技業LOG
目次
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はじめに
テクノロジーの急速な進化とともに、企業にとって「お客さま視点」のサービス開発がこれまで以上に重要となっています。NTTPCでは、若手人材の育成と組織横断型のオンボーディングを目的に、イノベーション創出プログラムを用いた、「ビジネスクリエイトキャンプ(以降、"BCC"と略します)」という研修施策を実施しています。2024年度で2度目の開催を迎えたこのプログラムでは、新入社員がチームを組み、先輩社員のアドバイスを受けながら、新規サービスの立案に挑戦しました。
新入社員は、「自ら課題を発見し、仮説を立て、検証しながら前に進む」という一連のプロセスを通じて、"自走力"を身に着けることを意識し、取り組みました。本記事では、BCCに参加した新入社員の挑戦の軌跡をたどりながら、NTTPCが大切にしている「お客さま視点のサービス開発」について紹介します。
お客さま視点の開発~カスタマーマニアになる~
なぜ「お客さま視点」が重要なのか
「カスタマーマニアになろう!」
これはBCC全体を通じて何度も強調されたキーメッセージです。単にお客さまを理解するだけでなく、お客さまに対して深い共感と洞察を持ち、その視点から考え抜く姿勢を指します。
カスタマーマニアになるための2つの核心アプローチ
BCCでは、特に次の2点を学びました:
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①お客さまの解像度を高める4つの軸
- 深さ:表面的なニーズだけでなく、潜在的な課題とその要因を掘り下げる
- 広さ:多様な側面から要因を把握する
- 構造:それぞれの要因の関係性を明らかにする
- 時間:時間的な変化を捉えて洞察する
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②インサイト起点の価値創造・実在するお客さま(=1人称)を徹底理解する
- その人の課題を深掘りし、真のニーズを発見する
具体的なサービス立案の過程
BCCでは、実際にビジネスを立ち上げた経験のある先輩社員が講師となり、ビジネスプランを俯瞰的にとらえる、上記①の「4つの軸」を中心に、それらを深掘りする「検討ポイント」と、解像度を高める複数の「キークエスチョン」を用いて、ワークショップを進めました。
本当にお客さま視点になり切れているのか
プロダクトアウトからマーケットインへ
ワークショップが進むにつれて、私達のチームでは「本当にお客さま視点になり切れているのか」という疑問に直面しました。自分たちの技術的興味や「こうあるべき」という思い込みが先行し、プロダクトアウトの思考になっているのではないか?という懸念です。
アイデアのピボット
私達のチームが最初に考えたアイデアは、「バーチャル空間を活用したリアルタイム会議システム」というものでした。VRやメタバースといった最新技術に魅力を感じていたため、それを活用したサービスを考えていましたが、これは明らかに技術起点のプロダクトアウト発想でした。
そこで私達は立ち止まり、自分たち自身がそのサービスの「お客さま(1人称のユーザー)」になったと想定して考えてみました。何が課題となっているのか、本当に求めているサービスが何かを徹底的に議論しました。
その結果、次の点について気づきを得ました。
- 私達新入社員が感じている「会議が長引く」というペインポイント
- 先輩社員との議論で明らかになった「議論が脱線し、結論が出ないことがある」という共通課題
- 社外の有識者へインタビューし、これら課題を実際に感じられていること
これらのインサイトをもとに、私達は当初のアイデアをピボット(方向転換)し、「AIファシリテーターによる会議効率化システム」という新たなコンセプトを生み出すに至りました。これまで以上に、「お客さま視点」を大切にしたサービスを目指しました。
緊張の最終発表
BCCのプログラムの集大成として、最後に各チームが考案したサービスのプレゼンテーションを行いました。審査員には経営層の方々も参加され、緊張感あふれる環境での発表となりました。
私達のチームは、ビジネスをアイデアにまとめる過程だけではなく、プレゼンテーションの場においてもお客さま視点を徹底して意識しました。特に気をつけたのは、抽象的な説明ではなく、実際に私達が感じている会議のペインポイントを率直に共有することです。聞き手の共感を引き出そうとしました。
結果として、会場を沸かせることに成功し、特に「お客さまにウケそうか」という観点で高評価をもらえました。
- 発表時の様子
学びと反省
お客さま視点は言葉でいうほど簡単ではない
私は社会人になってからまだ2年目ですが、"CX(顧客体験)"という言葉をよく耳にします。しかしながら、その言葉の意味は知っていても、それをサービスに落とし込むことは簡単ではないことを実感しました。
その理由として、次のようなことを感じました。
- 無意識の思い込みの多さ:
自分達の価値観や思い込みが、真のお客さま視点を妨げてしまうことがある - 手段と目的を履き違える:
つい技術的な面白さが先行してしまい、本来の目的(お客さまの課題解決)を見失ってしまうことがある - 具体から普遍へ:
1人のユーザーの実体験から課題を把握し、深く向き合うことでむしろ普遍的な価値が見えてくる
"カスタマーマニア"になるためには、これら以外にも反省すべき点が多々あると思います。今後もお客さま視点を常に意識し、ビジネスに取り組んでいきます。
おわりに
BCCを通じて実際のビジネス現場で生きる多くの学びを得ることができました。特に「お客さま視点でサービスを考える」ことは、日々のマーケティング業務において非常に重要な姿勢だと感じています。
NTTPCでは、ビジネスクリエイトキャンプ(BCC)をはじめとする様々なプログラムを通じて自走力を養い、若手からチャレンジできる環境を整え、お客さま視点のサービス開発を大切にする文化を育んでいます。これからも「お客さま視点」を中心に据え、社会に新たな価値を提供し続けていきます。
技業LOG
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