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M2Mとは?IoTとの違いや、事例について解説します!

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以前のコラムではモノのインターネット「IoT」について紹介しましたが、一方でモノとモノとが通信する「M2M」という言葉も存在します。今回は「IoT」と「M2M」の違いを解説するとともに、その仕組みや事例、メリット・デメリットなどについて説明します。

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目次

M2Mとは?

M2M(Machine to Machine)とは、ネットワークに接続されたモノ同士が直接的に通信を行い、データの送受信および機器の自動制御などを行う技術を指します。

IoTとの違い

ここまでお読みになって、「あれ、あらゆるモノがインターネットに接続され、相互に通信して相互に制御する『IoT』と同じでは?」とお感じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際、2つの概念は非常に似ています。
2つの大きな違いは、「IoT」(Internet of Things)がその名の通りインターネットを介した通信を前提としているのに対し、機器同士が直接通信を行い、インターネットに必ずしも接続する必要がないのがM2Mです。
また、その目的にも違いがあります。M2Mはある意味「閉じた」ネットワーク内での機械の情報交換や自動制御に主眼を置いているのに対し、IoTは機械から得られた情報をヒトやモノが活用できるようクラウド上に保存・蓄積するところまでを包含しています。

M2Mの市場規模

実はM2Mは言葉としては、IoTという言葉が生まれた1999年のはるか以前、一説によれば20世紀初頭から存在していたとも言われています。そのため実用化も早く、実際に株式会社矢野経済研究所の「IoT/M2M市場に関する調査を実施(2020年)」によれば、M2Mの市場規模は2019年度に前年度比4.5%増の2,100億円で、今後は5Gなど新たな通信サービスの普及に伴って市場が順次拡大し、2024年度には2,650億円に達すると予測されています。

図1 国内M2M市場規模推移・予測(矢野経済研究所「IoT/M2M市場に関する調査を実施(2020年)」より転載)

図1 国内M2M市場規模推移・予測(矢野経済研究所「IoT/M2M市場に関する調査を実施(2020年)」より転載)

参考:矢野経済研究所「IoT/M2M市場に関する調査を実施(2020年)」

M2Mの仕組み

では、M2Mはどういった仕組みで実現されているのでしょうか。
図1は、M2Mの仕組みを単純化したものです。まず、センサーやデバイスなどの「モノ」同士が有線・無線を通じて情報をやり取りします。インターネット接続もありますが、M2Mは閉じたネットワーク内での通信がメインとなります。一方、IoTはインターネットを介して情報のやり取りが行われます。センサーやデバイスから得られた情報は通常のSIMまたはMVNO SIMなどを通じてネットワークに送られます。さまざまな通信方式が利用可能ですが、「低消費電流」、「長距離・広範囲通信」といった特長を持つM2Mに適したLPWA(Low Power Wide Area)という方式が多く使用されています。情報はネットワークを介して「モノ」へとフィードバックされ、管理・制御が実現します。
また、より高度な制御が必要な場合には、センサーなどから得られた情報をいったんサーバー・クラウドに保存・蓄積し、アプリケーションやAIで自動処理した後にフィードバックすることも可能です。インターネットには膨大な情報(ビッグデータ)が蓄積されているので、IoTではそのビッグデータの収集、分析、活用が目的とされています。

図1. M2Mの仕組み

図1. M2Mの仕組み

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M2Mの事例

既にさまざまな分野において、M2Mの導入は進んでいます。ここでは、主な導入事例をいくつか紹介します。

自動運転

自動車に設置されたカメラやセンサーが、周囲の人や自動車などを検知し危険を察知した場合、ブレーキを掛けるなどのコントロールを行います。

農業

農業分野では、温度や湿度、日照時間などの各種農業データを常時監視し、窓の開閉やエアコンのオンオフなどの動作を自動的に行い、最適な栽培環境を維持するシステムなどの実用化が進んでいます。また、カメラ映像を使用した盗難防止や鳥獣被害対策などにも活用が可能です。

自動販売機

全国での設置数が200万台を超える飲料自動販売機についてもM2Mの活用が進んでいます。販売データを収集・分析することで、商品補充ルートの自動最適化が実現しています。また、自動蓄積された商品別の売上データは売上向上に向けた分析にも役立てられています。

電力

急速に導入が進む太陽光発電でもM2Mの導入が進んでいます。発電量や取引量、日照データなどをリアルタイムで確認し、万一故障が発生した場合や、太陽光パネルの汚れにより発電量が低下した場合には、自動でメンテナンスを依頼するシステムなども登場しています。

NTTPCの導入事例

NTTPCのWebページでは、国際紙パルプ商事株式会社様のデータ収集、東京大学様の蔵書管理、株式会社Looop様の太陽光発電管理など、さまざまなM2Mの導入事例を公開中です。ご興味をお持ちの方はぜひご参照ください。

Master'sONE®モバイル モバイルM2Mの関連導入事例

モバイルM2Mサービスの導入事例/ユースケース

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NTTPCではIoT/M2M通信に必要な高品質で低価格から始められるSIMとネットワークを提供しています。通信を専門に扱ってきたNTTPCだからこそ、お客さまの用途・目的に合わせ、IoT/M2Mに合った最適なネットワーク環境をワンストップで提供できます。
IoT/M2Mの通信環境では、次の3つを用意しています。

【VPNタイプ】Master'sONE®スタンダードタイプ / マルチキャリアタイプ

セキュリティを重視するIoT/M2M機器の接続なら、安心・安全なVPN(閉域ネットワーク)でのモバイル通信をおすすめします。

【インターネットタイプ】InfoSphere®モバイルスタンダードタイプ / マルチキャリアタイプ

モバイル端末からモバイル網を経由し、インターネットに接続するモバイルサービスです。不正アクセスやDDoS攻撃などのサイバー攻撃リスクを低減しながら、IoT/M2Mのデータを収集できます。

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M2Mのメリット/デメリット

良いこと尽くめにも思えるM2Mですが、もちろんデメリットも存在します。ここで、M2Mのメリット・デメリットについて紹介します。

メリット

ヒューマンエラーの防止

例えば、センサーなどからの収集データを参照してヒトの判断を経てデバイスの制御を行う場合、データの読み取りミス、判断ミス、制御コマンドの入力ミスなどさまざまなヒューマンエラーが考えられます。
ヒトが介在しないことにより、こうしたヒューマンエラーが発生せず、高速で正確な自動処理が実現する点はおおいに評価できるでしょう。

省力化が可能

あらゆる業種において人材不足や後継者不足が課題となるなか、省力化が実現できることは大きなメリットと言えるでしょう。高度な判断を必要としない、ある程度単純な定型業務であれば、現在のAI技術でも対応が可能です。さらに、システムであれば24時間365日の連続稼働も可能です。
特に、M2Mはヒトの判断や処理を必要とせず、モノとモノとが直接データの送受信および機器の自動制御を行うため、大幅な省力化が実現できます。

作業効率アップ

機器同士が相互にデータをやり取りするため、状況判断を人よりも素早く行えます。
例えば、工場や発電所などの大きな場所に多くのセンサーを設置し監視することで、故障の予兆を分析し異常になる前に設備の不健全な状態が把握できます。故障発生時の原因調査においても、保守担当の経験やスキルに頼るため原因追究に時間が掛かる場合がありますが、M2Mでは効率よく解決できます。

デメリット

サイバー攻撃などにより事業継続が不可能となる恐れがある

閉域網であれば問題は少ないですが、インターネットなどのオープンなネットワークを利用している場合には、サイバー攻撃などにより業務が停止したり、最悪の場合事業継続が不可能となったりする恐れもあります。ネットワークに接続する=セキュリティ上のリスクが生じるわけですから、M2Mを導入する際には十分にセキュリティ対策を施す必要があります。

安定した接続環境を確保する必要がある

M2Mの恩恵を余さず享受するには、安定していて遅延のないネットワーク環境を確保する必要があります。特に、リアルタイムの処理が必要なケースや、AIでの分析が必要なケースではネットワーク環境にもそれなりのコストが掛かります。M2M網を構築してから問題が生じないよう、事前に動作環境について綿密な検討を実施することをおすすめいたします。

システム構築のコストが比較的高い

M2Mは必要に迫られて手探り状態で導入が進んできたという経緯から、機器やシステムの独自性が高いという特長があります。そのため、「モノ」と「モノ」とが通信する仕組みやフィードバックを実現するプログラムなどを個別に開発する必要があり、システム構築のコストが比較的高くなるというデメリットがあります。

まとめ

今回は、M2Mの仕組みや活用例、およびメリット・デメリットについて紹介しました。
M2Mはさまざまな分野で採用されており、今後も利用は増えていくことが予想されます。今回紹介した事例以外でも、遠隔地にある機器や生産設備の保守・管理に課題をお持ちの方や、「モノ」から得られたデータを活用して安全な自動制御システムを構築したい企業様など、M2Mの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

また、M2Mとあわせて、今後の発展が期待される技術であるIoTについてもお知りになりたい方は「【事例あり】IoTとは?仕組み・機能を分かりやすく解説」もご覧ください。

※ICT Digital Columnに記載された情報は、リリース時点のものです。
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