技業LOG
目次
1. はじめに
近年、生成AIの急速な発展により、多くの企業が業務改善や効率化に取り組んでいます。NTTPCも例外ではありません。当社は、生成AIを活用した取り組みを積極的に推進し、業務プロセスの改善や顧客サービスの向上に努めています。
本シリーズ「生成AIによる業務変革LOG」では、NTTPCの生成AI活用推進の具体的な取り組み内容を詳しく紹介します。生成AIと人間が協調して働く新しい時代に向けたNTTPCの挑戦を、皆さまにお伝えしていきます。
2. 生成AI活用事例や技術情報をシリーズで紹介
2-1. シリーズの目的と概要
NTTPCでは、生成AI活用の取り組みを広く知ってもらうため、当社の活用事例や技術情報をシリーズ化し、「生成AIによる業務変革LOG」として紹介します。シリーズ化する目的は、生成AIがもたらす具体的な業務改善効果や技術情報を、わかりやすく皆さまにお伝えすることです。
このシリーズでは、社内の様々な部門で実施された生成AI活用事例と、「tsuzumi」などNTTグループの生成AI技術を紹介します。開発部門での効率化から、営業支援、顧客サービスの向上まで、幅広い分野での活用事例を取り上げます。各事例では、導入の背景、具体的な活用方法、得られた成果、そして今後の展望について詳しく解説する予定です。
このシリーズを通じて、生成AIの実践的な活用方法や、NTTグループの生成AI技術について理解を深め、AIと人間が協調して働く未来の職場の姿を、具体的にイメージしてもらうことも、このシリーズの重要な目的の1つです。
2-2. 生成AIの取り組みと今後の展開
NTTPCの生成AI活用は、2022年から本格的に始まりました。次に、これまでの主な取り組みと今後の展開を紹介します。
- 開発部門でのGitHub Copilot導入によるソフトウェア開発の効率化
- 全社員向け生成AIツールの導入による社内DXのさらなる推進
- 「健康経営アドバイザーAI」など、生成AIを活用した新サービスの開発
上記2項「社内DXのさらなる推進」に関して、進捗状況を把握する指標として、年度毎のKPIを定め定期的(四半期毎)にモニタリングを実施しています。
- 効率化(時間短縮▲10%、コスト削減▲10%等)
- 高品質化(安定運用等)
- 情報活用・ノウハウ蓄積(情報発信件数、社員満足度等)
これらの取り組みは、いずれも大きな成果を上げ、社内で高い評価を得ています。
今後の展開として、次を計画しています。
- より多くの部門での生成AI活用による業務改善
- NTT独自の大規模言語モデル「tsuzumi」を活用した新サービス開発
- 全社的な生成AIリテラシー向上プログラムの実施
これらの取り組みについては、順次シリーズで詳細を紹介していく予定です。
3. 生成AI活用事例
3-1. GitHub Copilotの導入で開発効率4割アップ
GitHub Copilotによる内製開発能力の向上
NTTPCのサービスクリエーション部門では、GitHub CopilotやChatGPTなどの生成AIツールを導入し、ソフトウェア開発の効率化を実現しました。この取り組みには、次のような効果がありました。
- 従来方式と比較して作業時間が約4割短縮
- 1日あたり約68分の作業時間短縮を実現
- 開発者の8割がモチベーション向上を実感
- 若手エンジニアの育成支援
今後の展望
生成AI活用スキルの全社展開と、さらなる開発プロセスの最適化に向けて活動を継続しています。
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※本取り組みの詳細はこちら
生成AIを活用したソフトウェア開発の業務効率化の取り組み紹介
3-2. 全社的な生成AI導入でDXを推進
NTTPCの生成AI導入の目的
NTTPCは、次の目的で全社員に生成AIツールを導入しました。
- 社内DXの推進
- プロンプトエンジニアの育成
- サービス品質向上のためのオペレーション自動化
- 新規事業創出への新たなアプローチ
生成AI活用のための環境整備
NTTPCは、生成AI活用ガイドラインを策定し、次の点に注意しています。
- 知的財産の取り扱い
- 利用にあたっての制限事項の設定
具体的な活用事例とメリット
NTTPCでは、特にエンジニアによる活用が多く見られました。
- コードレビュー
- 文書要約
- コード解釈
生成AIの活用により、次のようなメリットがありました。
- 作業時間の短縮
- 品質の向上
- 新しいアイディアの創出
- 社員のスキル向上
生成AI活用の範囲をさらに拡大し、業務プロセス全体の最適化を目指し生成AI活用を推進しています。
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※本取り組みの詳細はこちら
全社向け生成AIツールの導入
3-3. 衛星画像とAIを活用した新規建物検知技術の仮想空間での検証
衛星画像による新規建物検知AIの可能性
近年、衛星画像解析とAI技術の進歩により、都市計画や災害対策などの分野で革新的な変化が起きています。NTTPCでは、自社のクラウドサービスである「VDIクラウド for デジタルツイン®」と、スペースシフトさまが提供している衛星情報解析サービスである「新規建物検知AI」を掛け合わせ、新規建物検知の結果を仮想空間上で行う検証を行いました。
AIによる建物検知の特徴と利点
新しいAI技術には、次の特徴があります。
- SAR画像[1]を使用し、天候や時間に左右されない高精度な解析が可能
- 2つの時期の画像を比較し、新しく建てられた建物を自動検出
- 都市の開発動向をリアルタイムで把握可能
- 従来のGeoTIFF画像[2]よりも直感的に変化を理解可能
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[1]SRA画像は、SRAレーダー技術を使って作成された画像です。このレーダーは、人工衛星などから地面や海の様子を観察します。通常のカメラ画像とは異なり、レーダー波を使用して生成されるため、天候や光の条件に影響されずに観測を行うことができます。
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[2]GeoTIFF画像は、標準的なTIFF(Tagged Image File Format)を拡張した画像形式で、画像データに地理参照データを埋め込むことができます。地理参照情報の埋め込みにより、画像データが地理空間データと正確に関連付けられ、衛星画像や航空写真の解析や地図作成、災害対策に利用されます。
活用事例と将来の展望
この技術は、次のような分野で活用できます。
- 都市計画:新規開発エリアの特定や都市の成長分析、より効率的な都市設計
- 災害対策:被災地域の迅速な把握と復興計画の立案、リアルタイムでの3D状況把握
- インフラ整備:効率的な公共サービスの提供計画
- 不動産業界:地域の開発動向を可視化、的確な投資判断をサポート
- 一般市民向け:自分の街の変化を3Dで楽しく確認、まちづくりへの関心向上
さらに、交通量予測や日影シミュレーションなど、応用の可能性は無限大です。この技術の進化が、より安全で効率的、そして魅力的な都市づくりにつながることが期待されます。
皆さまのご意見やご質問をお待ちしております。衛星情報の解析データに興味がある方や、本内容について詳しく知りたい方は、是非お問い合わせください。
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※新規建物検知の結果を仮想空間上で行う検証の詳細はこちら
衛星画像による新規建物検知AIを利用したアイディア検討とPoC
3-4. AI×Well-beingで健康経営を実現:「健康経営アドバイザーAI」の開発
AIを活用した3つの注力領域でサービス開発を加速
NTTPCは、ドコモグループの一員として中堅・中小企業向けDXサービスの強化に取り組んでいます。特に、AI市場の活況を背景に、AIの成長を取り込みながら提供サービスの拡充を進めています。現在、次の3つの注力領域でAIを活用したサービス開発を推進しています。
- AI×Ops:総務やICT業務の自動化
- AI×IoT:特定市場 / 業界向けAIビジネス
- AI×Well-being:働く環境やコミュニケーションのデジタル化

図1. サービス開発の注力領域
AI×Well-beingの事例:「健康経営アドバイザーAI」サービス
AI×Well-beingの取り組みの一環として、NTTPCは「健康経営アドバイザーAI」サービスを開発しました。このサービスは、生成AIを活用して組織全体のメンタルヘルスを管理します。主な特徴は次の通りです。
- 組織のメンタルヘルス状況の可視化
- データに基づく効果的な改善策の提案
- 企業の健康経営実現をサポート
「健康経営アドバイザーAI」は、日本初のバイタル分析による組織可視化技術を用いて、社員自身のセルフケアと企業の働く環境改善をサポートします。これにより、企業は効果的な健康経営を実現できます。

図2. 健康経営支援サービス「健康経営アドバイザーAI」のイメージ図
今後のサービス開発の展望
NTTPCは、生成AIのサービス活用をさらに広げる計画を立てています。業務効率化だけでなく新たな価値創造も目指しています。
- AIの成長を取り込みながら、NTTPCの提供サービスを拡充
- NTTの大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」との連携強化
- 全社的なAIスキルアップとDXの推進
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※健康経営アドバイザーAIの詳細はこちら
プレスリリース:NTTPC、生成AIにより組織全体のメンタルヘルスの状態を可視化し改善策を提案する「健康経営アドバイザーAI」を提供開始
おわりに:継続的な生成AI活用と業務変革への取り組み
NTTPCの生成AI活用への取り組みは、まだ始まったばかりです。しかし、NTTPCの生成AI活用への取り組みは、着実に成果を上げています。GitHub Copilotによる開発効率の大幅向上、全社的な生成AIツール導入による業務革新、そして「健康経営アドバイザーAI」の開発など、多岐にわたる成果が得られています。
生成AIがもたらす可能性は無限大です。NTTPCは、AIと人間が協調して働く新しい時代のモデルケースとなるべく、挑戦を続けていきます。
本シリーズに関する詳細情報や、生成AI活用についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。皆さまとともに、AIがもたらす新しい未来を築いていけることを楽しみにしています。
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※健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
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※「tsuzumi」は日本電信電話株式会社の登録商標です。
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※「GitHub」は、GitLab B.V. の米国およびその他の国における登録商標です。
技業LOG
NTTPCのサービスについても、ぜひご覧ください