IPアドレスとは? 仕組みや確認方法、個人の特定について解説
今回はインターネットで通信するための住所である「IPアドレス」について、仕組みやクラス、割り振りの仕組み、種類などについて説明します。また、現在問題となっている「IPアドレス枯渇問題」や「IPアドレスによる個人特定」も紹介します。
この記事で紹介している
サービスはこちら
- 目次
IPアドレスとは
「IPアドレス」というワードについて、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。「192.168.1.1」のような、ピリオドで区切られた数字を思い浮かべるかもしれません。
IPアドレス(Internet Protocol Address)の文字通りの意味は「インターネットで通信するための住所」となります。ネットワーク上の各機器に割り当てられ、通信相手を指定する際に使用されます。
誰かに手紙を出す際には封筒にまず相手先の住所を書きますが、インターネット上の通信でも同じように相手先の住所(=IPアドレス)を指定するわけです。
IPアドレスのネットワーク部とホスト部
IPアドレスは32bit(2進数32桁)の数値で、8桁の2進数を4つ並べた形をしています(冒頭の「192.168.1.1」は4つを十進数に直してピリオドで区切ったものです)。
さらにIPアドレスは前半の「ネットワーク部」と後半の「ホスト部」に分けることができます。「ネットワーク部」にどれだけの桁を割り当てるかにより扱えるネットワークの数が決まります。また、「ホスト部」にどれだけの桁を割り当てるかにより扱えるホスト(コンピュータ)の数が決まります。
また、ネットワーク部とホスト部の境界をあらかじめ決定する「クラスフルアドレス」に加え、現在では境界を柔軟に移動できる「クラスレスアドレス」の仕組みも考案されています。
IPアドレスのクラスとは
クラスフルアドレス方式のIPアドレスには、ネットワーク部とホスト部の割り当て桁数により「クラス」と呼ばれる分類があります。クラスには「クラスA」~「クラスE」の5種類があり、ネットワークの規模や用途によって使い分けることができます。それぞれのクラスは先頭の数字(先頭ビット列)により区別することができます。なお、先頭ビット列はネットワーク部に含まれます。
先頭ビット列が「0」のクラスA
先頭ビット列が「0」のIPアドレスを「クラスA」と呼びます。先頭ビットに続く7ビットをネットワークに割り当てるため、最大126個のネットワークを取り扱うことができます。また、残りの24ビットをホストに割り当てるため、最大16,777,216台(約1678万台)のコンピュータを取り扱うことができます。10進数では「0.0.0.0」~「127.255.255.255」と表します。
こうした特長から、1つのネットワークにたくさんのコンピュータを接続するような「大規模ネットワーク向け」と言えます。
先頭ビット列が「10」のクラスB
先頭ビット列が「10」のIPアドレスを「クラスB」と呼びます。先頭ビットに続く14ビットをネットワークに割り当てるため、最大16,384個のネットワークを取り扱うことができます。また、残りの24ビットをホストに割り当てるため、最大65,534台のコンピュータを取り扱うことができます。10進数では「128.0.0.0」~「192.255.255.255」と表します。
ネットワーク数とホスト数のバランスが取れているという特長から、ネットワーク数にもホスト数にも柔軟に対応する必要のある「中規模ネットワーク向け」と言えます。
先頭ビット列が「110」のクラスC
先頭ビット列が「110」のIPアドレスを「クラスC」と呼びます。先頭ビットに続く21ビットをネットワークに割り当てるため、最大2,097,152個(約210万個)のネットワークを取り扱うことができます。また、残りの8ビットをホストに割り当てるため、最大254台のコンピュータを取り扱うことができます。10進数では「192.0.0.0」~「223.255.255.255」と表します。
各ネットワークのホスト数が最大254台に制限されるため、「小規模ネットワーク向け」と言うことができます。
先頭ビット列が「1110」のクラスD
先頭ビット列が「1110」のIPアドレスを「クラスD」と呼びます。これまで紹介したクラスA~クラスCとは違い、残りの28ビットはすべて「マルチキャストグループアドレス」として使用する特殊用途のIPアドレスです。10進数では「224.0.0.0」~「223.255.255.255」と表します。
複数の受信者に向けて動画などを一斉送信する「ストリーミング放送」などで利用されます。
先頭ビット列が「1111」のクラスE
先頭ビット列が「1111」のIPアドレスを「クラスE」と呼びます。こちらもクラスA~クラスCとは違い、特殊用途のIPアドレスです。10進数では「240.0.0.0」~「255.255.255.255」と表すことができます。
将来的な利用に向けた実験用として予約されているため、現時点では実際に使用されることはありません。
IPアドレスが割り振られる仕組み
インターネット回線に接続しているスマートフォンやノートPCにも当然IPアドレスが割り振られているのですが、「いつの間にか割り振られている」ため普段はあまり意識することはないかもしれません。
IPアドレスが割り振られる仕組みは、大きく分けて2種類あります。
動的IPアドレスはネット接続のたびに新しく割り振られる
「動的IPアドレス」は、ネットに接続するたびにホストに割り振られるIPアドレスです。例えば家庭用Wi-Fiを使ってインターネットに接続する際には、契約しているプロバイダ(ISP)からその時点で使用されていないIPアドレスが「動的IPアドレス」として自動的に割り振られます。
接続するたびにIPアドレスが変化することがもっとも大きな動的IPアドレスの特徴です。また、接続し直さなくても、一定時間が経過したり、回線切断などによりIPアドレスが変化することがあります。
固定IPアドレスは常に同じものが割り振られる
それに対し、「固定IPアドレス」は常に同じIPアドレスを使用してインターネットに接続する仕組みです。ISPなどから固定のIPアドレスを取得し、自社のWebサーバーなどに手動で設定します。
例えば特定のファイルサーバーに接続している場合、IPアドレスが変わってしまったらアクセスできなくなってしまいます。その点、ファイルサーバーに固定IPアドレスを割り振っておけば、変わらずアクセスできるようになります。また、セキュリティ対策としてファイルサーバーへの接続ログを取得したり、許可した人以外は接続できないような仕組みを整える際にも固定IPアドレスが必要です。
IPアドレスの種類
続いて、IPアドレスの種類にも触れておきましょう。IPアドレスは、使用される範囲により「グローバルIPアドレス」と「ローカルIPアドレス」の2種類に分類することができます。
ネットに接続する際に割り振られるグローバルIPアドレス
「グローバルIPアドレス」は、インターネットに接続する際に割り振られるIPアドレスです。家庭用Wi-Fiを使ってインターネットに接続する際にISPから割り振られる動的IPアドレスがこれにあたります。米国の非営利団体ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)により管理されており、重複は許されません。
特定の範囲で使用するローカルIPアドレス
それに対して「ローカルIPアドレス」は小規模なネットワーク内で割り振られるIPアドレスです。家庭内LANであればルーターから、社内LANであればサーバーなどから割り振られます。ローカルIPアドレスはそのネットワーク内での機器の識別のために割り振られています。そのため、他のネットワーク内で重複したIPアドレスが使用されていても問題はありません。
IPアドレスの枯渇問題とは
IPアドレスに関連して、近年「IPアドレスの枯渇問題」が持ち上がっています。
上記の通り、グローバルIPアドレスでは重複は許されません。ところが、約50年前に策定された「IPv4」という仕組みでは、43億個のIPアドレスしか用意することができません。当時としては十分な数でしたが、IoT機器やモバイル機器の普及が進展した現代においてはとても十分な数とは言えません。実際に、前述のICANNでは、2011年に同団体の管理するIPアドレスが枯渇したことを発表しています。
現在、IPv4に代わる「IPv6」という仕組みの採用によりIPアドレス枯渇問題の解決が図られています。IPv6では、43億個の4乗のIPアドレスが利用可能となるため、当分の間枯渇の心配をする必要はなさそうです。
IPアドレスを確認する方法
ここまでお読みになって、ご自分が現在使用しているIPアドレスを具体的に知りたくなった方もいらっしゃるのではないでしょうか。では実際に、ローカルIPアドレス、グローバルIPアドレスを確認してみましょう。
ローカルIPアドレスの確認方法
Windows OSのPCをお使いの場合、OSに標準添付されている「コマンドプロンプト」を使用してローカルIPアドレスの確認が可能です。コマンドプロンプトは本来、テキストで命令を打ち込んでファイル操作などを行うものですが、ここに「ipconfig」と打ち込むと画面にローカルIPアドレスが表示されます。
また、スマートフォンでもローカルIPアドレスを確認することができます。操作は機種により異なりますが、一般的に設定メニューから確認することができます。
グローバルIPアドレスの確認方法
現在使用しているグローバルIPアドレスを確認する簡単な方法は、グローバルIPアドレスを表示するWebサービスを利用することです。例えばIT技術者向けに情報公開やサービス提供を行っている株式会社シーマンでは、グローバルIPアドレス確認のページを設けています。
参考:シーマン株式会社「あなたが現在インターネットに接続しているグローバルIPアドレス確認」
このほか、PCやスマートフォンで簡単にグローバルIPアドレスを確認できるアプリケーションも多数公開されています。インターネットに接続できない場合などに利用してみると良いでしょう。
IPアドレスから個人は特定できるのか?
冒頭で「IPアドレスはインターネットで通信するための住所」と申し上げました。「住所が知られてしまったら、個人を特定されているのではないか」と心配になってしまう方もいらっしゃると思います。
結論から言うと、IPアドレスから住所や住所、電話番号等の個人情報を窃取されることはなく、従って個人が特定されることはありません。
ただし、プロバイダ(ISP)側は割り振ったIPアドレスとユーザーとを紐づけることが可能です。ユーザーはプロバイダとの契約時に氏名や住所、電話番号を登録しますから、理論上は個人の特定も可能です。とは言っても、プロバイダの持つ接続情報の公開は個人情報保護の観点から警察・検察の捜査照会や裁判所の命令等を伴う場合など特殊なケースに限定されており、基本的に個人や企業の要求で公開されることはありません。通常利用の範囲においては個人は特定されない、と考えて良いでしょう。
法人向けプロバイダサービス「InfoSphere®」
NTTPCの「InfoSphere®」は、法人向けのプロバイダサービス。
手軽に利用できるインターネット接続サービスからVPNまで、幅広いラインナップでお客さまのニーズに合わせたインターネット接続環境を提供します。
たとえば「InfoSphere® IPoEインターネットサービス」は、輻輳(ふくそう)の問題を解決した接続方式「IPoE」により快適な通信環境を提供するインターネット接続サービス。IPアドレスを固定IPアドレス/動的IPアドレスから選択することができ、さらに固定IPアドレスでは帯域やIPアドレス数など細かなオーダーも可能。
インターネットビジネスを展開していて高品質かつ安定したインターネット回線を利用したい企業様にお勧めのサービスです。
信頼性の高いネットワークサービス「Master'sONE」
NTTPCの「Master'sONE®ネットワーク」は、AWS、Azureなどパブリッククラウドへセキュアにアクセスしたい企業様や、お客さまのデータを安全に、広帯域で集配信したいセンター事業者様、本社・拠点間を含む社内ネットワークを高品質で実現したい企業様などにおすすめの信頼性の高いネットワークサービスです。スケーラビリティに富んだ、柔軟かつ高品質なネットワークを、設計・構築から保守・運用に至るまでトータルで提供します。また、24時間365日の監視・保守体制なども提供。常にサービス品質の高水準化に努めています。
例えばMaster'sONE CloudWAN®は、SD-WAN技術を活用し、安全性や柔軟性に優れたネットワークのスピーディな構築、シンプルな運用を実現するサービスです。
中堅・中小企業様に適した機能を、初期費用0円、最低利用期間1カ月間から提供いたします。
まとめ
今回は、IPアドレスについて、
・「インターネットで通信するための住所」
・IPアドレスが「ネットワーク部」と「ホスト部」により成り立つ
・「ネットワーク部」「ホスト部」それぞれの長さに応じてクラスA~クラスEに分かれる
・IPアドレスを割り振る仕組みには動的IPアドレスと固定IPアドレスがある
・IPアドレスは使用する範囲により「ローカルIPアドレス」「グローバルIPアドレス」の種類がある
・固定IPアドレスは枯渇の危機に瀕しており、IPv6という新たな仕組みの導入で解決を図っている
・IPアドレスはツールやアプリケーションを使用して確認できる
・通常、IPアドレスから個人が特定されることはない
などを解説しました。今回の記事がIPアドレスの理解を深める一助となれば幸いです。
※ICT Digital Columnに記載された情報は、リリース時点のものです。
商品・サービスの内容、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。