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【成功事例あり】ハイブリッドワークとは? 企業動向、課題や解決策

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オフィスワークとテレワークとを組み合わせた「ハイブリッドワーク」。今回はハイブリッドワークをめぐる企業動向を解説するとともに、ハイブリッドワークを行う際に生じる課題やその解決策、そして成功させる際のポイントについて、実例を交えて紹介します。

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目次

ハイブリッドワークとは

「ハイブリッドワーク」は、出社して働く従来のオフィスワークの形態と、自宅などで働くテレワークの形態とを組み合わせた働き方を指します。「ハイブリッド(hybrid)」は「混成、混合」を表す言葉ですが、複数の要素を組み合わせることで両者の長所を活かすことができるというメリットがあります。ガソリンエンジンとバッテリーとを組み合わせたハイブリッドカーなどを思い浮かべると良いでしょう。
特定の出社日を設けたり、出勤日数を定めたりなど、細かな就業規則は企業によって異なりますが、一般的に従業員の働き方の自由度は高まります。

ハイブリッドワークをめぐる企業動向

ハイブリッドワークが必要とされている背景

新型コロナウイルスの感染症対策として、多くの企業で在宅ワークを始めとするテレワークが導入されました。テレワーク環境が整備された結果、通勤の必要がなくなる、業務のデジタル化が推進される、などのメリットが広く認識されました。
一方、オフィスで行ったほうが効率の良い業務があることや、コミュニケーションが不足しがちであることなど、テレワークの課題も明らかになってきました。そこで、テレワークをさらに進化させたハイブリッドワークが必要とされることとなりました。

ハイブリッドワークの効果

ハイブリッドワークでは、業務内容に応じてオフィスワークとテレワークを選択することができます。例えばチームとして一丸となってあたる業務ではオフィスワーク、資料作成などひとりで集中してあたる業務ではテレワークを選択することで、それぞれの業務の効率を向上することができます。
また、多様な働き方が可能となるため、従業員満足度(ES、Employee Satisfaction)も向上します。

ハイブリッドワークの現状

公益財団法人 明治安田厚生事業団が2023年2~3月に上場企業を対象に行った調査によると、上場企業のテレワーク導入率は約70%となっています。また、その頻度は週2~3回が40%、週1回が18%となっており、すでにハイブリッド勤務が主流となっていることが分かります。

参考:厚生労働科学研究成果データベース「全国上場企業におけるテレワークの実施状況と健康管理状況」(PDF)

一方、全国の就業者を対象としたパーソル総合研究所の調査では、2023年7月時点でテレワーク実施率は約20%と、2022年2月の調査をピークとして減少が続いています。

参考:パーソル総合研究所「第八回・テレワークに関する調査/就業時マスク調査」

これら2つの調査結果を勘案すると、テレワーク環境の整備を整えやすい上場企業においてハイブリッドワークが普及する反面、中堅・中小企業においてはオフィスワーク回帰が進んでいるといえそうです。

ハイブリッドワークの今後の展望

ただし、今後もこの動向が続くとはかぎりません。前述のパーソル総合研究所による調査では、2023年7月時点において、テレワークを実施している従業員のうち実に81.9%がテレワークの継続を希望しているとのことです。また、希望者の割合は年々増加しており、2020年2月の調査以降は一貫して80%を超えています。このことからも多くの従業員がテレワークを希望していることが分かります。
リモートワーク環境を低コストで構築できる中堅・中小企業向けの各種ソリューションが出揃ったことで、今後は中堅・中小企業においてもハイブリッドワークの導入が進むと考えられます。

ハイブリッドワークの3つの課題

1. 勤怠管理や人事評価面での課題

ハイブリッドワークにおける一番の課題は、勤務時間の管理が難しいことにあります。オフィスワークでは顔を上げればすぐに課内の勤務状態を把握できていたとしても、リモートワーク時には長い休憩を取っているか、逆に勤務時間を大幅に超過して業務に従事しているかも簡単には把握できません。
また、人事評価が難しいという課題もあります。同じ業務をこなしていても、オフィスワークのほうがリモートワークよりも評価が高い、ということになれば、従業員は効率の良い働き方を選択することが難しくなってしまい、ハイブリッドワークの長所が失われてしまいます。

2. コミュニケーション面での課題

従業員間でのコミュニケーションの減少も課題です。オフィスワークの場合、同じ「報告がない」という状況でも、黙々とパソコンのキーボードを叩いていれば「順調に進んでいるな」と分かりますし、目を閉じ腕組みをしてじっと動かなければ「問題が発生しているな」と分かりますが、リモートワークではそうはいきません。
最悪の場合、順調だと思っていた進捗が滞っていたことがのちになって発覚するなどして業務が滞ってしまう可能性もあります。

3. セキュリティ面での課題

セキュリティの確保も重要な課題です。リモートワーク時には機密情報を社外に持ち出すこともあるでしょうし、クラウドサーバー上に保存した機密情報に社外からアクセスすることもあるでしょう。こうしたことから、外部に個人情報などの重要な情報が漏えいするリスクは高まります。
また、リモートワークに利用する端末で直接インターネットに接続する場合、マルウェア感染などの危険性もあります。社外で端末を利用する際には、社内と同じレベルのサイバーリスクへの対策が必要となるのです。

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ハイブリッドワークにおける課題の解決策

ルールを定めて周知しておく

勤怠管理や人事評価面での課題については、「ハイブリッドワークに対応できるルールを定める」ことが解決の鍵となります。勤務時間を正確に把握するため、どのような時間を勤務時間として算入するか、報告の方法はどうするかなどをあらかじめ定めて周知します。必要な場合には労務管理ソフトウェアなどを導入しても良いでしょう。
人事評価についても、評価基準を透明化し周知します。そのほか、在宅ワーク時の光熱費を会社負担するなど、オフィスワークの扱いとリモートワークの扱いとが可能なかぎり公平になるようにルールを定めましょう。

オフィス環境を整えコミュニケーションの場を提供する

コミュニケーション面での課題については、リモートワーク時には「Web会議システムやビジネスチャットツールなどのITツールを利用する」ことが解決の鍵となります。
また、オフィスワーク時には「オフィス環境を整えコミュニケーションの場を提供する」ことが重要です。例えばチーム内でモチベーションや方向性を共有するには、定期的に出社日を定めてチームが一堂に会する機会を用意します。さらにオフィス自体を進化させることで、社員同士が交流しやすい状況を作ります。出社時にデスクを割り当てる「フリーアドレス制」を採用したり、全員が出社する必要がなくなったことで生まれた余剰スペースをリラクゼーションスペースなどのオープンスペースに割り当てたりすることで、コミュニケーションの円滑化を図ります。

セキュリティ対策ツールを導入する

テレワーク時のセキュリティ対策を徹底するためには、新たなセキュリティツールを導入する必要があります。
例えばNTTPCの「Secure Access Gateway」の「DNSセキュリティ」機能は、社内・社外といった働く場所を問わずDNSの名前解決を利用してフィッシングサイトや有害サイトへのアクセスをブロックし、リモートワークで利用する端末のマルウェア感染を未然に防ぐことができます。
また、クラウド上の管理コンソールからリモートワークに利用する端末を一元管理し、セキュリティポリシーの設定を適用することができます。
更にセキュリティ機能だけでなく、ネットワーク機能をまとめて提供するSecure Access Gatewayなどの「SASE」サービスを利用すれば、安全で快適なハイブリッドワーク環境を構築することができます。

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ハイブリッドワークを成功させるポイント

ルールを柔軟に設定する

ハイブリッドワークを成功させるには、いくつかのポイントがあります。まずは「ルールを柔軟に設定する」こと。不公平感をなくすためにはルールを厳格に設定することが重要ですが、その一方で厳しいルールは従業員の負担となり、ハイブリッドワークのメリットを削いでしまう結果にもなりかねません。
例えばAグループは月曜日と水曜日は出社、Bグループは火曜日と木曜日は出社、などと設定してしまうと、従業員は業務に応じて適切な働き方を選ぶことが難しくなります。月に〇日以上出社する、フレックスタイムを設定するなど、ある程度柔軟にルールを設定すると良いでしょう。

適切にツールを導入する

テレワークの効率を向上するため、適切なツールを導入することもポイントです。前述のWeb会議システムやビジネスチャットツールなどのコミュニケーションツールや勤怠管理システムなどにはある程度の投資をするべきです。
ただし、一度に多くのツールを導入してしまうと従業員の混乱を招く可能性もあります。優先度を設定し、各ツールをスモールステップで導入していくのが良いでしょう。

セキュリティに関する教育をする

喫茶店などの外出先では、セキュリティ対策部門の目の届かない場所で業務を行うこととなります。たとえ適切なセキュリティ対策ツールを導入していたとしても、危険なフリーWi-Fiを利用したり、ロックをかけずに離席して悪意ある第三者に不正な操作をされてしまっては意味がありません。
そうした場合に備え、あらかじめテレワークを行う上で問題となりやすいポイントについて、従業員一人ひとりに教育を実施しておく必要もあるでしょう。

ハイブリッドワークの成功事例

事例1. ハイブリッドな働き方に向けたオフィス利用の改革

ウェブ上で飲食店に関する情報を提供するある企業では、2021年10月より従来行ってきたリモートワークの進化系としてハイブリッドワークへと移行しました。
フリーアドレスの対象席を倍増するとともに出社が必要となる業務の目安も撤廃し、部署や個人の判断でオフィスへの出社を可能とすることで、多様な人材が幅広く活躍できる働き方を実現しました。

事例2. ハイブリッドワークによるテレワークの課題解消

携帯電話サービスなどを手掛けるある企業は、2018年にテレワーク制度を導入し、生産性や生活の質の向上など一定の成果をあげました。しかし従業員間でのコミュニケーションには課題を感じたため、ハイブリッドワークへと移行。現在では従業員の約8割が月に1回以上オフィスに出社し、テレワークとオフィスワークをバランスよく活用しているそうです。

まとめ

今回はオフィスワークとテレワークとを組み合わせた「ハイブリッドワーク」について解説しました。
オフィスワーク、テレワーク双方のメリットが享受できるハイブリッドワークは、すでに上場企業を中心として普及が進んでおり、今後は中堅・中小企業にも導入が進むと考えられます。
ただし、ハイブリッドワークには「勤怠管理や人事評価面での課題」「コミュニケーション面での課題」「セキュリティ面での課題」があり、それぞれ「ルールを定めて周知しておく」「オフィス環境を整えコミュニケーションの場を提供する」「セキュリティ対策ツールを導入する」などの対策が必要となります。
ハイブリッドワークの導入により、業務効率や従業員満足度を向上することができます。今回紹介した成功事例を参考として、「ルールを柔軟に設定する」「適切にツールを導入する」「セキュリティに関する教育をする」の3つのポイントを押さえ、ハイブリッドワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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