【生成AIによる業務変革LOG #1】
NTTPCの生成AI活用事例を紹介:
業務変革LOGを開始

【技業LOG】技術者が紹介するNTTPCのテクノロジー

2024.11.20
AI・ディープラーニング
多田 雄一

ITスペシャリスト
多田 雄一

取得資格:AWS Certified Solutions Architect - Associate

1. はじめに

近年、生成AIの急速な発展により、多くの企業が業務改善や効率化に取り組んでいます。NTTPCも例外ではありません。当社は、生成AIを活用した取り組みを積極的に推進し、業務プロセスの改善や顧客サービスの向上に努めています。

本シリーズ「生成AIによる業務変革LOG」では、NTTPCの生成AI活用推進の具体的な取り組み内容を詳しく紹介します。生成AIと人間が協調して働く新しい時代に向けたNTTPCの挑戦を、皆さまにお伝えしていきます。

2. 生成AI活用事例や技術情報をシリーズで紹介

2-1. シリーズの目的と概要

NTTPCでは、生成AI活用の取り組みを広く知ってもらうため、当社の活用事例や技術情報をシリーズ化し、「生成AIによる業務変革LOG」として紹介します。シリーズ化する目的は、生成AIがもたらす具体的な業務改善効果や技術情報を、わかりやすく皆さまにお伝えすることです。

このシリーズでは、社内の様々な部門で実施された生成AI活用事例と、「tsuzumi」などNTTグループの生成AI技術を紹介します。開発部門での効率化から、営業支援、顧客サービスの向上まで、幅広い分野での活用事例を取り上げます。各事例では、導入の背景、具体的な活用方法、得られた成果、そして今後の展望について詳しく解説する予定です。

このシリーズを通じて、生成AIの実践的な活用方法や、NTTグループの生成AI技術について理解を深め、AIと人間が協調して働く未来の職場の姿を、具体的にイメージしてもらうことも、このシリーズの重要な目的の1つです。

2-2. 生成AIの取り組みと今後の展開

NTTPCの生成AI活用は、2022年から本格的に始まりました。次に、これまでの主な取り組みと今後の展開を紹介します。

  1. 開発部門でのGitHub Copilot導入によるソフトウェア開発の効率化
  2. 全社員向け生成AIツールの導入による社内DXのさらなる推進
  3. 「健康経営アドバイザーAI」など、生成AIを活用した新サービスの開発

上記2項「社内DXのさらなる推進」に関して、進捗状況を把握する指標として、年度毎のKPIを定め定期的(四半期毎)にモニタリングを実施しています。

  • 効率化(時間短縮▲10%、コスト削減▲10%等)
  • 高品質化(安定運用等)
  • 情報活用・ノウハウ蓄積(情報発信件数、社員満足度等)

これらの取り組みは、いずれも大きな成果を上げ、社内で高い評価を得ています。

今後の展開として、次を計画しています。

  1. より多くの部門での生成AI活用による業務改善
  2. NTT独自の大規模言語モデル「tsuzumi」を活用した新サービス開発
  3. 全社的な生成AIリテラシー向上プログラムの実施

これらの取り組みについては、順次シリーズで詳細を紹介していく予定です。

3. 生成AI活用事例

3-1. GitHub Copilotの導入で開発効率4割アップ

GitHub Copilotによる内製開発能力の向上

NTTPCのサービスクリエーション部門では、GitHub CopilotやChatGPTなどの生成AIツールを導入し、ソフトウェア開発の効率化を実現しました。この取り組みには、次のような効果がありました。

  1. 従来方式と比較して作業時間が約4割短縮
  2. 1日あたり約68分の作業時間短縮を実現
  3. 開発者の8割がモチベーション向上を実感
  4. 若手エンジニアの育成支援

今後の展望

生成AI活用スキルの全社展開と、さらなる開発プロセスの最適化に向けて活動を継続しています。

3-2. 全社的な生成AI導入でDXを推進

NTTPCの生成AI導入の目的

NTTPCは、次の目的で全社員に生成AIツールを導入しました。

  1. 社内DXの推進
  2. プロンプトエンジニアの育成
  3. サービス品質向上のためのオペレーション自動化
  4. 新規事業創出への新たなアプローチ

生成AI活用のための環境整備

NTTPCは、生成AI活用ガイドラインを策定し、次の点に注意しています。

  • 知的財産の取り扱い
  • 利用にあたっての制限事項の設定

具体的な活用事例とメリット

NTTPCでは、特にエンジニアによる活用が多く見られました。

  • コードレビュー
  • 文書要約
  • コード解釈

生成AIの活用により、次のようなメリットがありました。

  • 作業時間の短縮
  • 品質の向上
  • 新しいアイディアの創出
  • 社員のスキル向上

生成AI活用の範囲をさらに拡大し、業務プロセス全体の最適化を目指し生成AI活用を推進しています。

3-3. 衛星画像とAIを活用した新規建物検知技術の仮想空間での検証

衛星画像による新規建物検知AIの可能性

近年、衛星画像解析とAI技術の進歩により、都市計画や災害対策などの分野で革新的な変化が起きています。NTTPCでは、自社のクラウドサービスである「VDIクラウド for デジタルツイン®」と、スペースシフトさまが提供している衛星情報解析サービスである「新規建物検知AI」を掛け合わせ、新規建物検知の結果を仮想空間上で行う検証を行いました。

AIによる建物検知の特徴と利点

新しいAI技術には、次の特徴があります。

  • SAR画像[1]を使用し、天候や時間に左右されない高精度な解析が可能
  • 2つの時期の画像を比較し、新しく建てられた建物を自動検出
  • 都市の開発動向をリアルタイムで把握可能
  • 従来のGeoTIFF画像[2]よりも直感的に変化を理解可能
  • [1]
    SRA画像は、SRAレーダー技術を使って作成された画像です。このレーダーは、人工衛星などから地面や海の様子を観察します。通常のカメラ画像とは異なり、レーダー波を使用して生成されるため、天候や光の条件に影響されずに観測を行うことができます。
  • [2]
    GeoTIFF画像は、標準的なTIFF(Tagged Image File Format)を拡張した画像形式で、画像データに地理参照データを埋め込むことができます。地理参照情報の埋め込みにより、画像データが地理空間データと正確に関連付けられ、衛星画像や航空写真の解析や地図作成、災害対策に利用されます。

活用事例と将来の展望

この技術は、次のような分野で活用できます。

  • 都市計画:新規開発エリアの特定や都市の成長分析、より効率的な都市設計
  • 災害対策:被災地域の迅速な把握と復興計画の立案、リアルタイムでの3D状況把握
  • インフラ整備:効率的な公共サービスの提供計画
  • 不動産業界:地域の開発動向を可視化、的確な投資判断をサポート
  • 一般市民向け:自分の街の変化を3Dで楽しく確認、まちづくりへの関心向上

さらに、交通量予測や日影シミュレーションなど、応用の可能性は無限大です。この技術の進化が、より安全で効率的、そして魅力的な都市づくりにつながることが期待されます。

皆さまのご意見やご質問をお待ちしております。衛星情報の解析データに興味がある方や、本内容について詳しく知りたい方は、是非お問い合わせください。

3-4. AI×Well-beingで健康経営を実現:「健康経営アドバイザーAI」の開発

AIを活用した3つの注力領域でサービス開発を加速

NTTPCは、ドコモグループの一員として中堅・中小企業向けDXサービスの強化に取り組んでいます。特に、AI市場の活況を背景に、AIの成長を取り込みながら提供サービスの拡充を進めています。現在、次の3つの注力領域でAIを活用したサービス開発を推進しています。

  1. AI×Ops:総務やICT業務の自動化
  2. AI×IoT:特定市場 / 業界向けAIビジネス
  3. AI×Well-being:働く環境やコミュニケーションのデジタル化
サービス開発の注力領域

図1. サービス開発の注力領域

AI×Well-beingの事例:「健康経営アドバイザーAI」サービス

AI×Well-beingの取り組みの一環として、NTTPCは「健康経営アドバイザーAI」サービスを開発しました。このサービスは、生成AIを活用して組織全体のメンタルヘルスを管理します。主な特徴は次の通りです。

  1. 組織のメンタルヘルス状況の可視化
  2. データに基づく効果的な改善策の提案
  3. 企業の健康経営実現をサポート

「健康経営アドバイザーAI」は、日本初のバイタル分析による組織可視化技術を用いて、社員自身のセルフケアと企業の働く環境改善をサポートします。これにより、企業は効果的な健康経営を実現できます。

健康経営支援サービス「健康経営アドバイザーAI」のイメージ図

図2. 健康経営支援サービス「健康経営アドバイザーAI」のイメージ図

今後のサービス開発の展望

NTTPCは、生成AIのサービス活用をさらに広げる計画を立てています。業務効率化だけでなく新たな価値創造も目指しています。

  • AIの成長を取り込みながら、NTTPCの提供サービスを拡充
  • NTTの大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」との連携強化
  • 全社的なAIスキルアップとDXの推進

おわりに:継続的な生成AI活用と業務変革への取り組み

NTTPCの生成AI活用への取り組みは、まだ始まったばかりです。しかし、NTTPCの生成AI活用への取り組みは、着実に成果を上げています。GitHub Copilotによる開発効率の大幅向上、全社的な生成AIツール導入による業務革新、そして「健康経営アドバイザーAI」の開発など、多岐にわたる成果が得られています。

生成AIがもたらす可能性は無限大です。NTTPCは、AIと人間が協調して働く新しい時代のモデルケースとなるべく、挑戦を続けていきます。
本シリーズに関する詳細情報や、生成AI活用についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。皆さまとともに、AIがもたらす新しい未来を築いていけることを楽しみにしています。

  • 健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
  • 「tsuzumi」は日本電信電話株式会社の登録商標です。
  • 「GitHub」は、GitLab B.V. の米国およびその他の国における登録商標です。

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