技業LOG
NTTPCは、2013年から「EMS-JP(イーエムエス-ジェイピー)」という団体に加盟しています。
EMSとは、「Electronics Manufacturing Service」 の略であり、電子機器の受託生産を行うサービスのことです。「JP」はJapanです。つまりEMS-JPがどんな団体かと言うと、センサーやデバイス等の各種電子機器に関連した日本の企業が160社ほど集まっているコンソーシアムであり、2001年に設立されています。したがって、会員企業の顔ぶれとしては電子機器メーカーさん、部品メーカーさん、組み込みソフト等の開発ベンダーさん等がメンバーの中心です。ここで疑問が湧くと思うのですが、NTTPCは以上どれにも該当しません。ではなぜこのコンソーシアムに加盟したかと言うと、2008年頃にMVNOのモバイルSIM事業をスタートしたのですが、SIMを拡販していく上で、「M2M(Machine to Machine)」でのモバイルSIM利用を促進していこうという活動に徐々に注力するようになってきました。そこで、当時増えていた通信機能を内蔵したようなデバイスのメーカーさん等と多くコンタクトを持って、その業界を知り、NTTPCのSIMをできるだけいろんなデバイス等に組み込んで頂いたりして、加盟各社様と様々に協業していこうと・・・そういう動機で加盟しました。
後程一例を紹介するのですが、ここだけの話、NTTPCはEMS-JPに限らず「何でこの団体にNTTPCが?」というようなところに結構加盟していたりします。これもNTTPCの企業風土である開拓精神の現れでしょう。
このころから、インターネットにつながるデバイスが増え、現在は「M2M」という言葉よりも、もっと広い概念である「IoT(Internet of Things)」がよく使われていますよね。
IoT時代になると、製造業(各種デバイスメーカー等)とIT業界(ソフトウェアベンダーや通信キャリア等)とのビジネス上の距離が徐々に近づいていきます。NTTPCがEMS-JPに加盟しているのもその象徴とも言えます。
何かのIoTシステムを構築しようとすると、あるモノからデータを収集したり計測したりするデバイス、そのデバイスからインターネットにデータを送信するソフトウェアモジュール、インターネットに接続するための通信環境(SIMカードやスマートフォン等)、インターネットを介してデータを蓄積するためのクラウド環境、クラウドに蓄積したデータを解析するソフトウェア、解析結果を可視化するためのWebアプリケーション等、様々な機能を垂直統合しなければ成立しません。私どもNTTPCのようなITインフラサービス業者から見ても、クラウド時代でソフトウェア業界と密接になり、さらにIoT時代の到来によりデバイスメーカーさんと密接にビジネスを展開していくような新たなステージに突入したと感じています。
そんな各種メーカーとIT企業の接近を象徴したようなイベント「第47回神情協ビジネスフォーラム」が2017年7月19日(水)に横浜で開催されました。
https://www.kia.or.jp/MAKE_JIMU/doc/event_detail/5324.html
このイベントを主催したのは、一般社団法人神奈川県情報サービス産業協会(略称:神情協)さんで、その名の通り神奈川県の各種IT事業(主に受託開発系のソフトウェアベンダーさんが多いようですが)を展開する正会員約290社+賛助会員約40社からなる大規模なコンソーシアムです。
https://www.kia.or.jp/
ここには、NTTテクノクロス(旧;NTTソフトウェア)さん等、神奈川県内に拠点を持つNTTグループの企業も正会員に名を連ねており、賛助企業としては私どもと同じNTTComグループであるNTTコムマーケティングの神奈川営業所や、東日本電信電話(NTT東日本)の神奈川事業部さんも加盟しています。
「第47回神情協ビジネスフォーラム」はそんな神情協さんの会員向け相互勉強や交流を目的とした47回目の会合なのですが、今回は前述の「EMS-JP」と共同で開催されたのです。かくしてNTTPCは本来「神情協」の方に所属していそうな企業なのですが、「EMS-JP」の一員としてこのイベントに参加致しました。当日は両団体から合計70名を越える参加者が集まり、大盛況でした。
今回は共同開催ということで、神情協加盟の各社と、EMS-JP加盟各社がそれぞれ数社ずつ、交互にプレゼンテーションを実施して、団体の枠を超えてお互いの加盟企業の事業や製品をより深く知り、交流し、協業等を模索しようという主旨でした。つまり神奈川県においても、IoTの波により、電子機器業界とIT業界が相互に協業を考える必要性が出てきているという象徴でもあります。
そして、大変名誉なことに、このプレゼンテーション合戦のトップバッターとして、私どもNTTPCをご指名頂き、そして私が登壇させて頂きました。貴重な機会を頂いた両団体の関係者の皆様には改めて御礼申し上げます。
トップバッターである私からは、「つなぐ、ためる、創り出す ~取組事例からみる、IoT最前線と苦労話~」と題しまして、NTTPCのIoTへの取り組みと、それを象徴する3つのサービス/事例を紹介しました。
一つ目に紹介したのは「罠のIoT ~Internet of Trap~」、NTTPCが2011年からサービス提供している「みまわり楽太郎」です。
https://www.nttpc.co.jp/service/product/rakutaro/
現在、日本の地方エリアでは、イノシシやシカ等による農業への「獣害」が深刻な問題になっています。そのため自治体なども後押しして駆除に努めているのですが、駆除のために設置した「罠」に獲物がかかったかどうかを見回る作業が地元の猟師の皆様への大変な負担になっています。この「みまわり楽太郎」は罠に獲物がかかったらメールでそれを知らせてくれるサービスです(詳しくは上記のサービス紹介ページをご覧ください)。
最近ではカメラ画像付きで知らせてくれるので、その動物にあった解体の道具を持っていき、その場ですぐに解体処理を行うそうです。そうすると最近流行りつつある「ジビエ」としての活用も広がってきます。ここで前述の伏線の話になるのですが、NTTPCは「一般社団法人 日本ジビエ振興協会」にも会員として所属しており、この「みまわり楽太郎」を通じ、ジビエ文化の普及促進のためにも活動しています。なお、ここに所属しているIT企業はもちろん弊社だけです(これを講演で紹介すると、いつも結構ウケます 笑)。
http://www.gibier.or.jp/member/
二つ目に紹介したのは「トイレのIoT ~Internet of Toilet~」
これについては、内容をご紹介する前に、9月4日に親会社であるNTTComと弊社NTTPCで共同発表したニュースリリースをまずはご参照頂ければと思います。
https://www.nttpc.co.jp/press/2017/09/201709041100.html
こちらの発表では3つの具体的なIoTの実証実験がアナウンスされていますが、そのうちの2つめ、TOTOさんとの協業による「スマートホーム分野」にご注目ください。こちらの図2にもあるように、トイレ等に搭載された各種センサから匂いなどのデータを収集し、各種未病対策や高齢者の体調把握等に活用していこうという、(手前味噌ながら)非常に先進的な取り組みです。当日はTOTOさんの社名含め発表できる内容は限られていたのですが、可能な範囲でご紹介しました。
三つ目には「トラックのIoT ~Internet of Tracks~」として、先日8月23日にリリースした「みまもりがじゅ丸」を紹介しました。
https://www.nttpc.co.jp/press/2017/08/201708231500.html
「みまもりがじゅ丸」は警備会社や建設会社等、屋外で働くフィールドワーカーの方々を多く抱える企業向けのサービスなのですが、このサービスを企画した発端がトラック運転手さんの健康不調を起因とした事故を防ぎたいという某社の方のお話だったため、トラックのIoTとして紹介しました(単に「IoT」として事例三つを「T」に揃えたかっただけという話もありますが。。)
かくして私の講演は終了し、その後は神情協所属企業からは株式会社NTC様、関越ソフトウェア株式会社様、新明和ソフトテクノロジ株式会社様、鈴与シンワート株式会社様、株式会社フューチャーネットワークス様、一方のEMS-JP所属企業からは、日本システム開発株式会社様、富士通フロンテック株式会社様が相互に講演し、自社が注力している、特長のあるソリューション/製品の数々が紹介されました。それぞれ大変興味深いものばかりでした。
さて、すべてのプレゼンテーションが終了したあとは、会場を「ホテルキャメロットジャパン桃花苑」に移しまして、大変盛大な懇親会が開催されました。ちなみに私は数名の方々と二次会へと流れていき、横浜からなので帰りはかなり遅くなりましたが非常に楽しかったです。
そこでも紹介されていましたが、神情協さんは、会員向けのソフトウェア言語の勉強会からディナークルーズパーティまで、硬軟取り混ぜた多彩なイベントを積極的に開催されており、神奈川のIT業界の発展に非常に貢献されているなと感じました。
一方のEMS-JPも全国規模でさかんに活動しており、東京では毎週のように会合が開かれています。そうした中、月に一度は弊社NTTPCの本社ビルの会議室を使って開催されており、活動のあとの新橋界隈での飲み会も毎回大変盛り上がっています。
前述したように、今回のIT業界のコンソーシアムと精密機器周辺業界のコンソーシアムとのコラボイベントは、IoTがもたらす業界構造の変革を象徴したとも言えるものでした。
今後IoTの進展により、ネットワークにつながっていく「モノ」は、電子機器等だけではなく、衣服、住宅、文房具、インテリア、玩具、人型ロボット、人体等々、、、さらに多様化していきます。こうなってくると私どもIT企業の協業相手となる業界はますます広がっていくことでしょう。これからは様々な異なる業界のコンソーシアム間の交流や、コラボイベントも盛んになってくるかもしれませんね。そう考えるとますます楽しみになってきます。