性能検証
Celona 5G LANの「スーパーネッティング」で、OT環境に設置したGPUエッジサーバーとMaster’sONEを相互接続してみた
2025.12.15

NTTPCコミュニケーションズ株式会社
細野 泰剛

双日テックイノベーション株式会社
畑 和之

1. はじめに
近年、工場などのOT環境側にGPUサーバーを設置し、大量のIoTデバイスから発生する大容量データをエッジ側で処理する「エッジコンピューティング」の考え方が一般的になっています。
しかし、OTのネットワークは基本的には企業の一般的なLAN環境からは切り離された、スタンドアロンなネットワーク環境なため、
「エッジ側で処理したデータを、どうやってクラウド上にあるデータ分析基盤へ集約するか?」
「OT側にあるエッジサーバーをどうやって本社から管理するか?」
といったネットワーク上の課題があります。
この課題の解決策として、OTネットワークと企業内閉域ネットワークをシームレスに相互接続することで、IoTデバイスから取得したデータも社内サーバー上でセキュアに取り扱うことができるようになります。
そこで今回、双日テックイノベーションとNTTPCが共同で、ローカル5G製品「Celona 5G LAN」を用いて構成したOTネットワーク環境と、NTTPCが提供する閉域ネットワークサービス「Master’sONE®」網との相互接続し、OTネットワークに設置したエッジサーバーに対して管理ツールの動作検証を実施しました。
2. Celona 5G LANとは?
まず、簡単に「Celona 5G LAN」について紹介させてください。Celona 5G LANは、SIMからアクセスポイント、5Gコア、管理ツールまで、ローカル5Gに必要な要素をシングルベンダーで提供するターンキーソリューションです。
OT環境へエッジコンピューティングを実装するには、IoTデバイスなどからの大容量通信にも耐えうる無線ネットワークを用意する必要があり、「高速・低遅延・多数同時接続」の特長をもつローカル5Gの活用が期待されます。その一方で、従来のローカル5G製品は「非常に高額」「大きい(最小構成でもハーフラック程度)」というハードルに加えて、技術的にも非常に複雑なため、一般の企業IT管理者による運用は難しいのが実情でした。
Celona 5G LANは、一般の企業IT管理者による運用を前提に設計されたローカル5G製品のため、Wi-Fiを運用したことがあるIT管理者であれば、誰でも運用ができるシンプルなアーキテクチャー構成になっています。さらに、Celona社にて特許を保有するQoS技術である「MicroSlicing™」は、アプリケーション単位で優先制御・帯域確保が可能なため、例えばPLC (Programmable Logic Controller)のような遅延が許されないクリティカルな通信に対しても、高信頼なワイヤレス接続をサポートします。
Celona 5G LANのもう一つの特長は、「既存LANとローカル5Gとの統合」にあります。OT側に設置したエッジサーバーで処理したデータをクラウド上のデータ分析基盤に集約したり、中央からエッジサーバーを監視・管理するためには、OTネットワークを既存のLAN環境へ統合する必要があります。
Celona 5G LANでは「スーパーネッティング」と呼ばれる機能を実装しており、既存LANとローカル5Gとの統合を実現します。Celonaを用いてOTネットワークをローカル5Gで構成することで、LAN側からOT環境にあるデバイスまで―SIM認証されたデバイスはもちろん、SIMが刺さらない非ネイティブなデバイスにまで―End to Endでのシームレスな接続を可能にします。まさに「5G LAN」(ローカル5Gによって構成されたLAN環境)というわけです。
3. スーパーネッティングによるローカル5Gと既存LANとの統合
今回の検証では、このCelonaのスーパーネッティング機能を利用し、ローカル5Gで構成したOTネットワーク環境に設置したエッジサーバー(NVIDIA® Jetson)と閉域サービスMaster’sONE®との相互接続、エッジサーバーの遠隔管理を実施しました。
構成は図1の通りです。なお、今回利用したエッジサーバーはネイティブでは5Gに対応していないため、Celonaとの接続確認済みのAPAL社製5Gドングル「APAL TRIBUTO 5G Dongle」によってローカル5Gに接続しました。

図1
従来の製品でOTのネットワーク環境をローカル5Gで構成すると、ネットワークセグメントが変わってしまうため、LAN側との疎通はできません(図1-a)。そのため、エッジ側で処理したデータを中央のデータ分析基盤に集約するには、別途ネットワークのインテグレーションを考える必要があります。データ利活用の視点から見た場合、複数の工場(エッジ)からデータを集約する必要がありますが、工場ごとに専用のネットワークを構築することは、初期導入コストの点だけでなく、運用面からも現実的ではありません。
Celona 5G LANのスーパーネッティングを用いると、既存のネットワークアドレス帯のまま、OT環境と既存LAN環境とを透過的に通信することができます(図1-b)。今回の構成では、APAL社製5GドングルのNAT設定でIP Pass-ThroughをONにするだけで、Celona割り当てIPでMaster’sONE網のCPE割り当ての同セグメントIPを通じて遠隔接続を確認することができました。
図2はCelona 5G LANの管理ツールである「Celona Orchestrator」から確認できるトポロジー画面です。Celonaの5Gコア(”EdgeNode1”)、アクセスポイント(”AP21-AP001”)、5Gドングル(”KFT31425”)を通じてMaster’sONEのLAN側(”Enterprise”)とエッジサーバーが問題なく疎通していることを視覚的にも確認することができます。

図2 管理ツール「Celona Orchestrator」のトポロジー画面
4. まとめ
今回の検証で、Celona 5G LANを用いて構成したOTネットワーク環境側にあるエッジサーバーと、Master’sONEで構成されたLAN環境とのシームレスな相互接続・エッジサーバーの遠隔管理が実証できました。これにより、例えばクラウド上にデータ分析基盤を展開しているユーザーは、Master’sONEの「インタークラウドネットワーク」サービスを利用することで、工場などのエッジ側で処理したデータを閉域のまま安全・シームレスにクラウド基盤へ集約することができます。
また、エッジサーバーの動作状況確認や、配信アプリケーションの展開と管理を行いたい場合は、NTTPCの「エッジマネジメントサービス®」を推奨します。閉域(VPN)内でIoT機器の運用を完結し、IoT機器を狙う不正アクセスから機密性の高いデータを保護し、運用稼働を削減することができます。
Celona 5G LANを用いた接続検証やPoC等にご関心のある方は、下記Webサイトよりお気軽にお問い合わせください。
▶︎ 双日テックイノベーション「Celona 5G LA」製品紹介ページ
▶︎ NTTPCコミュニケーションズ「エッジマネジメントサービス®」
※「NVIDIA Jetson」 は、米国またはその他の国におけるNVIDIA Corporation の商標または登録商標です。
※「Master’sONE」は、NTTPCコミュニケーションズの登録商標です。



