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IPv6とは? メリットや接続方法、プロバイダーの選び方を解説

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IPアドレスの枯渇などさまざまな問題を解決し通信速度を向上すると言われているIPv6(Internet Protocol Version 6、インターネットプロトコル バージョン6)。今回はIPv6の詳細と実際の導入方法について解説します。

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目次

IPv6とは?

現在のIPv4に代わる次世代のIPアドレス、IPv6(Internet Protocol Version 6、インターネットプロトコル バージョン6)。現在顕在化しつつあるインターネット接続に関するさまざまな問題を解決する新たなプロトコル(通信規格)として注目されています。まずはIPv6の特徴を整理しておきましょう。

IPv4を継ぐ次世代のIPアドレス

IPv6の第一の特徴は扱えるIPアドレスの多さにあります。
インターネットに接続する機器には、インターネット上の住所にあたる「IPアドレス」が必要となります。ところが、1980年代に仕様が公開されたIPv4(Internet Protocol Version 4、インターネットプロトコル バージョン4)ではIPアドレスを32ビットの数値として扱うため、最大でも約43億個のIPアドレスしか取り扱うことができません。これは現在80億人近くとも言われる世界人口と比較しても心もとない数です。実際に、各所でIPアドレスの枯渇が現実の問題として発生しています。
そこでIPv4の後継にあたるIPv6では、IPアドレスを128ビットまで拡張しました。これにより扱えるIPアドレスの数はIPv4の4倍まで拡張、その数は実に約340澗個に達します。「澗(かん)」という聞きなれない単位が登場するほどの数ですから、当分枯渇する心配はないでしょう。
こういった特徴により、IPv6は「次世代のIPアドレス」とも呼ばれています。

IPv6には2つの接続方式がある

IPv6には、従来の「PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)」方式に加えて、新たに「IPoE(Internet Protocol over Ethernet)」方式という接続方法を利用可能という特徴もあります。
「PPPoE」方式では、電話回線を利用した接続方法である「PPP」プロトコルを使用します。ID / パスワードを入力して通信事業者に接続し、「ネットワーク終端装置」を経由してインターネットに接続します。
一方、「IPoE」方式では、インターネットプロトコルをそのまま使用してインターネットに接続します。そのためルーターやアダプターなどの通信機器をユーザー側で用意する必要はなく、またIDやパスワードの入力も不要です。

IPv6に対応していないWebサイトやルーターもある

IPv6とIPv4には互換性がない、という特徴も注意点として覚えておきましょう。つまり、せっかくIPv6に対応したプロバイダー(ISP)と契約したとしても、IPv6に非対応のルーターではIPoE方式は使用できませんし、IPv6に非対応のWebサイトは閲覧できないのです。
IPv6への移行を考える場合、まずはお手持ちのルーターがIPv6に対応していることを確認しましょう。現在市販されているものの中にもIPv6非対応の製品がありますから、新規購入する場合には必ず仕様を確認しましょう。
また、Webサイトやサービスの中には、現時点でIPv6に対応できていないものも数多く存在します。そうしたWebサイトやサービスはIPv6では直接閲覧 / 利用できませんが、IPv4の通信内容をIPv6でも利用できる形式に変換する「IPv4 over IPv6」を使用することで利用することができます。

IPv6を通して得られるメリット

では、IPv6への移行により企業や一般ユーザーにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

通信速度が上がり大容量データの送受信も快適

まずは通信速度がより速くなり、大容量のデータ送受信も快適にできるというメリットがあげられます。
IPv6、IPv4とも「通信規格」ですから、通信機器の性能や通信回線の状況が影響する「通信速度」自体にはそれほどの違いはありません。
しかし、PPPoE方式では通信量が増加した場合にネットワーク終端装置が混雑してボトルネックとなり通信速度が低下することがある一方、IPoE方式ではこうした混雑は発生しにくいとされています。これが一般的に「IPv6を利用したほうが通信速度が速い」とされている一因です。
また、利用できるIPアドレス数が多いこともIPv6での通信速度の向上や大容量データ通信時のストレス軽減に一役買っています。前述のように、IPv4では約43億個のIPアドレスしか扱うことができませんでしたが、IPv6はほぼ無限とも言える340澗個のIPアドレスを用意することができます。
端末を使用してインターネットに接続する場合、これまではIPアドレスの数が限られていたため、オフィスではサーバー、家庭ではルーターを経由し、それらの機器のグローバルIPアドレスを使用する必要がありました。
しかし、これからは接続するすべての機器にIPアドレスが割り振られます。各機器が直接通信できるため、結果的に通信速度が速くなり、大容量のデータ通信も快適にできるというわけです。
また、大容量の映像データを複数の受信者に向けて同時に送信できる「マルチキャスト」という仕組みも導入されています。

通信内容を暗号化し強固なセキュリティ対策を実現

強固なセキュリティ対策を実現したこともメリットのひとつです。
「IPsec(Security Architecture for Internet Protocol)」は、通信内容を暗号化するセキュリティ技術です。もともとIPv4でも活用されていましたが、IPv6でIPsecが標準機能として位置づけられ、利用が推奨されることとなりました。
IPsecにより、暗号化の機能がないアプリケーションなどのデータをやり取りする際にも、通信経路上での盗聴やデータの改ざんを防ぐことができます。

IPアドレスを自動割り振りしインターネット接続を簡素化

インターネットに接続するまでの手順を簡素化したこともメリットのひとつでしょう。
従来、インターネットに接続する場合には接続する端末ごとにIPアドレスの設定が必要でした。家庭用ルーターの管理画面にログインIDとパスワードを入力し、プロバイダーからIPアドレスの発行を受けるなどの操作を経験した方も多いのではないでしょうか。
IPv6では、機器をインターネットに接続すると自動的にIPアドレスが割り振られる仕組みとなっており、煩わしい設定なしにあらゆる端末をインターネットに接続できるようになっています。

IPv6により発生するデメリット

ここまでIPv6のメリットについて語ってきましたが、デメリットがないわけではありません。

IPv4との互換性が少ない

IPv4とIPv6とは異なる通信規格のため、IPv6ではIPv4のIPアドレスをそのまま利用して通信することはできません。互換性が少ないことはデメリットのひとつと言えるでしょう。ただし、前述のとおり「IPv4 over IPv6」の変換技術を使用すれば相互に通信することが可能ですし、各プロバイダーもIPv4 over IPv6サービスの提供を開始しています。また、通信相手によりIPv4とIPv6とを使い分ける「デュアルスタック」などの技術を搭載した機器も開発されています。
これらの技術により、互換性に関するデメリットは今後は徐々に解消していくことでしょう。

IPoEを利用しないと速度は上がらない

IPv6ではPPPoEとIPoEの2種類の通信方式が利用できますが、通信速度を上げるためにはこのうちIPoEを使用する必要があります。この「2種類の通信方式のどちらも使用できる」ところがポイントで、IPv6を導入したものの、PPPoE方式を利用するよう設定されているがために通信環境が改善せず、通信速度向上の恩恵を受けられていない、という事態が起こりえるのです。
通信方式としてIPoE方式が使用されているか、ルーターなど現在使用されている機器および設定を確認しましょう。

IPv6へ接続する方法と確認の仕方

では、IPv6へ接続する方法と、きちんと接続できているのか確認する方法を具体的に見てみましょう。

IPv6の接続状況の確認方法

IPv6は、技術の進歩に伴い機器が自動的にアップデートされ、自然にIPv4から切り替わる、という性質のものではありません。利用するためにはまず申し込みが必要ですが、その前に自分の端末の接続を確認しておきましょう。
もっとも簡単な方法は接続状況を確認できるWebサイトにアクセスすることです。例えば、以下のサイトでは、現在の接続状況と、将来IPv6コンテンツのみになった場合に向けての準備状況が表示されます。

参考:「あなたの IPv6 接続性をテストしましょう。」

この他、接続状況を確認できるWebサイトを用意しているプロバイダーもあります。お使いのプロバイダーのWebページも確認してみましょう。
また、ご自身の端末で確認することもできます。Windows OSの場合は「設定」の「ネットワークとインターネット」、Mac OSの場合はアップルメニューの「システム環境設定」から接続状態にIPv6アドレスが表示されるか確認してください。

IPv6に接続するために必要なもの

現在IPv4で接続していることが確認できた場合、もしIPv6へ移行を思い立ったら何をすればよいのでしょうか。
まずはIPv6での通信環境を提供しているプロバイダーへの申し込みが必要となります。また、既にIPv6での通信環境を提供しているプロバイダーと契約していても、IPv6の利用には追加申し込みが必要な場合もあります。契約内容も確認しておきましょう。
ただ、契約したらすぐにIPv6を利用できるということではありません。利用にはIPv6対応のルーターが必要です。プロバイダーによっては対応ルーターを提供してくれる場合もあるため、契約後に確認したうえで、できればプロバイダーの推奨ルーターを用意しましょう。

IPv6のプロバイダーの選び方

さて、いざIPv6を提供しているプロバイダーを検索してみたら、あまりに多くがヒットして迷ってしまった、ということもあると思います。ここで、プロバイダーを選ぶにあたってポイントとなる点をいくつか紹介します。

法人契約ができるプロバイダーを選ぶ

IPv6サービスを提供しているプロバイダーの中には、法人契約を受け付けていないところもあります。個人契約と法人契約とでは固定IPアドレスの使用やサポート面などで大きな違いがありますので、法人契約を目指す場合にはまず「法人契約を受け付けているか」でプロバイダーを絞り込みましょう。

混雑の影響の受けにくさで選ぶ

常に快適な通信環境を確保できるかどうかも大切です。混雑時にも安定して通信ができるよう、プロバイダーによっては帯域保証を準備したり、個人向けと法人向けでサービスを分離しているところもあります。
特に法人契約の場合には、帯域保証・帯域優先の有無や内容について確認しましょう。

費用や支払い方法で選ぶ

ひとくちにIPv6サービスとはいっても、その内容や利用料金はさまざまです。各プロバイダーのサービスを比較して自社のニーズや予算にあったものを選択しましょう。また、法人契約であれば請求書払いができるか、他のサービスとの一括払いが可能かなども確認しましょう。

サポートや保守の体制で選ぶ

特に法人契約の場合には、有事の際にスムーズに対応してもらえるよう、サポート内容や保守体制がしっかりしたところを選択したほうが良いでしょう。個人契約、法人契約の両方を受け付けているプロバイダーの中には、個人・法人で共通のサポートを提供しているところもあります。サポート体制に着目してプロバイダーを選択するのもひとつの方法です。

固定IPアドレスの発行有無で選ぶ

固定IPアドレスの発行があるかどうかも選定の基準となりえます。現在は固定IPアドレスを取得していない場合でも、将来的に「自社サイトの運営に注力したい」「複数の拠点から本社のオンプレミスサーバーにアクセスする可能性がある」「リモートワークに対応してVPN接続を導入したい」などの計画がある場合には固定IPアドレスを発行しているプロバイダーを選択するとよいでしょう。

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アクセス回線を一本化し、スムーズな利用を実現

「Master'sONE® SIV-HS」は、アクセス回線1本でテレビ会議やIP電話の重畳利用が可能。また、閉域網を利用してインターネット回線からはアクセスできない回線を構築できるため、外出先や海外とも快適で安全に通信できます。また、万一ルーターの紛失や盗難に遭っても、許可された回線でなければアクセスできないため安心です。

低遅延・高速な通信環境を実現

「Master'sONE® SIV-HS」は、従来型のエントリーVPNより低遅延・広帯域な通信環境を準備。実際にファイルのコピーでは約10倍、ファイルオープンでは約6倍の高速化を実現しています。
高速な通信環境の実現により、大幅な作業の効率化を実現できます。

トラブルにも対応できる冗長構成と保守体制

「Master'sONE® SIV-HS」は、通信の信頼性確保のための保守サービスも充実。
冗長構成により、万一ネットワークにトラブルが生じた場合でも通信環境を確保できます。また、24時間365日の保守・監視体制を整備。有事の際にも高品質なサービスを提供します。

費用・内容が異なる3つのプランを用意

「Master'sONE® SIV-HS」は、豊富な拡張機能を備える「Master'sONE® SIV-HS Advance」、エントリーVPNを利用できる「Master'sONE® SIV-HS」、低コストで利用できる「Master'sONE® SIV Light」の3つの料金プランを用意。自社の規模や予算、必要な機能に応じてお選びになれます。

回線の手配や初期設定も対応可能

「Master'sONE® SIV-HS」は、ご利用時の開始時の工事に加え、回線の手配や設定代行も承ります。
別途費用は必要となりますが、面倒な初期設定も含めて、IPv6環境をワンストップで構築します。通信環境構築に割くリソースがない場合や、あまり知識がなく不安な場合にはぜひご用命ください。

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NTTPCの「InfoSphere® IPoEインターネットサービス」は、IPoE方式の導入により安定した通信環境を確保できる法人向けサービスです。
お申し込みはWeb経由でどこからでも可能。さらに「固定IPコース」なら、NTTPCがレンタルで提供するIPoE対応CPE(ルーター)をご契約中の「フレッツ」回線に接続するだけで自動的に開通します。

IPoE方式の通信環境を素早く構築したい企業様にお勧めのサービスです。

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まとめ

今回は、新しい通信規格であるIPv6について、約340澗個のIPアドレスを取扱うことができること、IPoEという新たな通信方式が使用できることなどを紹介しました。また、通信速度、セキュリティ、接続方法簡素化などのメリットがある一方、IPv4と互換性がない、IPoEを使用しないと通信速度は上がらないといったデメリットがあることも紹介しました。
そして、IPv6の導入をお考えの方のために、IPv6への移行時に必要となるもの、プロバイダーの選び方についても解説しました。
現在はIPv4とIPv6が混在しているいわば「過渡期」ですが、IPv6の時代は今後確実にやってきます。タイミングを計り、IPv6への移行を検討してみてはいかがでしょうか。

※ICT Digital Columnに記載された情報は、リリース時点のものです。
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