明日使える宇宙ビジネスの話
第4回「宇宙の法律とお金」

【技業LOG】技術者が紹介するNTTPCのテクノロジー

2026.02.16
その他
齋藤 健輔

アプリケーションエンジニア、セキュリティエンジニア、テクニカルマネージャー、上級バーチャルリアリティ技術者
齋藤 健輔

取得資格:情報処理安全確保支援士、アドバンスド認定スクラムマスター、上級バーチャルリアリティ技術者、水中ドローン安全潜航操縦士

技業LOG

はじめに

さて、いざ宇宙に進出しようと思っているあなた。宇宙に出た時、早速知っておかなければいけないこととは何でしょうか?
それは、ルールです。我々が安全に過ごすためにもみんなが守るべきルールがなければ、そこは無法地帯です。
では、宇宙のルール、いわゆる法律って何でしょう?今回は、そんなお話しをしたいと思います。
また、宇宙開発にはお金がかかることも事実です。日本では国などからどういうお金が動いているのでしょうか?全部の紹介はできませんが、代表的なものの一部についてご説明したいと思います。
本来難しいお話ですが、少しクイズ形式を用いてわかりやすく説明させていただきます。

今後、私たちの生活はより宇宙と密接になっていきます。そんな時代を迎えるための一助になればと思います

尚、この記事は執筆時(2026/2/3)時点の情報で書かれています。最新の情報については個別に該当の機関を調べていただく様お願いいたします。

1. 宇宙法の全体像:国際法 → 国内法

宇宙法には、全人類が守るべき国際法と各国が規定した国内法(国内法を規定しているのは日本、アメリカ、フランス。イギリスなどの数カ国)が存在します。
ただし、法的な整備はまだこれからであり、明確になっていないところが多いのも事実です。

  • 国際法:宇宙条約:宇宙は"みんなの場所"。勝手に領土化しない、危険なことをしないなどの大原則。
  • 国内法(日本):民間企業の打ち上げや衛星運用を、国が許可・監督する(宇宙条約の要求を国内で実装)。
  • 特に、宇宙基本法、宇宙活動法、衛星リモートセンシング法を抑えておく必要があります。

この画像はChatGPTを使って作ったAI生成画像です

Q1. 宇宙条約では、月や火星などの天体についてどのように決めているでしょうか?

  1. 最初に着陸して旗を立てた国のものになる
  2. どの国も領有権を主張することはできず、全人類のものとされる
  3. 国連が土地を管理し、希望する国に販売する
  4. 民間企業であれば、土地を購入して所有できる

A1. 2. どの国も領有権を主張することはできず、全人類のものとされる

宇宙空間は「すべての国家に開放」されており、特定の国が領土にすることは禁止されています。

2. 国際ルール:宇宙条約(宇宙の憲法みたいなもの)

宇宙条約(1967年発効)は、宇宙開発の憲法とも呼ばれる国際条約です。重要ポイントをわかりやすく書くとこうなります。

2-1. 宇宙はみんなのもの(自由に使える、でも独り占め不可)

  • 第1条:宇宙はすべての国が差別なく探査・利用できる(ただし"みんなの利益のため")。
  • 第2条:月や宇宙空間を、国が「ここは俺の領土!」と主張してはいけない(領土化禁止)。

2-2. 武器の置き方に強い制限(特に大量破壊兵器)

  • 第4条:核兵器など大量破壊兵器を宇宙に配置しない/月など天体は平和目的で利用(基地・演習など禁止)。

2-3. 民間企業でも「国が責任を持つ」

  • 第6条:企業など非政府の宇宙活動でも、国が許可して継続的に監督し、国として責任を負う。
    → だから日本でも「宇宙活動法」で許可制度が必要になる。

2-4. 事故が起きたら?(損害賠償の考え方)

  • 第7条:打ち上げた物体が損害を与えたら、打ち上げ国は国際的責任を負う。

2-5. 宇宙の環境と「迷惑をかけない配慮」

  • 第9条:他国の利益に妥当な配慮/有害な汚染を避ける/危険がありそうなら国際協議。

この画像はChatGPTを使って作ったAI生成画像です

Q2. 宇宙で他国の宇宙飛行士が事故や遭難に遭っているのを発見した場合、どうしなければならないでしょうか?

  1. 自分の任務が優先なので、無視してよい
  2. 救助するとお金がかかるため、あとで請求書を送る約束をする
  3. 「人類の使節」として、可能な限りの援助・救助を行う
  4. 自分の国の許可が出るまで待機する

A2. 3. 「人類の使節」として、可能な限りの援助・救助を行う

宇宙飛行士は国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)の理念に基づき、「人類の使節」とみなされ、国籍を問わず互いに助け合う義務があります。

3. 日本の宇宙法の柱①:宇宙基本法(いちばん上の"方針法")

日本の宇宙政策の土台が宇宙基本法(2008)です。ポイントは「細かい許可の手続き」よりも、国としての方針と仕組みを決めていること。

3-1. 基本理念:
日本国憲法の平和主義に基づきつつ、安全保障への寄与、国民生活の向上、産業振興、国際協力などを目的としています。

3-2. 宇宙基本計画:
政府が宇宙政策を総合的に推進するため、具体的な施策や目標を記した「宇宙基本計画」を策定することを義務づけています。

3-3. 推進体制:
内閣に総理大臣を本部長とする「宇宙開発戦略本部」を設置し、各省庁にまたがる政策を一本化しています。

この画像はChatGPTを使って作ったAI生成画像です

Q3. 日本で宇宙政策を"まとめて動かす司令塔"に近いのは?

  1. 宇宙開発戦略本部(内閣に置かれる)
  2. 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
  3. 市役所(自治体)
  4. 学会

A3. 1. 宇宙開発戦略本部(内閣に置かれる)

宇宙基本法に基づき、宇宙政策を総合的・計画的に推進するために内閣に司令塔組織として設置されるのが「宇宙開発戦略本部」です。

4.日本の宇宙法の柱②:宇宙活動法(打ち上げ・衛星運用の許可と責任)

日本の宇宙政策の土台が宇宙基本法(2008)です。ポイントは「細かい許可の手続き」よりも、国としての方針と仕組みを決めていること。

4-1. 打ち上げの許可制:
国内の射場や船上からロケットを打ち上げる際、飛行経路の安全確保や機体の設計について内閣総理大臣の許可が必要です。

4-2. 管理の許可制:
軌道上の人工衛星を運用・制御する際も許可が必要で、宇宙汚染(スペースデブリ)の防止などが審査されます。

4-3. 損害賠償制度:
万が一、落下などで第三者に被害が出た場合、事業者が無過失責任を負います。多額の賠償に備え、民間保険でカバーできない分を政府が補償する制度(政府補償契約)があります。

この画像はChatGPTを使って作ったAI生成画像です

Q4. 宇宙活動法では、打ち上げ事業者の「損害賠償への備え」について最も近いのはどれ?

  1. なくても良い。宇宙は自己責任
  2. 被害が出てからクラウドファンディングで集めれば良い
  3. 被害が出たら必ず国が全額払うので準備不要
  4. 一定の損害賠償担保措置(保険など)を講じないと、許可を得た打ち上げを行えない

A4. 4. 一定の損害賠償担保措置(保険など)を講じないと、許可を得た打ち上げを行えない

打ち上げ実施者は、第三者損害に備えるための損害賠償担保措置(保険契約や補償契約、供託など)を講じないと、許可を得た打ち上げを実施できない趣旨の規定・運用が整えられています

5. 日本の宇宙法の柱③:衛星リモートセンシング法
(超高分解能データなどの管理)

「衛星リモートセンシング法」(正式名称:衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律)は、人工衛星から取得された高精度の観測データ(衛星リモセン記録)が、安全保障上の脅威となる国やテロリストに渡るのを防ぐための法律です。

5-1. 使用許可制度:
高性能なセンサーを備えた衛星を運用する場合、内閣総理大臣の許可が必要です。

5-2. データの取扱い規制:
データの漏えい防止措置や、特定の国・組織への提供禁止などのルールが定められています。

5-3. 認定制度:
衛星データを扱う事業者が、適切な管理体制を備えていることを国が認定する仕組みがあります。

5-4. 産業の健全な発展:
規制だけでなく、データの適正な流通を確保することで、農業・防災・地図作成といった幅広い分野での利活用を促進する目的もあります。

詳細は内閣府の宇宙政策ページで申請手続きやガイドラインを確認できます。

この画像はChatGPTを使って作ったAI生成画像です

Q5. 「許可」が必要になりやすいのはどれ?

  1. 人工衛星のカタログを作って販売する
  2. 衛星画像を見ながら社内で災害対応を検討する
  3. 地上の設備などを使って、軌道上のリモートセンシング装置を操作し、観測データを地上へ送る
  4. 地図アプリを使って道案内する

A5. 3. 「装置使用許可」は、ざっくりいうと衛星の"観測装置を動かしてデータを地上へ送る"行為に関係します

いざ、宇宙ビジネスを始めようといえど、軍資金は必要です。潤沢にお持ち合わせであれば何ら問題はありませんが、やはり難しいでしょう。
以下は、日本で宇宙関連ビジネスを進めるときに使いやすい「補助金・助成金」や、賞金が出る「ビジコン / ハッカソンなど」を整理したものです。少なからず有益なものがあると思いますのでご参考にしてください。
尚、この記事は執筆時(2026/2/3)時点の情報で書かれています。最新の情報については個別に該当の機関を調べていただく様お願いいたします。

6. 宇宙ビジネスとお金

1) まず全体像:宇宙系の資金はだいたい3ルート

A. 国の大型R&D資金(数千万~数十億もあり得る)
例:宇宙戦略基金、NEDOのディープテック支援など

B. 省庁横断のスタートアップR&D(SBIRなど)
省庁ごとにテーマ公募が出る

C. 地方自治体・拠点立地の支援(試験場・射場・宇宙港周辺など)
拠点設置・実証・雇用を条件に出ることが多い

2) 国・公的機関の補助金 / 助成金(宇宙に直結しやすい順)

2-1. JAXA「宇宙戦略基金」(宇宙ド真ん中の大型支援)

  • 何のため:民間企業・大学などの先端技術開発 / 技術実証/商業化を複数年で支援(10年規模・1兆円規模を目指す枠組み)
  • どんなテーマ:宇宙輸送(射場のスマート化・高頻度打ち上げなど)、衛星(通信統合、光通信、地球観測高度化、データ利用システムなど)など、テーマ一覧として公募が並ぶ
  • まず見る場所:公式ポータルと「技術開発テーマ一覧」
  • 向いている人:宇宙のハード / 基盤ソフト / 実証までやる企業(スタートアップ~大企業、大学連携も)

https://fund.jaxa.jp/

2-2. 日本版SBIR(内閣府CSTIの特設サイト)(宇宙テーマも出る)

  • 何のため:スタートアップなどの研究開発を支援する公募情報を省庁横断で集約
  • 使い方:
  1. SBIR特設サイトの「公募一覧」を見る
  2. 自社の領域(例:デブリ低減、衛星通信、観測、地上局、材料など)に合う省庁テーマを拾う
  • 例(宇宙分野テーマが実際に動いている例):文科省SBIRフェーズ3の宇宙分野(デブリ低減など)に関する情報がJAXA側ニュースとしても出ています
  • 向いている人:技術シーズがあり、PoC~実証を公的資金で伸ばしたいスタートアップ

https://sbir.csti-startup-policy.go.jp/

2-3. NEDO:ディープテック・スタートアップ支援(DTSUなど)

  • 何のため:ディープテックの長期R&D~量産化実証・海外実証まで支援(ステージゲート型)
  • 宇宙に限らないが、宇宙系スタートアップでも刺さりやすい(材料、通信、センサー、AI、ロボ、製造プロセスなど)
  • 関連:海外企業と共同研究する枠(国際共同研究開発)で、助成上限などが明記される公募も出ます(例:上限1億円、助成2/3などの条件が見える)
  • 向いている人:宇宙"専業"でなくても、宇宙に転用できる深い技術(製造・材料・AIなど)を持つ会社

https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100250.html

2-4. JAXAスタートアップ支援制度

  • JAXAスタートアップ(JAXAベンチャー制度)
    JAXAの知的財産や成果を事業化する企業を認定・支援する制度です。認定されると、JAXAロゴの使用、技術相談、知的財産の優先的実施権などの優遇措置を受けられます。
  • JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)
    民間企業とJAXAが事業化を目的として、コンセプト構築から実証まで共同で行う共創型プログラムです。技術開発だけでなく、事業スキームの検討も共に行います。
  • 出資・ハンズオン支援
    JAXAが直接スタートアップやファンドへ出資を行う機能です。資金供給に加え、技術的知見を活かした経営支援(ハンズオン)も実施されます。
  • JAXAパートナースタートアップ
    JAXAと一定の協力関係にある企業を認定する枠組みで、広報協力やコミュニティ形成を支援します。

https://aerospacebiz.jaxa.jp/startup/

3) 地方自治体・拠点型の補助(例)

宇宙港・射場・実証拠点の周辺自治体は、「拠点立地」「雇用」「実証」を条件にした補助を持つことがあります。

  • 例:北海道・大樹町の「航空宇宙産業集積促進事業補助金」
    町内に拠点を置く航空宇宙関連事業者を対象に補助し、産業集積と雇用拡大を狙う制度
    各自治体に定期的に調べるのがよいかと思われます。

4) 賞金が出るイベント(アイデアコンテスト / ハッカソン)

4-1. 宇宙ビジネスの代表格(賞金が大きい)

  • S-Booster(宇宙ビジネスアイデアコンテスト)
    近年、運営がSPACETIDEへ継承された流れも報じられています。

https://events.spacetide.jp/event/1f1bbd7b-03e4-4085-a50d-6bdaea8c8687/summary

4-2. 衛星データ×社会課題で"賞金+事業化"に寄りやすい

  • NEDO Challenge, Satellite Data
    1位1,000万円 / 2位500万円 / 3位300万円(賞金総額最大5,000万円)と明記衛星データ活用のテーマで、行政・一次産業など実務課題に寄せやすい衛星データ活用アワード(2025-2026など)
    「優勝賞金300万円」として告知されている回があります(農林水産×衛星データのビジネスアイデア募集)

https://space-data-challenge.nedo.go.jp/

4-3. "ハッカソン系"の定番(宇宙データでプロトタイプを作る)

  • NASA Space Apps Challenge(日本各地のローカルイベント)
  • NASAなどのオープンデータで課題解決に挑む世界同時ハッカソン。日本でも複数都市でLocal Eventが立ちます。
  • ローカル会場によって賞金が設定される例(例:宇部のローカル告知では最優秀30万円などの表示)
  • 賞金の有無・額は都市ごとに違うので、参加する都市のページ・募集要項で確認が必要です。

最後に

ここまで、計4回の掲載をさせていただきありがとうございました。至らないところもあり、迷惑をかけてしまったこともありましたが、今回でいったん終了です。
また、ご要望があれば続きがあるかもしれませんが、その際はまたお付き合いくださいませ。
それでは、またいつの日か!

7. ご参考

技業LOG

NTTPCのサービスについても、ぜひご覧ください

おすすめ記事

    お気軽にご相談ください