部の島田貴光さまをパネラーにお迎えし、モデレーターは弊社サービスクリエーション本部長の三澤 響が務めました。

ちなみに、テーマに掲げたSociety 5.0は、内閣府が定めた科学技術政策によると、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されています。
三澤から、「人間中心の新たな社会を作ろうというSociety 5.0のもと、『スマートシティ』としてどういった社会や街を思い描きますか? また、スマートシティを発展させていく課題をどう捉えていますか?」との問いが、パネラーのお二人に投げかけられました。

佐々木さまは「Society 5.0やスマートシティといった言葉はあっても、実像はなかなか掴みづらい。ただし、AI企業やインフラベンダーだけではスマートシティは実現できないことは確実で、オーケストレーション(旗振り)役の誰かが必要」と指摘。そのうえで、「多くのプレーヤーが目標を共有していくためにも、InnovationLABや今日のMeetupイベントのように、いろいろな人が集まる場こそがオーケストレーションの出発点になるのではないか」とコメントを頂戴しました。

OKIの島田さまからは、「AIの技術進化を人々の幸福につなげていくためには、AIの限界を正しく理解し、正しく使うことが重要」と指摘がありました。Society 5.0やスマートシティの実現に向けた具体的な取り組みとして、「モビリティ分野では、高齢者の移動手段の確保や事故と渋滞の低減にAIを活用したり、製造業や農業などでは労働力不足にいかに貢献できるかが鍵になる」と説明。実際にOKIさまでは、店舗窓口の省人化を実現する端末、道路管制システム、海洋での密猟や土木インフラの監視、ロボティクスなど、さまざまな取り組みを進めているそうです。

スマートファクトリーのリアルと未来

続くパネルディスカッションは「スマートファクトリーのリアルと未来」をテーマに、ALBERTの中野和俊さまと、AI / IoTを活用したスマートファクトリー化の促進を目的にALBERTさまと資本業務提携をされたマクニカのソリューション事業部長である阿部幸太さまにパネラーをお願いしました。モデレーターは弊社InnovationLABプロジェクトリーダーの庄司洋一郎が務めました。

はじめに庄司から、「ITを活用したスマートファクトリー自体は10年ぐらい前から提唱されてきましたが、今なぜ必要で、実現のための課題はどこにあると考えていますか?」との問題が提起されました。

中野さまは、「製造業がデジタルトランスフォーメーションを目指すのは二つ理由がある。ひとつは労働力不足で、自動化を進めていかないと人が足りない事態になっている。もうひとつは2012年に機械学習技術にブレークスルーが起きてディープラーニングが実用化されたこと。それまで不可能だった認識などが可能になったため、そうした技術を活用しようという機運が高まっている」と説明。一方で、「画像やセンサーなどでさまざまなデータが集まるようになったが、実際はダーティなデータが大半で、そのままでは利用できない。簡単に扱えるデータは存在しない」とのご指摘もありました。

阿部さまは「ここ5年ぐらいで200件ほどのスマートファクトリー案件をお手伝いしてきたが、改革に本気のお客さまと本気で付き合うことが、すべての成功の鍵」とコメント。ある制御機器メーカーが生産ライン制御をPLCベースから自由度の高いパソコンベースに置き換えた例や、半導体関連メーカーがAIの導入をわずか一年で成し遂げた例などを挙げながら、「未来は想像よりも速く変化するので、投資は『万障お繰り合わせ』のつもりで少しでも早く取り組むべき」とも説明されました。阿部さまの熱量の高い話しぶりに、会場も大いに盛り上がりました。

中野さまも「お客さまにも本気になってもらい、われわれも本気になって、できるまでやることが成功の要因」とコメント。お二人がともに挙げた「本気度」の重要性を感じるパネルディスカッションとなりました。

イベントの締めくくりとして、GPUサーバーを活用したディープラーニングをカリキュラムに取り入れている東京電機大学の前田英作教授が閉会の挨拶を述べられました(前田研究室の取り組みは事例ページをご覧ください)。

「人工知能の分野に以前から関わってきたが、今は大きな潮目にある。それも5年10年の潮目ではなく、100年単位の潮目かもしれない」と、AIによって社会が大きな転換点を迎えていると説明。続けて「オープン化の時代、学生には勉強すれば誰でもすぐに技術をキャッチアップできるといつも言っている。そういった若者の才能をどう生かしていくかがシニア世代の責任であり、また、今日参加されたAIベンチャーの活躍や成長が日本の勝負を決めると思っている。今回のMeetupイベントがこれからも続いていくことを願っている」とのご挨拶を頂戴し、大盛況のうちにイベントは閉幕しました。

今回が初めての試みにも関わらず、およそ80名のパートナーさまやお客さまにご参加くださり、盛会裏にMeetupイベントを終えることができました。また、懇談の時間には会場のあちこちで名刺交換や意見交換が行われていましたので、来場の皆さまの新たなコラボレーションやビジネスのきっかけの場になったのではないかと思います。

Meetupイベントは今後も続けていきたいと考えていますので、NTTPCの取り組みにご期待ください。

ご来場くださいました皆さま、ありがとうございました!