技業LOG
はじめに
本記事では、健康経営®支援サービスにおけるバイタル情報(脈拍)の活用に関して紹介します。
技術的なお話しとはなりませんが、ご一読くださいますと幸いです。
NTTPCの健康経営®サービスの
取り組みについて
これまで、NTTPCではバイタル情報を活用したサービスとして、みまもりがじゅ丸®を提供してまいりました。
もともとは、IoTという括りの中で、バイタルセンサーの活用により、企業の健康管理への一助としてのサービス提供を始めました。
当時は、運送業などでの事故が社会問題化した時期でもあり、ドライバーのバイタル情報からみまもりを実現するためのサービスとしてご利用を推進しておりましたが、当時から問題が大きくなりつつあった、熱中症に対する対策ツールとしての利用が拡大し、現在は、みまもりがじゅ丸®は、熱中症対策として多くのお客さまがご利用されています。
このみまもりがじゅ丸®で、核となる情報が脈拍から推定できる各種情報となります。
脈拍は体調の変化をダイレクトに示す情報となっており、みまもりがじゅ丸®では、この脈拍自体の情報も活用をしておりますが、他に熱ストレス(熱への暴露)推定、作業強度(運動強度)推定に活用をしています。
ご利用者の方は、この情報をもとに、計測者の体調を把握し、みまもりを実施していきます。
身体的なストレスを脈拍から推定して、ご利用いただいていることとなります。
ここまでは、みまもりがじゅ丸®のお話となりますが、脈拍の情報は、上記のような身体的ストレス以外にも、心的ストレスの把握にも利用が可能な情報となります。
健康経営®支援サービスは、この心的ストレス把握の情報を活用したサービスとなっています。
では、脈拍の情報からどのように心的ストレス把握を行うかを一般的な情報をもとに説明いたします。
自律神経とは
最近、世の中でも「自律神経バランス」という言葉がよく聞かれると思います。
「自律神経」は、言葉の通り、自律的に働く神経であり、我々の意思とは関係なく、生きていく上で必要となる活動(呼吸・拍動・消化・代謝・排泄など)を24時間365日行っています。
「自律神経」は「交感神経」と「副交感神経」二つの要素で構成されており、「交感神経」は活動時に働く神経となり、「副交感神経」は休息・リラックス時に働く神経となっています。この二つの神経は、働きが一方に偏ると健康面に悪い影響を及ぼすといわれており、昨今は、自律神経のバランスの重要性が強くうたわれています。
では、どのように自律神経のバランスを確認することができるでしょうか?
自律神経バランスの把握について
自律神経の状態を知る方法は、いくつか存在しますが、前述の通り、「自律神経」は「拍動(心拍)」にも影響を及ぼします。そのため、拍動の状態を知ることにより「自律神経」の状態を知ることができます。
自律神経の把握には、心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)を活用します。
HRVとは、心拍間隔の周期的な変動です。
例えば、心拍が60/分だとしても、通常はその1分の中で、短い間隔もしくは長い間隔で心拍を刻んでいます。この心拍間隔のゆらぎをとらえて数値化することがHRVの値となり、元情報としてよく利用される情報としては、「RRI(R-R Interval)」があります。
「RRI(R-R Interval)」は、簡単に言えば、鼓動の「どっくん」の間隔となります。(あくまで、簡単に言えばとなります)
このRRIを時系列にならべ、パワースペクトルとして変換し、LF(Low Frequency)とHF(High Frequency)の2つの領域に注目します。LF成分は0.05Hz~0.15Hzまで、HF値は0.15Hz~0.40Hzまでの成分です。
※数学的な説明は割愛いたします。
このHF・LFはそれぞれ、自律神経の活動状況を示しています。
LF:交感神経と副交感神経両方の活動状況を示す。
HF:副交感神経の活動状況を示す。
この値を活用し、自律神経のバランスを計測するストレス指標『LF/HF』が存在します。
簡単に示すと、下表の考え方となります。
状態 | LF/HFの値 |
---|---|
リラックス状態 | 小さくなる |
ストレス状態 | 大きくなる |
LFは交感神経と副交感神経、HFは副交感神経の活動状況をそれぞれ表しているため、上表のようにLF値からHF値を除算した値(LF/HF)が小さいほど、副交感神経が優位であることを示し、リラックス状態であるといえます。また、この値が大きいほど交感神経が優位であることを示し、ストレス状態であるといえます。
なお、健康経営®支援サービスでは、これまでご説明をした自律神経の状態を示す情報に加えて、みまもりがじゅ丸®サービスで培ったノウハウや各種実証実験で得られた知見を活用し、自律神経バランスや疲れやストレスの状態を可視化することを可能にしています。
最後に
本記事では、自律神経バランスの把握に関しての一般的な情報を記載いたしました。
世の中のスマートデバイスでストレスの把握を行う機能を提供しているものも少なくはありませんが、脈拍を取得してストレスを把握するものの多くは、このような脈拍のゆらぎを活用して計測を行っています。
健康経営支援サービスでは、これらの情報を計測し得たデータを計測者本人だけでなく、会社の部署やチーム単位で、個人を特定しない形でご担当者の方が確認できるものになっています。
今日、働き方改革関連法案の施行や人的資本可視化指針の策定義務化など、企業に対してこれまで以上に従業員のフォローが求められる中で、今回の記事が参考になれば幸いです。
-
※本記事は、一般的な情報をもとに作成をしています。自律神経の状態把握は、個人差や測定方法・条件などにより異なってくることをご留意ください。
-
※健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
技業LOG
この記事の関連するサービスは
こちら
健康経営®支援サービス
社員がウェアラブルデバイスを着用するだけで、
社員自身のセルフケアと企業の働く環境の改善をサポートするサービス。