2025年問題とは?企業に訪れる2025年の崖と課題や対策について解説

団塊世代の方々がすべて後期高齢者となるいわゆる「2025年問題」では、社会保障費の増大など様々な課題が予測されています。今回は、企業が直面するIT分野のリスクである「2025年の崖」について、具体的な課題と取るべき対策について紹介します。
- 目次
2025年問題が企業経営に与える大きなインパクト
すべての団塊の世代(1947年~1949年生まれ)の方々が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、社会保障費の増大、医療提供対象の維持や年金制度改革など、様々な課題が顕在化するとされ、「2025年問題」と呼ばれています。また、少子高齢化の進展による労働人口の減少など、企業経営に与えるインパクトも大きいとされています。
特にIT分野においては、IT人材の不足に加え、いわゆる「2025年の崖」との関連もあり、大きな影響が予想されています。
各企業の転換点となる「2025年の崖」
経済産業省の「DXレポート」による定義では、「2025年の崖」とはDXの推進が遅れることにより各企業の競争力が低下し、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じるリスクを指すとされています。2025年の崖を乗り越えられない企業は経営面、人材面、技術面において様々な危機に直面する危険性も指摘されており、経済産業省を中心として国をあげてレガシーシステムの刷新とDX推進を呼びかける背景となっています。
参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」
レガシーシステム、今こそ見直しの時
「DXレポート」によれば、「レガシーシステムがDXの足かせと感じている」と回答した企業は全体の約7割に達しています。社内でのDXの進捗に合わせて部門別にシステムを構築した場合には、部門間でのデータ共有が困難となりDXへの障害となります。また、独自開発したシステムや過剰にカスタマイズしたシステムを長年にわたり継続して使用している場合、全社的にシステムを統合しようとするには非常に複雑で長い工程が必要となるでしょう。そもそも、老朽化したシステムの中には仕様が不明でブラックボックス化しているものも存在するかもしれません。
DXを推進して2025年の崖を乗り越えるためには、こうしたレガシーシステムを見直し、業務環境全体を変革する必要があるのです。
2025年、各企業に訪れる経営面・人材面・技術面での危機

2025年の崖による課題について具体的に確認しましょう。
経営面からは、ハードウェア、ソフトウェア両面において移行タイミングを逃すことにより、競合他社に後れをとり、企業競争力を失う危険性があります。また、老朽化した環境を使い続けることで、刻々と変化していく市場の変化に柔軟に対応することも困難となるでしょう。
「DXレポート」によれば2025年には約43万人のIT人材が不足するとされており、人材面からはIT人材の不足により自社のサービス品質が低下する、必要なIT人材を確保できない、などの問題が顕在化する恐れがあります。
団塊の世代の方々の定年退職が始まった2007年には、熟練した技術者のスキルやノウハウの継承が問題となり「2007年問題」と呼ばれました。この問題は第2次ベビーブーマーの退職を控えた現在でも続いており、特に古いプログラミング言語に精通した人材の減少によりレガシーシステムの修繕・更新や運用のノウハウが失われるという技術面でのリスクが指摘されています。また、多様化、巧妙化したサイバー攻撃への対策などのためレガシーシステムの保守コストが年々増大する、AIやクラウドなどといった新たなデジタル技術の導入が遅れる、などのデメリットもあります。
つまり、各企業は2025年に人材面、投資面、競争力面のすべてで危機に陥るリスクを抱えていることになります。これらリスクを未然に防ぐためにも、IT基盤を始めとする社内システムを早急に見直し、ネットワークやセキュリティを強化する必要があるのです。
DX推進が遅れた場合の具体的損失
レガシーシステムの放置は、現時点でもすでに具体的な損失を引き起こしています。
経営面では、グローバル競合他社とのデジタル格差が拡大し、機会損失や利益減少といった影響が出ます。
人材面では、非効率的な業務を継続することにより社員のモチベーションが低下し、離職率が上昇したり、AIなどの新たな技術を前面に押し出した企業と比較して人材確保において不利な状況に置かれたりといった問題が生じます。
技術面では、老朽化したシステムを使い続けることにより障害発生頻度が増加し、生産性が低下したり、事業継続性に問題が発生する危険性があります。
これら具体的な影響が日々発生している可能性があることから考えても、DXの推進には猶予がないことが分かるでしょう。
2025年に企業はどう変わるべきか?持続的成長へのアプローチ
レガシーシステムからの移行を考える際、段階的なクラウドへの移行という手段は大いに検討する価値があるでしょう。ハードウェア、ソフトウェアの両面において新たなITインフラを構築すると同時に、ネットワークを刷新してセキュアかつ高パフォーマンスな業務環境を整備することができるためです。また、移行の際には、DX推進のための人材育成(リスキリング)や外部パートナーの活用も視野に入れると良いでしょう。
ここでは、複数拠点やクラウド環境を安全かつシームレスに接続できるソリューションであるNTTPCの「Prime ConnectONE®」を紹介します。
ネットワークの最適化が重要となる理由
業務でクラウドやSaaSを利用する機会が増加するとともに、拠点間で通信するデータ量も増加し、従来のオンプレミス環境を前提としたセンター集約型のネットワーク構成は限界を迎えています。特に多くの店舗を管理するような業種においては、ネットワーク遅延による業務効率の低下やセキュリティリスクの増大を防ぐため、ネットワークの最適化が重要な課題となっています。
NTTPCの「Prime ConnectONE®」を活用すれば、DXの基盤となるデータ活用を支える重要な要素の1つである安全かつ高速で安定的な通信環境を実現することができます。
Prime ConnectONE®の特長と導入メリット
「Prime ConnectONE®」の特長として、インターネットブレイクアウト+ウェブセキュリティにより安全・快適にクラウドにアクセスできることがあげられます。インターネットブレイクアウト機能により各拠点からインターネットに直接アクセスするため、自社の業務に合わせて複数のクラウドサービスを組み合わせて利用する場合にも、センター拠点でのボトルネックが発生せず快適に利用することができます。また、ウェブセキュリティ機能により危険なサイトへのアクセスを遮断するため、安全にクラウドや SaaS、各種Webサイトにアクセスすることができます。
さらにキャリアフリーのため、電力系アクセス回線などお客さまの既存回線も利用できるとともに、遠隔地や海外拠点へのネットワーク拡張もしやすい環境となっています。
IT人材不足への取り組みと組織変革
2025年の崖におけるIT人材の不足への対策としては、リスキリングを含む自社でのIT人材育成に加え、外部パートナーや海外リモート人材の活用などで人材不足を補う方法が考えられます。また、経営層と情報システム部門が連携して業務改革、組織変革を行うことでDX化を推進し、省人化を進めるという方法もあります。
「AIOps(Artificial Intelligence for IT Operations、エーアイオプス)」は、AIを活用してIT運用を効率化・自動化する技術です。「Prime ConnectONE®」は、AIOpsを活用してネットワークの運用管理とセキュリティ対策の自動化・効率化に寄与します。例えばIT人材を配置していない拠点に対しても、ダッシュボードを通じて自動で故障個所を特定し、トラブルの原因となった端末を自動で隔離するなどの支援により復旧までの時間を短縮することできます。
「Prime ConnectONE®」は、運用負担の軽減をお考えの企業さまやIT人材が不足する企業さまにお勧めのサービスです。「Prime ConnectONE®」を導入し、システム刷新と人材育成を同時進行して2025年の崖を乗り越える体制を構築しましょう。
まとめ
今回は、すべての団塊世代の方々が後期高齢者となる「2025年問題」と、DXの推進の遅れにより年間最大12兆円の経済損失が生じる「2025年の崖」について解説しました。
2025年問題および「2025年の崖」は、社会的な面においてにもIT分野の面においても大きなインパクトをもたらします。特に2025年の崖により約43万人のIT人材が不足する、古いプログラミング言語に精通した人材が減少する、などの問題があり、経済産業省などがレガシーシステムの刷新とDX推進を促しています。
2025年の崖を放置すれば企業競争力を失うなどの「経営面」での課題、IT人材の確保に困難を生じるなどの「人材面」での課題、レガシーシステムの保守コストが増大するなどの「技術面」での課題に直面する恐れがあります。今後の激しい競争時代を勝ち抜くためにも、経営層と情報システム部門が連携して業務改革、組織変革を実現してDXを推進することは必須であるといえます。
現時点で2025年の崖を乗り越えることのできる社内環境を構築できていない場合には、まずは影響を可能なかぎり抑え、経営上のリスクを回避するため、適切な対策と投資を早急に実施する必要があります。その第一歩として、まずは老朽化したレガシーシステムの段階的なクラウドへの移行とネットワークの最適化を図ってみてはいかがでしょうか。
※ICT Digital Columnに記載された情報は、リリース時点のものです。
商品・サービスの内容、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。