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AI活用の最新事例:業務の効率化と生産性向上

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業務効率化と生産性向上を目指し、家電や自動車など様々な分野で活用が進むAI(人工知能)。今回はAIの定義や活用するメリット、AIによって便利になったもの/ことなどについて解説するとともに、最新のAI活用事例について具体的に紹介します。

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目次

AIとは

「AI」は「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の頭文字で、日本語に直訳すると「人工知能」となります。
具体的には「人間に近い知能を持つ人工的なもの」、または「人間に近い知能を持つコンピュータープログラム」を生み出す工学的技術のことを指します。
AIはさらに特定の知的課題を解決するための「特化型AI(ANI、Artificial Narrow Intelligence)」と、人間の脳と同様に様々な知的課題を解決するための「汎用型AI(AGI、Artificial General Intelligence)」に分類できます。また、近年では人間を超える知能を持った「人工超知能(ASI、Artificial Superintelligence)」という言葉も聞かれるようになってきています。

AIの仕組み

AIは「センサー」「システム」「アクチュエーター」の3つの要素から構成されます。
「センサー(sensor)」は日本語では「検知器」を指し、環境情報(温度や風景、音声など)をデジタルデータとして検知する役割を持ちます。人間の眼や耳のような感覚器に相当する要素です。
「システム(system)」は日本語では「機構」を指し、センサーで得たデジタルデータから推論・判断などの知的な活動を行う役割を持ちます。人間の脳に相当する要素です。
そして「アクチュエーター(actuator)」は日本語では「駆動装置」を指し、システムが出力したデジタルデータに応じて物理的運動を行う役割を持ちます。人間の手や足、声帯などに相当する要素です。
AIはこれら3つの要素を用いて人間と同様に知的課題を解決します。

機械学習や深層学習との違い

AIを語る際によく使用される用語に「機械学習」と「深層学習」があります。
「機械学習」はコンピュータープログラムに大量の学習データを与えることで規則性を発見させ、より精度の高い推論・判断を得ることを可能とする技術を指します。
また、「深層学習」は機械学習をさらに発展させ、人間の脳を模した「ニューラルネットワーク」により多層的な機械学習を行う技術を指します。
「機械学習」はAIを実現するための技術、「深層学習」は機械学習の中の一手法、と捉えておけばよいでしょう。

AIの市場規模

総務省の「令和6年版情報通信白書」によると、2022年の世界のAI市場規模(売上高)は1,420億ドル(約20兆円)とされており、2030年には1兆8,470億ドル(約290兆円)と、10年足らずで10倍以上に拡大すると予測されています。
国内のAIシステム市場規模(支出額)についても同様に、2023年には約6,859億円であったものが2028年には約2兆5,434億円まで拡大されていると予測されており、国内外でAIの市場規模が急拡大していることが分かります。

参考:総務省「令和6年版情報通信白書」

AIを活用するメリットとは?

このようにAI市場が急拡大している背景には、AIを活用するメリットが非常に大きいことがあげられます。

業務効率化が進む

前述のようにAIは人間に近い知能を持っており、人間と同様に推論や問題解決を行うことができます。
この特徴を利用し、人間が行う業務の一部をAIに任せることができれば業務の効率化や人件費の削減を達成することができます。また、現在浮上している労働力不足や後継者不足などの課題の解消・軽減にもつながるでしょう。

生産性向上につながる

もう1つのAIの利点として「業務の質を一定に保つことができる」ことがあります。長時間にわたり連続で稼働させても、人間のように集中力やモチベーションが低下したり、肉体的に疲労したりといったことはありません。また、日によって体調や気分が変化して、業務品質が変動したりすることもありません。
AIの活用には、人間の負担を軽減し、生産性が向上するという利点もあるのです。

事故や人為的ミスの削減につながる

AIには「短時間で状況を把握し、リアルタイムで評価や予測を行うことができる」という利点もあります。
この特長を利用すれば、人間が巻き込まれるような事故の発生を予測し回避したり、機械の故障発生時期を予測し最適な交換時期を設定したりすることができます。
また、危険がともなう業務や、危険をともなう場所での業務をAIに代行させることにより、事故を減少させることもできます。

AIができること

具体的にはどのようなメリットが得られるのか、ここでAIの活用により実現できることを確認しましょう。

画像認識

システムに直接画像データを与えるか、センサーとしてカメラなどを使用すれば、画像の認識が可能です。AIに人間が「眼」から得た視覚情報をもとに物体や文字を認識するのと同様の働きを持たせれば、物品の分類や自動文字起こしなど様々な活動に活用することができます。

音声認識

センサーとしてマイクを採用すれば、音声認識に活用できます。取得した音声を文字情報に変換したり、問いかけに対して受け答えをしたりなど、人間が「耳」から得た聴覚情報を元に処理するのと同様の働きを持たせることができるため、文字起こしや音声アシスタントなどの分野に応用できます。

自然言語処理

「自然言語処理」は、人間が普段日常的に使用している言葉(=自然言語)をコンピューターに処理させる技術です。人間が「耳」で聞いた会話を理解したり、「眼」で見た文章を読み上げたりするのと同様の働きをAIに持たせ、テキストの要約や変換などを行わせることができます。

予測分析

人間は過去のデータを分析することで、今後の展開を予測したり推論を立てたりすることができます。同様に、AIにも学習データから得た規則性を活用して予測・推論の働きを持たせれば、需要予測などの活動に活用することができるでしょう。

最適化

「最適化」は、与えられた制約の範囲内で最良の選択肢を見つけることを指します。例えば複数の地点を回る場合、人間は最短距離で回れるようルートの最適化を図ります。リソース利用の効率化などの目的を果たすためには、AIにも最適化の能力を持たせる必要があります。

AIによって便利になったもの / こと

これら「AIにできること」により、便利になったこと、便利になったものについて具体的に見てみましょう。

ロボット

ロボットの分野では、音声認識、自然言語処理により対話式で施設内などの案内を行うロボットが登場しています。
また、画像認識により話者の表情を読み取って感情を把握した上で表情を変えたり、身振り手振りを交えて会話を行うことができたりするようなロボットも登場しています。
これまでロボットといえば反射的に機械的な対応を思い浮かべてしまうことが多かったですが、現在ではより利便性の高い、親しみを感じるものとなっています。

家電

家電分野では、音声認識、自然言語処理により音声で操作できるTVや扇風機、電子レンジなどが登場しています。また、音声操作に対応していない家電を間接的に音声操作できるスマートスピーカーも登場しています。
また、画像認識により障害物を避けながら最適化されたルートを使って設定されたエリアを清掃することができる自動掃除ロボットや、周囲の明るさに応じて自動的に調光する照明器具なども登場しています。
電源のオン・オフをするためにスイッチのある場所まで移動する、使用中は機器から離れられない、などの不便が解消され、利便性が増しました。

自動車

自動車に搭載された自動運転装置は、各種の特化型AIを組み合わせ、汎用型AIに近い働きをしているものといってよいでしょう。画像認識により歩行者や標識をリアルタイムで認識するなど、運転に必要な情報を取得することで、AIが人間に代わって自律的に車両の運転を行います。
自動運転装置により、運転ミスによる交通事故の減少、交通量の最適化による渋滞緩和などの効果が期待できます。

スポーツ

スポーツの分野では、体操をはじめとする各種競技において、画像認識を活用した判定や、採点・評価を行うシステムの導入が開始されています。また、予測分析や最適化により、中心となる選手を自動で追尾する中継システムなども開発されています。
競技者にとっては審判員の感情に左右されない客観的で正確な判定を受けることができる、観戦者にとっては試合の大事な場面を漏らさず視聴できる、というメリットがあります。

教育

教育の分野では、画像認識により記述式のテストを自動採点するシステムが開発されています。
また、それらの成績を蓄積した学習データから、予測分析や最適化により各生徒の習熟度に応じた課題を提示したり、個別カリキュラムを作成したりといったことも可能となっています。
問題作成や採点といった事務作業が教員の大きな負担となっていたことも考えると、教員、学生・生徒の双方にとって便利になったといえるでしょう。

宇宙開発

NASA(アメリカ航空宇宙局)は、画像認識により月面写真の中からクレーター部分を自動検出するシステムを開発し、月のクレーターマップを作成しました。
同システムにより、人間による手作業では3時間かかっていた作業を、ほぼ同じレベルの精度を保ちながら約1分でこなすことができるようになったそうです。
クレーターマップは月面上で水の存在を確認する目的で作成されましたが、この技術は他分野への応用も期待されています。

業界別AI活用事例

各業界においてどのようにAIが活用されているかも押さえておきましょう。

小売業

小売業では、将来需要を予測して在庫を適正量に保つ、カメラにより商品を自動判別してレジを無人化する、など、AIを活用した業務効率化が進んでいます。
また、監視カメラにより店内の人物の不審な行動を検知しトラブルを未然に防止したり、各個人の購買活動傾向を分析してクレジットカードの不正使用を防止したりするなど、事故の削減にもAIを役立てています。

農業

人手不足や後継者不足が課題となっている農業では、早くからICT技術やロボット技術を活用した「スマート農業」への取り組みが開始されていました。
大きさや形状から時期を見極め、的確な時期に自動で収穫を行う自動収穫ロボットなど、収穫・選別作業において業務効率化や生産性向上が実現しています。
また、病害虫の発生を常時監視し、必要に応じてドローンを用いて局所的・効率的に農薬散布を行うなどの安全対策も採られています。

畜産業

農業と同じく人手不足や後継者不足が課題となっている畜産業でも、AIの活用により解決を図る「スマート畜産」の取り組みが始まっています。
家畜に取り付けたセンサーで各個体の健康状態を把握したり、分娩時期を予測したりするほか、自動給餌器と連動させて活動状況に応じた給餌を行うなど、業務効率化と生産性向上を実現しています。
また、AIを用いた遺伝子解析を行うことにより、従来よりも短期間で効率的な育種改良を行えるようになっています。

水産業

養殖魚への自動給餌やドローンによる赤潮検知など、農業と類似した技術による取り組みは水産業でも行われており、「スマート水産業」「スマート漁業」などと呼ばれています。
また、従来は漁師の勘や経験の占める部分が多く、属人化しがちであった漁場の選択や漁を行う日時決定においても、人工衛星から得られる海面水温や天候などのビッグデータをもとにAIによる分析を行い、効率的な漁の実施や燃料消費の抑制といった業務効率化を実現しています。

医療関連事業

医療関連事業では、CT画像などの読影にAIが活用されており、がんの早期発見などに役立てられています。そのほか、伝染病の発生予測、既往症や遺伝子と疾病との関連性の調査などにも活用され、医療分野でのサービス品質向上を実現しています。
さらに看護分野においても、入院患者の見守りや不穏行動の予兆検出などにAIが活用され、インシデント発生の抑制や入院期間の短縮を実現しています。

金融業

金融業では、金融を意味する「Finance」と技術を意味する「Technology」を合わせた「FinTech」という言葉が生まれるほどAIの活用が進んでいます。前述したクレジットカードの不正使用防止のほか、AIによる音声ガイドやチャットボットなどを活用した銀行などの窓口業務の負担軽減、業務効率化などが図られています。
また、投資家向けに市場予測やシミュレーション結果を提示したり、顧客の状況に応じたポートフォリオを作成したりするなどの場面でもAIが活用されています。

保険業

保険業にも、保険を意味する「Insurance」と技術を意味する「Technology」とを合わせた「InsurTech(インシュアテック)」という言葉が生まれています。
保険料を決定する際にはリスクを算定する必要がありますが、自然災害などの場合には関係する要因が多いためこれまで算定時間がかかっていました。現在はAIの活用によりビッグデータを解析することで比較的短期間での算定が可能となり、業務効率化が実現しています。
また、生命保険の場合には生活状況、自動車保険の場合には運転状況の影響によりリスクは常に変動しますが、そうした変動に対しても保険料を随時変更するなどの柔軟な対応が可能となり、顧客満足度も上昇しました。

製造業

製造業は、現時点で最もAIの恩恵を受けている業種といってもよいかもしれません。
自律型の生産機器導入により省人化、長時間稼働が可能となり、業務効率化や生産性向上を実現しました。また、需要予測にもとづいた生産計画を立てることで、コストの削減も実現しました。
さらに自動化により作業員の不注意による事故や人為的なミスも減少しました。

不動産業

不動産の価格は地価、築年数、周辺事情などの変化により変動するため、適切な価格を設定するにはある程度の時間が必要です。しかし、各要因を考慮しながらもスピード感を持って価格を決定する必要があります。過去の価格データなどを学習したAIを活用すれば、短期間に価格を決定することができるようになりました。
また、AIによるマッチングにより、ユーザーの希望条件に合った物件を抽出することも可能となりました。

GPUはAIのトレーニングや推論に効果的

多くの場合、AIの活用には高性能なGPU(Graphics Processing Unit)が必要となります。GPUの次のような特性から、AIのトレーニングや推論において非常に効果的であるためです。

1.並列処理能力

GPUは、多数のコアを持ち、それぞれが並列に計算を行うことができます。AIのトレーニングや推論を行う際には大量のデータを同時に処理する必要があるため、この並列処理能力が非常に重要です。

2.浮動小数点演算性能

AIのアルゴリズムは、特に深層学習において、多くの浮動小数点演算を必要とします。GPUはこれらの演算を高速に行う能力を持っています。演算性能を示す指標として、FLOPS(Floating Point Operations Per Second)が使われています。FLOPSが高いほど、演算性能が高いといえます。

3.メモリ帯域幅

GPUは一般的に高いメモリ帯域幅を持ち、大量のデータを迅速に読み書きできます。これにより、AIモデルのトレーニング中に必要なデータの転送が効率的に行われます。

4.専用ハードウェア

最新のGPUには、AI特有の計算を効率化するための専用ハードウェア(例:NVIDIA Tensorコア)が組み込まれています。これにより、AIアルゴリズムの高速化が可能です。

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自社でAI開発を高速・高精度で実施する場合には、GPUサーバーが必要となります。しかし、消費電力が高く発熱量の大きなGPUサーバーを運用するためには、自社内に設置環境や外部ネットワークへの接続環境を用意する必要がありますし、セキュリティ面についても考慮する必要があります。
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まとめ

今回は「AI(Artificial Intelligence、人工知能)」について解説しました。
「センサー」「システム」「アクチュエーター」の3つの要素から構成されるAIは、機械学習や深層学習の技術を通じて実現され、年々その市場規模を拡大しています。
AIの活用により、企業は「業務効率化が進む」「生産性向上につながる」「事故や人為的ミスの削減につながる」などのメリットを享受することができます。また、これらのメリットは各特化型AIの「画像認識」「音声認識」「自然言語処理」「予測分析」「最適化」などの働きにより、幅広い分野に応用可能です。
AIはすでにロボット、家電、自動車、スポーツ、教育、宇宙開発などの分野で実用化されており、小売業、農業、畜産業、水産業、医療関連事業、金融業、保険業、製造業、不動産業など様々な業界において活用が進んでいます。
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自社業務へのAI活用を目指す企業さまは、まずは導入の検討から始めてみてはいかがでしょうか。

※「NVIDIA」は、米国および / または他国のNVIDIA Corporation の商標および / または登録商標です。

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