技業LOG
【1】新型コロナウイルスの流行と働き方の変化
~リモートワークで見えてきた課題~
新型コロナウイルスの流行により、出社して働くスタイルからリモートで働くスタイルに切り替える企業が増えましたが、リモートでの仕事がやりづらいなぁと感じたことはないでしょうか?
出社スタイルとリモートスタイルの差分を少しでも埋めるため、各社様々な工夫を実施されていると思います。
Zoom、Teams、Slackなどのコミュニケーションツールを活用して業務をこなす場合が多いですが、ツールを介していることもあり対面での仕事と全く同じようにというのは簡単ではありません。
そこで本記事では、
◆リモートワーク下でコミュニケーション不足を抱えている方々
◆これからリモートワークを開始したいがコミュニケーションに対する不安がある方々に向けて、私共のチームで実施したリモートワーク下での円滑なコミュニケーションとチームの結束力向上の取り組みを紹介します。
リモートワークに不安や抵抗をお持ちの方々の悩みを解決させる一つの策としてお役に立てればと思います。
【2】SlackやOviceを活用したコミュニケーション
【自チームで利用しているツールの紹介】
- Slack:チームメンバーや同プロジェクトの別チームとのチャットコミュニケーションに利用。
- Ovice:バーチャル空間上に自分のアイコンを配置し、自アイコンの近くにいる人とオンライン上で通話ができる。
【3】自チームの説明とリモートワークでの業務遂行で発生した問題
~予想以上に時間が必要~
私の所属するチームではソフトウェアの内製開発を実施しており、基本的にコミュニケーションはチーム内のメンバーや同プロジェクトの別チームと取ることが多く、社外の人とコミュニケーションを取ることはほとんどありません。
チームメンバーは皆同じシステムの設計、開発、試験を行っており、機能単位で仕事を割り振ることが多くなっています。
同じシステムを触っている以上、自分の仕事がメンバーの仕事に与える影響は大きく、チーム内のコミュニケーションは密に行う必要があります。
そんな私のチームではリモートワーク開始に伴って次のような問題が発生していました。
- a.メンバーの疑問解消に時間がかかり、仕事効率が低下する
- b.新人がチームに馴染むまでに時間がかかる
【4】試行錯誤開始
a. Slackにtimesチャンネルを開設し、仕事状況のアウトプットによるチーム内の状況開示することで相互の仕事を把握
- timesチャンネルとは?
一言でいうと社内Twitterというイメージです。
Slackに作った、チームメンバー個々人のつぶやきや悩み等なんでも書いてもよいチャンネルのことです。仕事で躓いていることから昨日あった嬉しかったことなど、チャンネルの作成者は何を書いても良く、それに対して他のチームメンバーが投稿を必ず確認しておく義務もなく、返信をする義務もありません。
【ツールの活用方法】
Slack自体は社内の人とのチャット、もしくは通話のツールとして利用しています。
自チーム内では過去には通話、チャット両方の目的で利用していましたが、最近ではチャット目的のみでの利用がほとんどです。
同プロジェクトの別チームのメンバーとでは最近でも通話、チャット両方の用途で利用しています。
チーム内の個々人はtimesチャンネルに可能な範囲で仕事の状況を書いておきます。
メンバーは逐一反応する必要はなく、急病などでそのメンバーの仕事を引き継ぐ場合はtimesチャンネルも参考にしていました。
仕事上の疑問も反応があればラッキー程度でとりあえずtimesチャンネルに書いている人が多かったです。
b. Collaによるチームメンバー紹介による心理的距離の解消
- Collaとは?
Slack上で動作するアプリケーションの一つ。Slackのチャンネル単位にCollaを設定しておくことで、そのチャンネル内にいるメンバーに事前に質問を投げておき、 その回答を一日一回チャンネル内に投稿してくれるものです。
- ※「Colla」は株式会社トラックレコードが運営するサービスです。
https://colla.jp/
【活用方法】
メンバーの回答を始業と同時にチャンネル内に流すように設定し、毎日の朝のミーティング後の雑談の種に使うことが多かったです。
Collaだけでメンバーの心理的距離を解消するというよりはその先の雑談の活発化をメインの目的として利用していました。
【5】新たな課題
良かったこと
a.timesチャンネルの導入による結果
- メンバー個人の仕事上の悩みを早期解決できる
- 病欠などで急に休んでも引き継ぎが容易になる
- 仕事のススメ方に間違いがある場合の早期発見が可能になる
- timesチャンネルがWikiのような働きもしてくれる
b.Colla導入による結果
- 朝のミーティング後のコミュニケーションが活発になった
上記の結果以外にも、現場のチームメンバーから取り組みに対する意見が集まったので、後ほど紹介します。
一方で新たな課題も
新たな課題
チームメンバー間で情報共有に偏りが出るようになった
原因
timesチャンネル内で特定のメンバーだけでの通話を実施する回数が増えたこと
経緯
- timesチャンネルで仕事上の疑問点を投げかけ、それに対してメンバーが回答する
- チャットでの回答に限界が来て、timesチャンネル内での通話を始めるようになる
- Slackのチャンネルの特性上、自分から通話に入らないと通話の内容が聞けなくなる
- 通話に毎回入るのが面倒になり、通話に入らないメンバーが出てくるようになる
- 通話に入ったメンバーのみが知っている話し合いが増え、情報共有が偏る
【6】さらなる改善
~オープンな環境で情報を行き渡らせる~
【取り組み】
Oviceに常駐して、チームメンバー間の会話は基本的にOvice上で行い、みんなに聞こえるオープンな場所で話をします。
ただし、常駐の強制はしません。
(メンバーによって集中して話しかけられたくない時間、他の打ち合わせに出ている時間もあるため)
【狙い】
いつでも誰でも通話の内容を聞けるようにすることで、チームメンバー全員に情報が行き渡りやすくなると考えました。
【結果】
メンバー間で伝え漏れが減り、一度に多数のメンバーに伝えられるので知識の共有にかかる時間も削減できました。
【7】開発メンバーの声
取り組みの結果、業務にどんな変化が起きたか確認するため、チームメンバーにインタビューを行いました。
ここでは、その結果を要約して紹介したいと思います。
【timesチャンネルに対する声】
担当外の「タスクの進捗状況」や「業務仕様」が把握できるようになりました。
会話中心に質問や相談をするようになったので、他のメンバーもその話を聞けるようになりました。その結果、各メンバーのタスクの進捗状況や業務仕様の追加・変更について以前よりも把握しやすくなりました。
属人化を解消する取り組みもしており、業務の分類と各メンバーに足りない部分を見える化し、足りない部分を埋めていくように積極的にタスクをとるようにしているため、この効果も出ています。
「もしチーム内の誰かが急に1週間ほど休むことになった場合どうやって穴埋めするか?」と質問したところ、タスクを割り当て直すだけで穴埋めできる、メンバーで協力すれば対応できないタスクはないと回答する人がほとんどでした。
【Oviceに対する声】
コミュニケーションの中心は音声(会話)で、先述した通り、強制ではないもののOviceに常駐するスタイルが定着しています。
そのため、集中して作業している時以外は常に誰かと話をしたり、誰かが話しをしているのを聞いたりしながら業務を進めることが多いです。
結果として、連帯感が自然と醸成されメンバー間の会話もやりやすくなりました。
ちなみに、1日に誰かと会話している時間を聞いてみると、平均2時間程度という結果になりました。
気軽に雑談できるようになった
音声での会話が簡単にできるためか、比較的雑談も多いです。
もちろん会話の中心は業務の話なのですが、合間に「ちょっと雑談なんですけど~」といった形で時事ネタや共通の話題も話すことが多いです。
例えばインタビューをした時期がBlackFriday直後だったので、みんなで何を買ったかやおすすめの商品で盛り上がったというエピソードも出てきました。
打ち合わせが減った
常に会話できる状態なので、何かあれば即座に質問したりヘルプを求めたりできるようになりました。
その結果、従来の参加メンバーを選定して、スケジュールを調整して、会議室を押さえてという形式の打ち合わせがチーム内でほぼなくなりました。
もちろんそれぞれのタスクがあるため、呼びかけはSlackでワンクッションおいて、必要であれば会話を始めるという形もあります。
【8】結び
~チーム力の向上~
本記事では私達のチームで実施しているリモートワーク下での取り組みについていくつか紹介いたしました。
我々のチームではリモートワーク化でも出社時代と遜色なく一緒に仕事できている感覚、孤独感を少しでも減らして仕事ができている感覚をメンバー間で共有できていると思っております。
紹介した取り組みが読者のチームでも必ず上手く行くとは限りませんが、リモートワークを快適にしたいけど何から始めればいいかわからないチームの方々の参考になれば幸いです。
また、これらの取り組みが上手く周り始めたのはチームメンバーの協力があったからだと思います。
新しいツールや取り組みに対して抵抗感を持つことなく、導入に協力してくれたこと、これらのツール群を積極的に活用してチームのコミュニケーション改善を図ってくれたことが大きかったです。
業務上のコミュニケーションを改善する意識で始めると抵抗感が生まれる可能性もあるため、メンバー間の雑談を行うチャットや通話の場を提供するぐらいの形で始めると楽しみながらも新しいコミュニケーションの形に移行できるかもしれません。仕事の中にも雑談を交えることで楽しみながらメンバーと一緒に仕事ができるようになると業務に対しても良い影響が出ると思います。
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