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建設現場などで熱中症を予防できる【ウェアラブルIoT】の活用

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気温や湿度が上昇する5月から10月にかけて、建設現場のように屋外での作業が多い職場では熱中症のリスクが高まります。
2018年度の熱中症による死傷者数は、前年の2倍を超える1,178人でした。[注1]
死傷者数が1,000人を超えたのは過去10年間でもなかったことであり、改めて熱中症対策の見直しが求められています。
各作業員による熱中症対策では限界があるため、企業として抜本的な熱中症対策を実施する必要があります。

ここでは、厚生労働省の「熱中症マニュアル」をもとに、建設現場などでの熱中症の予防方法を解説します。[注2]
8つのチェック項目も用意していますので、是非確認してみてください。

目次

熱中症になりやすい職場・作業環境・健康状態の特徴

20 世紀後半ごろから熱中症の危険性が叫ばれはじめ、熱中症対策がとられるようになりました。しかし、建設現場など屋外での作業が多い業界では、依然として熱中症が多く発生しています。
ここでは、職場・作業環境・労働者の健康状態の3つの観点から、熱中症が生じやすくなる条件を解説します。

屋外での作業が多い職場は熱中症の発生件数が多い

屋外での作業が多い職場は、熱中症の発生件数が増加する傾向にあります。
とくに炎天下での屋外作業が多い職場や、炉やヒーターなどの発熱体がある職場は、高熱にさらされつづけるため熱中症のリスクが高まります。

実際、20世紀中頃から後半にかけて、鉱山業・紡績業・金属精錬業などの職場や、船内荷役作業をともなう職場で熱中症が多発しました。
こうした職場では休憩時間がとりにくく、長時間にわたって身体活動を行う点も熱中症のリスクを高めました。

汗が蒸発しづらく体温調節が困難な作業環境は要注意

汗が蒸発しにくく、体温を効率的に下げられない作業環境では、熱中症が発生しやすくなります。高温多湿かつ無風状態の作業環境は、発汗するもののなかなか蒸発せず、体温調節がしづらいのです。

また、水分が汗として排出されるため、脱水症状のリスクも上昇します。
同様にして、作業服や労働安全衛生保護具などを着用する作業環境も、汗が蒸発しにくいため注意が必要です。

健康状態によっては、より熱中症のリスクが高まる

職場や作業環境だけでなく、労働者の健康状態も熱中症のリスクに影響します。
まず、糖尿病・心疾患・高血圧症の労働者は、尿中に排出される水分が増加しやすく、脱水症状に陥りやすいため注意が必要です。
治療上、塩分摂取を制限している腎不全の労働者も、塩分不足になりやすく、熱けいれんなどの症状が出ることがあります。

そして、発汗が阻害される健康状態にも注意が必要です。
自律神経に影響がある薬を服用している労働者や、広範囲の皮膚疾患がある労働者が該当します。
そのほか、風邪での発熱や、脱水症状をともなう下痢も熱中症の発症リスクを高めます。企業側も労働者の健康管理に気を配ることが大切です。

「ウェアラブルIoT」を活用すれば未然に熱中症を防げる可能性が高まる

現場作業員の健康管理を強化し、効果的な熱中症対策を行うには、IoT技術を活用した「ウェアラブルデバイス」が役立ちます。
ウェアラブルデバイスとは、衣服や腕時計として身につけて使えるIoT機器のことです。
手に持って操作する必要がないため、建設現場のような作業環境でも業務の邪魔になりません。センサー機能がついているものなら、体温・脈拍数などのバイタル情報を読み取って、スマートフォンやコンピューターへデータを送るといった使い方が可能です。

また、GPS機能によって、現場作業員1人ひとりの位置もリアルタイムに把握できます。そのため、巡視だけでは目が届かない現場作業員の体調変化を監視し、熱中症などの危険状態をすばやく察知することができます。

国土交通省が作成した「熱中症対策リーフレット(2019年度版)」でも、ウェアラブルIoTを活用した健康・危機管理が推奨されています。[注3]
建設業のほか、熱中症のリスクが高い製造業や運輸業でも、現場作業員の安心・安全を見守るためにウェアラブルIoTの導入が進められています。

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効率的に作業者の健康管理ができる

NTTPCが提供する、「みまもりがじゅ丸」は、リストバンド型のデバイスを装着することで、作業者の「脈拍情報」「位置情報」の変化をリアルタイムに管理することができます。
作業者が多く広範囲での作業が必要な場合でも、「みまもりがじゅ丸」なら全員の状況把握を簡単におこなうことができます。

管理画面で作業者の体調変化を一覧で把握することができ、熱中症の恐れや、身体的な高負荷を察知するとアラートでお知らせします。
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このように、人手をかけず安全と健康の管理を強化することができ、
バイタル情報を継続的に確認・分析することで、作業者1人1人の体調変化を効率的に管理することができます。

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熱中症対策で確認すべき8つのチェック項目

建設現場などでの熱中症対策をする前に、次の8つのチェック項目を満たしているか確認してみましょう。

作業環境を快適に保つための2つのチェック項目

まずは、従業員が快適に過ごせる作業環境を作ることが大切です。
現場の暑さ指数に注意し、高温多湿の作業環境では休憩所を設けましょう。

暑さ指数(WBGT値)をなるべく減らす

作業環境の暑さ指数が基準値を超えていないかチェックしましょう。
基準値を超える場合は、「発熱体を遮蔽物でさえぎる」「直射日光が当たる場所に屋根を設置する」などで気温を下げましょう。

散水も気温を下げられますが、風通しが悪いと湿度が上昇するため注意が必要です。
風通しが悪い作業環境では汗が蒸発しにくくなるため、冷房や通風設備を設置しましょう。

休憩できるスペースを整備する

高温多湿の作業環境で働きつづけると、熱中症のリスクが大きく高まります。
高温多湿作業場所で作業せざるを得ない時は、近隣に日陰か冷房設備がある休憩所を設置するようにします。
休憩所には、水分・塩分の補給ができる飲料水や、体温を下げられる氷、冷たいおしぼり、冷却スプレーなども用意しておくとよいでしょう。

現場従業員が安全に作業するための3つのチェック項目

続いて、高温多湿になりやすい作業環境において、現場従業員が安全に作業できる状態かどうかを3つのチェック項目で確認しましょう。

高温多湿作業場所では作業時間の短縮を検討する

高温多湿の環境で長時間作業することは熱中症のリスクを高めます。
現場作業員が連続して作業しつづけることのないよう、必要に応じて休止時間・休憩時間を設けましょう。

とくにコンクリートブロックを積む作業や、手押し車の押し引きなど、代謝率が高くなりやすい重作業は、連続作業時間の短縮につとめることが大切です。
作業時間の短縮が難しい場合は、作業する場所をなるべく日陰や涼しい場所に変更するなどして、柔軟に対処しましょう。

定期的な水分・塩分の摂取を義務付ける

作業の前後や合間には、自覚症状の有無にかかわらず、定期的な水分・塩分の摂取を義務付けてください。
チェック表を作成するほか、巡視によって定期的に確認することで、水分・塩分を摂取する習慣を1人ひとりに浸透させられます。

とくに暑さ指数が基準値を超える高温多湿環境では、濃度0.1~0.2%(ナトリウム40~80mg / 100ml)の食塩水、経口補水液、スポーツドリンクを少なくとも20~30分おきにコップ1~2杯程度摂取する必要があります。

通気性・透湿性の良い服装を着用させる

作業現場での服装は、クールジャケット、空調服、ファン付き作業服など、通気性・透湿性が良いものを着用させましょう。
直射日光にさらされる現場では、クールヘルメットのように通気性の良い帽子・ヘルメットの着用も必要です。
労働安全衛生保護具を着用する必要がある作業現場でも、なるべく通気性・透湿性の良いものを選定することで、体温を調節しやすくなります。

現場従業員の健康を管理するための3つのチェック項目

現場作業員の健康状態は熱中症のリスクと深く関わっています。
次の3つのチェック項目で、従業員の健康状態に問題がないか確認しましょう。

労働者の健康状態を定期的にチェックする

作業開始前の朝礼時や、作業中、作業の合間の休憩時など、現場作業員の健康状態を定期的にチェックしましょう。

とくに糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全、広範囲の皮膚疾患、精神・神経関係の疾患がある作業員は、通常よりも熱中症のリスクが高まっています。
こうした疾患がなくても、風邪や下痢症状、睡眠不足、明らかな体調不良が見られる場合も注意が必要です。
作業の可否を判断するとともに、日頃の健康管理について指導を行いましょう。

作業中に水分・塩分を摂取しているか確認する

熱中症を予防するためには、自覚症状の有無にかかわらず、定期的な水分・塩分の摂取が必要です。
高温多湿作業場所で作業する必要がある場合は、定期的に巡視を出すなどして、水分・塩分を摂取しているかチェックしましょう。

また、巡視の際に熱中症を疑われる症状が確認できた場合は、すみやかに作業を中断させ、現場での応急措置や医療機関への搬送などを行ってください。

「健康状態自己チェックシート」を導入する

朝礼時や休憩中などに健康状態をセルフチェックできる「健康状態自己チェックシート」の導入も効果的です。
朝礼時には風邪を引いていないか、下痢症状がないかなどを申告してもらい、職長が各作業員の状況を把握できるようにします。
休憩時にもめまい・立ちくらみ・吐き気などの症状がないかチェックしてもらえば、異常がある場合に早めの対応が可能です。
休憩所に体温計・体重計を設置すると、労働者が自分の健康状態をチェックしやすくなります。

熱中症の症状と応急措置を「重症度」別に解説

もし、現場作業員に熱中症と疑われる症状が出たら、ただちに作業を中止して、すみやかに現場での応急措置や医療機関への緊急搬送を行う必要があります。
熱中症の疑いがある症状は、重症度毎に3つに分けられます。

熱中症レベル 症状 重症度
Ⅰ度 ・めまい・立ちくらみ・失神(熱失神)など
・筋肉痛・筋肉の硬直・こむら返り(熱痙攣)など
・大量の発汗が見られる
Ⅱ度 ・頭痛・不快感・吐き気・嘔吐症状など
・倦怠感や虚脱感(熱疲労)など
Ⅲ度 ・意識障害・全身の痙攣・引きつけ・手足の運動障害など
・手で感じられるほどの高体温(熱射病)

上の表のような症状が見られた場合、まずは現場作業員の意識がはっきりしているか確認しましょう。
呼びかけに応じず、返事がおかしいなどの意識障害がある場合は、ただちに救急隊を要請してください。
その後、日陰や冷房のある涼しい場所へ運び、脱衣と冷却を行います。

意識はあるものの、嘔吐などがあって水分を自力で摂取できない場合は、すみやかに医療機関へ搬送し、点滴などの処置を受ける必要があります。

自力で水分を摂取できる場合は、生理食塩水や経口補水液、スポーツドリンクなどで水分・塩分を摂取しましょう。
しばらく様子を見て、症状が回復しない場合は、医療機関への搬送が必要です。

まとめ

今回は、建設現場などでの熱中症の予防方法を解説しました。 屋外での重作業が多い作業環境は、高温多湿環境になりやすい5月から10月にかけて熱中症リスクが高まります。

熱中症リスクを「見える化」するには、暑さ指数が役立ちます。
暑さ指数が基準を上回る現場では、作業環境が快適かどうか、現場従業員が安全に作業できているか、現場作業員の健康状態は良好かの3つの観点から熱中症対策を行いましょう。

現場作業員1人ひとりの安全・健康管理をきめ細かく行うには、作業の邪魔にならないウェアラブルIoTが便利です。

[注1]厚生労働省:職場における熱中症による死傷災害の発生状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04759.html

[注2]厚生労働省:職場における熱中症マニュアル[pdf]
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/manual.pdf

[注3] 国土交通省:熱中症対策リーフレット[pdf]
http://www.mlit.go.jp/common/001292278.pdf

※ICT Digital Columnに記載された情報は、リリース時点のものです。
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