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DoS・DDoS攻撃の違いとは?クラウドWAFを使った対策方法

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Webサービスに大量のデータや処理要求を送り付け、サーバーダウンやサービス停止に追い込むのが、DoS攻撃・DDoS攻撃と呼ばれるサイバー攻撃です。
攻撃を受けると、数時間にわたるWebサイトの閲覧不可や、ホスティングサービスの利用不可など、サービスを利用するユーザーに多大な不便をかけることになります。
この記事では、DDoS攻撃の仕組みや、被害を未然に防ぐセキュリティ対策について、実際の被害事例をもとに解説します。

目次

DDoS攻撃とDoS攻撃との違い?

DoS攻撃(Denial of Service attack)とは、攻撃対象のサーバーへ大量のデータや処理要求を送り付ける攻撃です。
攻撃を受けた側はトラフィックが急激に増大するため、しばしばサーバーがダウンします。
DoS攻撃は「フラッド型」と「脆弱性型」の2種類に分けられます。
フラッド型は接続元のIPアドレスを偽装し、ネットワークを経由して大量のデータを送り付ける攻撃方法です。
脆弱性型はサーバーの内部に侵入し、不正な処理を大量に行わせることで、サーバーを機能停止に追い込みます。

DDoS攻撃(Distributed Denial of Service attack)とは、DoS攻撃を発展させたものです。
DoS攻撃は原則として1台のマシンから行われるため、攻撃元のIPアドレスを遮断すれば、攻撃をブロックできました。

しかし、DDoS攻撃は大量のマシンから仕掛けられるため、より対処が困難です。とくにマルウェアに感染したマシンを数万台~数十万台規模で乗っ取り、DDoS攻撃の踏み台とする手法が広く行われています。
2016年10月にマルウェア「Mirai」を利用して行われたDDoS攻撃は、コンピューターだけでなくインターネットに接続されたIoT機器や組み込み機器を踏み台にし、米国で史上最悪の規模といえる被害を生み出しました。

DDoS攻撃の被害を防ぐ3つの対策方法

DDoS攻撃を仕掛けられると、サーバーダウンやサービス停止のほか、従量課金制サービスの料金負担が増加するなどの被害が発生します。
しかし、DDoS攻撃はあらかじめ対策することで防止できます。
ここでは、DDoS攻撃の被害を未然に防ぐ3つの対処法を解説します。

同一IPからのアクセスを制限する

DoS攻撃の対処法と同様に、攻撃を仕掛けてきたIPアドレスからのアクセスを制限しましょう。
ただし、DDoS攻撃は多数のマシンから仕掛けられるため、DoS攻撃のケースよりも効果は大きくありません。
予防的な対策としては、過去のDDoS攻撃の発信元となったブラックリストを活用し、アクセスをあらかじめ遮断しておくことで、DDoS攻撃を仕掛けられるリスクを減らせます。

海外からのアクセス許可を制限する

サイバー攻撃の歴史を見ても、DDoS攻撃は海外のIPアドレスから仕掛けられるケースが大半です。
国内向けのWebサイトやサービスを展開していたり、特定の国の市場にアプローチする予定がなかったりする場合は、思い切って海外からのアクセスを禁止するのも効果的な対策です。

IPアドレスを1つひとつ遮断するよりも、国毎にアクセスを遮断した方が、DDoS攻撃の範囲を大きく狭められます。
ただし、海外のマーケットへの機会損失となるため、リスクとリターンを比較の上、判断しましょう。

セキュリティ対策ツールを導入する

同一IP・海外からのアクセス制限の対処を行う作業は労力がかかります。
また、DDoS攻撃を100%防ぐことはできません。
そこで効果的なのが、DDoS攻撃に対応したセキュリティ対策ツールの導入です。DDoS対策のツールなら、自社のサイトやサービスへの通信内容をチェックし、DDoS攻撃のパターンに当てはまれば自動でシャットアウトする機能を持っています。
DDoS対策のためにわざわざ工数をかけなくても、トラフィックをリアルタイムに監視してくれるため、手間やコストの点でも優れています。

DDoS攻撃の対策に有効的な3つのセキュリティ機能

DDoS攻撃の対策をするなら、セキュリティ対策ツールの導入が効果的です。
DDoS攻撃の被害を未然に防ぐためには、ファイアウォール・IPS / IDS・WAFの3つの機能をセットで導入する必要があります。

ファイアウォール

ファイアウォール(FW)は日本語では「防火壁」という意味で、文字通りサーバーとインターネットの中間の壁となり、外部からの攻撃を遮断するための機能です。
ファイアウォールには、特定のユーザーのIPアドレスや、インターネットに接続する経路であるポートに通信の許可を与えたり、遮断したりする機能があります。
DoS攻撃やDDoS攻撃の対策をする場合は、攻撃元のIPアドレスや利用されたポートを遮断し、それ以上の攻撃を防ぐといった使い方ができます。

IPS / IDS

IPS / IDS(不正侵入検知・防御システム)は、外部からの通信を監視する機能です。
DDoS攻撃の対策として、IPS / IDSは広く利用されています。
正規のIPアドレスやポートを通り抜け、ファイアウォールが遮断できなかった通信であっても、通信内容を1つひとつ調べ、大量トラフィックや不正な処理要求などのパターンが含まれていないかを分析できます。
DDoS攻撃の可能性がある不正アクセスを検知したら、その通信を自動で遮断することも可能です。

WAF

DDoS攻撃は年々巧妙化・複雑化しているため、ファイアウォールやIPS / IDSだけでは完全に防ぐことができません。
正常な通信やトラフィックを装い、これらの網の目をくぐり抜けてしまうケースもあります。

また、近年のDDoS攻撃はターゲットを変更し、ネットワークの部分を狙うのではなく、サーバー上で展開されているアプリケーションの部分を狙うケースが増えてきました。
2つのターゲットを同時に狙う複合型の攻撃も増加しているため、ネットワーク・アプリケーション双方において対策が求められます。

そこで役に立つのが、Webアプリケーションに特化したファイアウォールであるWAF(Web Application Firewall)です。
WAFはWebサービスのネットワーク部分ではなく、アプリケーション部分への通信やアクセスを監視し、不正なものを検知・遮断できます。
Webサイトへ送りつけられたデータの内容を1つひとつリアルタイムに解析できるため、DDoS攻撃への対策としても効果的です。

今後、DDoS攻撃の対策をする場合は、ファイアウォールやIPS / IDSでネットワーク部分を守り、WAFでアプリケーション部分を守る二段構えが求められます。

NTTPCの【クラウドWAF】なら
ファイアウォール・IPS/IDS・WAFをセットで導入できる

NTTPCが提供する「クラウドWAF」なら、ファイアウォール・IPS / IDS・WAFの3つをセットで導入し、Webサービスを安心・安全に運用できます。

Webサービスのネットワーク部分を守るファイアウォールとIPS / IDSだけでは、DDoS攻撃によるサービスの停止やサーバーダウンを未然に防ぐことはできません。
アプリケーション部分のファイアウォールであるWAFを合わせて使うことで、DDoS攻撃への強固なセキュリティ対策が可能です。

クラウドWAFには、24時間365日の有人監視サービスがついているため、セキュリティ監視機器とオペレーターの双方の強みを活かした一元監視体制を築けます。
利用料金は月額 98,500円(税込)からとスモールスタートが可能で、自社内にサーバーを置くオンプレミス環境、他社のクラウドサービス環境であっても、スムーズに導入できます。

実際に発生したDDoS攻撃の2つの被害事例

ここ数年、Webサイトやサービスへの大規模なDDoS攻撃が頻発しており、システム障害やサーバーダウンなどの被害を引き起こしています。
ここでは、総務省が取り上げ、注意喚起を行った実際の被害事例を2つ紹介します。

DNSサーバーへのDDoS攻撃による、閲覧遅延・障害の発生

DDoS攻撃のターゲットとなりやすいのが、インターネットのユーザー1人ひとりにIPアドレスを付与する「DNSサーバー」です。
DNSサーバーがダウンすると、関連付けられたユーザーがIPアドレスを取得できなくなるため、大規模なアクセス障害や閲覧速度の遅延が発生します。
2015年12月14日には、国内のDNSサーバーがDDoS攻撃を受け、関連付けられたレンタルサーバーやメールサーバーなどのホスティングサービスに断続的な障害が発生しています。

海外からのDDoS攻撃により、Webサーバーの閲覧障害が発生

DNSサーバーではなく、Webサイトを直接標的にした被害事例も多数存在しています。
今後、オリンピック・パラリンピックを迎える日本にとって注意が必要なのは、過去のオリンピック・パラリンピック時に発生したDDoS攻撃です。
2012年のロンドン大会では、オリンピック公式Webサイトや各国政府のWebサイトが攻撃を受け、合計2億件もの不正な接続要求が送られたことが確認されています。
2016年のリオデジャネイロ大会においても、コンピューターだけでなくIoT機器や組み込み機器なども踏み台にしたDDoS攻撃が発生し、合計540Gbpsにも達する不正なトラフィックが確認されています。
Webサイトが数時間にわたって閲覧・アクセス不可能になる被害が発生しており、今後国内でも注意が必要です。

セキュリティ対策が不十分な状態でDoS攻撃・DDoS攻撃を受けた時の対策方法

セキュリティ対策がまだ不十分な状態の時にDoS攻撃・DDoS攻撃を受けたら、どのように対処すれば良いのでしょうか。
まず、知らなければならないのは、攻撃元のIPアドレスを特定し、ファイアウォールの機能を使って遮断することです。
複数のIPアドレスから攻撃を受けている場合は、国毎にアクセスを禁止するなどして、Webサービスを速やかに攻撃から守りましょう。

とはいえ、Webサービスをエンドユーザーへ安心・安全に提供するためには、DDoS攻撃を想定したセキュリティ対策が欠かせません。
ファイアウォール・IPS / IDS・WAFの3つのセキュリティ機能を導入し、Webサービスのネットワーク部分とアプリケーション部分の双方を防御しましょう。

まとめ

今回は、DDoS攻撃の仕組みや、被害を未然に防ぐセキュリティ対策について解説しました。
DDoS攻撃を受けると、Webサイトやサービスが機能停止し、閲覧・アクセス障害などの被害が発生します。
DoS攻撃と違い、数万台~数十万台ものマシンから攻撃が仕掛けられるため、攻撃を受けてからの対処では後手に回ってしまいます。
ファイアウォール・IPS / IDS・WAFがセットになったセキュリティ対策を施し、DDoS攻撃を受ける前に未然に防ぐことが大切です。

※ICT Digital Columnに記載された情報は、リリース時点のものです。
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