【技業LOG】
技術者が紹介するNTTPCのテクノロジー

2019.10.11
その他

ローカル5Gの展望、ユースケース

大野 泰弘

ネットワークスペシャリスト

大野 泰弘

5Gの注目度

みなさま、こんにちは。
ローカル5Gとは一言で表すとWi-Fiのように自営で設置する5G(第5世代移動通信システム)通信網となります。
では、そもそも5Gとは何がそんなに注目されているのか、ローカル5Gはどんなことに使われるのか、そういった詳細を調べることは難しいですが、今すぐ知りたい核心的なことをこの記事で紹介できればと思っております。

まず、5Gの注目度はどの程度なのか、Googleトレンドを利用してLTEと比較してみましょう。

画像:Googleトレンド

Googleトレンド( https://trends.google.co.jp )

赤がLTE、青が5Gの全世界でGoogle検索された回数を示します。
LTEに対して2倍の検索数をとなる5Gは間違いなく注目の新技術と言えるでしょう。

ではなぜ、5Gがここまで注目されている理由を紐解いていきたいと思います。

4Gと5Gの比較

既存の4G(LTE)と比較すると、「高速・大容量」「大量端末接続」「超低遅延・高信頼性」の項目において秀でている事がわかります。
とりわけ、4K放送やNetflix、YouTube、Hulu等々のリッチな動画コンテンツをスマートフォン等で場所を選ばず閲覧する事が出来るようになり、インターネット全体トラフィックのうち、8割を動画コンテンツが占めると言われるようになった昨今、「高速・大容量」の実現は社会に最も求められている要件と言えるでしょう。

画像:4Gと5Gの比較

上図では4Gと5Gの電波性能について比較したものであり、実際には各キャリアのバックボーン※がユーザーの体験を左右します。
20Gbpsの性能がある5Gを利用したとしても、バックボーンがそれに見合う設計となっていなければユーザー体験は4G時代と大きく変わることは無いでしょう。
各キャリアには5Gに見合ったバックボーンへと増強する社会的責任があると言えます。

  • バックボーン:インターネットなどの通信ネットワークにおける、事業者間を結ぶ高速・大容量の回線。
  • Netflixは、Netflix, Inc.の登録商標です。
  • YouTubeは、Google LLCの登録商標です。
  • Huluは、Hulu, LLCの登録商標です。

5Gの適用例

5Gの適応例を考えていきましょう。
「高速・大容量」動画のような大容量データを瞬時にユーザーへ届けます。
「超低遅延・高信頼性」建設機器等の遠隔操作に力を発揮します。利用者はタイムラグによるストレスを感じることなく、実際の現場から離れ空調の効いた快適な操作室から作業が可能になると期待されています。
「大量端末接続」すべての機器がインターネットに接続されたIoTの世界を実現するには大量端末が接続できる環境が必要不可欠となります。AIスピーカーに語りかけるだけでIoTデバイスが自動で動き家事が完結する世界や、遠く離れた家族をIoTで見守ることの出来る世界など、ドラえもんで描かれた21世紀の実現は案外すぐ近くまで迫っているのかもしれません。

画像:5Gの適用例

もう少し詳しく5Gについて紹介します。

5Gの3つの特性

LTEの後継に位置する要件をeMBBと言い、この要件のみ標準化が先行して行われました。2019年9月にプレサービスインする日本の5Gも、このeMBBに該当します。これに加えて、「大量端末接続」のmMTC、「超低遅延・高信頼性」のURLLCが続いて標準化が行われています。
このように複数の要件を5Gは満たすことが出来るように標準化が行われており、各要件に応じてネットワークを仮想的に分離して提供する事を「ネットワーク・スライシング」と言います。

画像:5Gの3つの特性

各国の5Gの展開スケジュール

各国の5G展開スケジュールを確認しましょう。
米国、韓国では2019年4月よりスマホ向けに5Gサービスの提供が開始されており、中国では2019年中の順次展開が予定されています。
欧州(主にドイツ)ではスマホ向けと言うよりは、工場IT化(スマートファクトリ)の手段として5Gが利用されることを期待しています。
では、日本ではいつから5Gが利用できるようになるのでしょうか。
2020年の東京オリンピックパラリンピック競技大会前に本格展開が予定されています。

画像:各国の5Gの展開スケジュール

日本のキャリアの展開スケジュール

しかしながら、5Gサービス開始当初は首都圏のみであり、全国展開は2024年度が目標となっています。
地方の方々は5G体験の提供まで時間がかかることになります。

画像:日本のキャリアの展開スケジュール

米Gartner(ガートナー)※は8月29日(現地時間)、先進テクノロジーが登場した後の動きを図示した「ハイプ・サイクル」の2019年版を発表しました。ここでは5Gが「過度な期待」のピーク期にあるとされています。
4Gと5Gの比較で紹介した通り、各キャリアのバックボーンが5Gに対応したものへ成長できなければ4Gの体験と変わることはありません。我々、通信キャリアの使命は「過度な期待」で5Gを終わらせない事だと考えます。

  • Gartner(ガートナー): IT分野を中心とした調査・助言を行う企業。本社はコネチカット州スタンフォード。
画像:日本のキャリアの展開スケジュール

前置きが長くなりましたが、ここでローカル5Gの紹介に移りたいと思います。

ローカル5Gとは

ローカル5Gとは、各建物や土地の管理者が自前で5G免許を取得し、Wi-Fiのように自営網として5Gを利用する事を指します。
スタジアム運営者が導入し、試合に関する動画コンテンツ等を同時配信するeスタジアム。事業主が工場へ導入し、作業ロボットをネットワークでつなぎ、ロボットがIoTセンサーから収集したデータを元に、自分で考えて作業をすすめるスマートファクトリ等々。ローカル5Gを使うことで生活が更に豊かになる事を期待されています。

画像:ローカル5Gとは

Wi-Fi vs ローカル5G

Wi-Fiとローカル5Gを比較します。
自営設備として利用する為、通信料金が発生しない部分は同じです。Wi-Fiであればパスワードまたはクライアント証明書を利用しますが、ローカル5GではSIMを利用します。データではなく物理的に存在するSIMを利用する事で、不正アクセスされ難い、高いセキュリティを担保します。また、Wi-Fiに比べてローカル5Gの方が安定して通信できます。
Wi-Fiの「通信料が発生しない」というメリットを包含しつつ、認証にSIMを用いることで高セキュリティを、さらには公衆ネットワークを経由せず専用で利用できることから高速、高信頼、低遅延を担保できる為、産業用IoT、自動運転、ドローン等々ミッションクリティカルな場面での利用が予想されます。

画像:Wi-Fi vs ローカル5G

ローカル5G基地局(Huawei)

これは2019年6月12日(水)~2019年6月14日(金)に幕張メッセで開催されたInterop Tokyo 2019のHuaweiブースで展示されていた、ローカル5Gの基地局と電源装置になります。奥にあるマウスと比較するとその小ささが分かりますね。

画像:ローカル5G基地局(Huawei)

それでは、ローカル5Gは実際にどのような分野で使われているのでしょうか。

ドイツの動向

ドイツでは既にプライベートLTE(自営網LTE)を利用して、工場のオートメーション化を行っています。このソリューションをローカル5G化する計画のようです。
また、アウディ(Audi)は、工場でWi-Fiを活用しており、より高速かつフレキシブルに稼働させつつ、リアルタイムにデータを収集するために、2018年からローカル5Gの試験導入を始めています。
現時点では、部品を溶接するロボットに適用していますが、既に目覚ましい成果が得られているとして、数年以内に他のドイツ工場内に敷設し、その後で全施設のWi-Fiを5Gに更改することも検討しているようです。
アウディの他にも、ダイムラー(Daimler)やフォルクスワーゲン(Volkswagen)などの自動車メーカーに加え、ユーティリティー、ガス、オイル、化学工場、港湾設備関連の企業も5Gネットワークの構築に関心を示していると報じられています。
5Gは今後、ドイツが提唱するインダストリー4.0を支える重要な基盤になっていくことがうかがえます。

画像:ドイツの動向

インダストリー4.0とは

ドイツでは機械が自ら考えて生産を行う状態を第4次産業革命(インダストリー4.0)と呼んでいます。
人間の目鼻手足等の感覚器の代わりとなるセンサーを工場内に設置して、様々な情報を収集し、その情報を元に未来を予測して生産計画を人工知能が考えるのです。収集するデータは制度の高い予測を行う為にリアルタイム性を求められており、5Gによってレイテンシ(遅延)が少なくなることで、リアルタイム性は更に向上する事でしょう。
インダストリー4.0の実現により、今まで人間の労力が必要だった部分をロボットで代用する事で、製品開発等のよりクリエイティブな業務に労力をかけることが出来るようになります。

画像:インダストリー4.0

5G総合実証試験の事例紹介

最後に、総務省主催で行われた5G総合実証試験の内から5Gの3つの要件(eMBB, mMTC, URLLC)毎に事例を紹介します。

5G × ソリューション事例(eMBB:高帯域)

では1つ目の要素、eMBB:高帯域についてです。
博物館やスタジアム等に5G(eMBB)を導入し、高臨場・高精細の映像コンテンツを超高速で伝送し、新たなエンターテインメント体験を提供可能にします。

画像:インダストリー4.0

5G × ソリューション事例(mMTC:大量端末接続)

次に2つ目の要素、mMTC:大量端末接続についてです。
高速道路の橋梁に多数の振動センサーを設置し、5G(mMTC)で収容します。
収集する振動情報から橋の劣化具合を予測し、工事計画に反映します。
通常、橋梁の劣化を判定するには作業員が器具を利用して測定しなくてはなりません。それをIoTセンサーで代用する事で、危険な高所作業を減らすことが出来ます。

画像:5G × ソリューション事例(mMTC:大量端末接続)

5G × ソリューション事例(URLLC:低遅延)

3つ目の要素、URLLC:低遅延についてです。
冒頭でもお伝えしましたが、建設機器の遠隔操作へ利用します。
5G(URLLC)により1ミリ秒といった低遅延で操作が可能となり、操縦者は遅延による操作のストレスを感じることなく作業することが可能になります。 こういった働き方改革を支えるのもIoTや5Gといった最先端技術の役割と言えます。

画像:5G × ソリューション事例(URLLC:低遅延)

さいごに

本投稿では5Gおよびローカル5Gについて紹介いたしました。
いかがでしたでしょうか?少しでも貴方の5Gへの理解が深まっていれば嬉しいです。

5G/ローカル5Gの登場により生活の質は向上すると思われます。
新たな時代の幕開けにNTTPCをパートナーとして選んでくださいましたら幸いでございます。

貴重な時間を割き、最後までお読み下さいましてありがとうございました。

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