【初心者向け】IPアドレスとは?仕組み、種類、確認方法を解説
今回はインターネットで通信するための住所である「IPアドレス」について、構成やクラス、種類、割り振りの仕組みなどについて説明します。また、現在問題となっている「IPアドレス枯渇問題」や「IPアドレスによる個人特定」も紹介します。
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- 目次
IPアドレスとは「インターネット上の住所」のこと
IPアドレス(Internet Protocol Address)とは「インターネットで通信するための住所」を指します。ネットワーク上の各機器に割り当てられ、通信相手を指定する際に使用されます。
具体的には「192.168.1.1」のような、ピリオドで区切られた数字を指し、割り当てられる値は理論的には「0.0.0.0」から「255.255.255.255」までの約43億通りとなります。ただし、ルール上使用できない値もあります。
「グローバルIP」とは?IPアドレスの主な種類
IPアドレスは、使用される範囲により、大きく「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)」の2種類に分類することができます。それぞれの意味は次のとおりです。
世界に1つしかない「グローバルIPアドレス」
「グローバルIPアドレス」は、インターネットに接続する際に割り振られるIPアドレスです。家庭用Wi-Fiを使ってインターネットに接続する際にISPから割り振られる動的IPアドレスがこれにあたります。米国の非営利団体ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)により管理されており、重複は許されません。
特定のネットワーク内で使用する「プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)」
それに対して「プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)」は小規模なネットワーク内で割り振られるIPアドレスです。家庭内LANであればルーターから、社内LANであればサーバーなどから割り振られます。「プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)」はそのネットワーク内で機器を識別するために割り振られています。そのため、ほかのネットワーク内で重複したIPアドレスが使用されていても問題はありません。
IPアドレスはどう決まる?割り振られる2つの仕組み

インターネット回線に接続しているスマートフォンやノートPCにも当然IPアドレスが割り振られているのですが、「いつの間にか割り振られている」ため普段はあまり意識することはないかもしれません。
IPアドレスが割り振られる仕組みは、大きく分けて2種類あります。
動的IPアドレス:ネット接続のたびに新しくIPアドレスを割り振る
「動的IPアドレス」は、ネットに接続するたびにホストに割り振られるIPアドレスです。例えば家庭用Wi-Fiを使ってインターネットに接続する際には、契約しているプロバイダー(ISP)からその時点で使用されていないIPアドレスが「動的IPアドレス」として自動的に割り振られます。
大きな特徴は、接続するたびにIPアドレスが変化することです。また、接続し直さなくても、一定時間の経過や回線切断などによりIPアドレスが変化することがあります。
固定IPアドレス:初めに取得したIPアドレスを使い続ける
「固定IPアドレス」は常に同じIPアドレスを使用してインターネットに接続する仕組みです。ISPなどから固定のIPアドレスを取得し、自社のWebサーバーなどに手動で設定します。
例えば特定のファイルサーバーに接続している場合、IPアドレスが変わってしまうとアクセスできなくなってしまいます。その点、ファイルサーバーに固定IPアドレスを割り振っておけば、変わらずアクセスできるようになります。また、セキュリティ対策としてファイルサーバーへの接続ログを取得したい場合や、許可した人以外は接続できないような仕組みを整えたい場合にも固定IPアドレスが必要です。
| 動的IPアドレス | 固定IPアドレス | |
|---|---|---|
| アドレス | 接続のたびに変わる | 不変 |
| 設定 | ISPにより自動設定 | 手動で設定 |
| 社外からの接続 | 不可 | 可能 |
IPアドレスの今すぐわかる確認方法
現在使用しているデバイスのIPアドレスを確認する方法は、確認したいIPアドレスの種類により次の2通りがあります。
グローバルIPアドレスの確認方法
現在使用しているグローバルIPアドレスを確認する簡単な方法は、グローバルIPアドレスを表示するWebサービスを利用することです。例えばIT技術者向けに情報公開やサービス提供を行っている株式会社シーマンでは、グローバルIPアドレス確認のページを設けています。このほか、PCやスマートフォンで簡単にグローバルIPアドレスを確認できるアプリケーションも多数公開されています。インターネットに接続できない場合などに利用してみると良いでしょう。
プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)の確認方法
Windows OSのPCをお使いの場合、OSに標準添付されている「コマンドプロンプト」を使用してローカルIPアドレスの確認が可能です。コマンドプロンプトは本来、テキストで命令を打ち込んでファイル操作などを行うものですが、ここに「ipconfig」と打ち込むと画面にローカルIPアドレスが表示されます。
また、スマートフォンでもローカルIPアドレスを確認することができます。操作は機種により異なりますが、一般的に設定メニューから確認することができます。
IPアドレスから個人は特定できる?知っておくべきルールとリスク

基本的にはIPアドレスから個人の氏名や住所、電話番号などの個人情報を特定することはできません。これは法人であっても同様です。
ただし、プロバイダー(ISP)側は割り振ったIPアドレスとユーザーとを紐づけることが可能です。個人や企業の要求で公開されることはないものの、捜査機関からの捜査照会などがあれば、IPアドレスから契約時に登録した氏名や住所、電話番号などの個人情報を特定されることとなります。完全に匿名ではないことに注意が必要です。
IPアドレスの"枯渇問題"解消へ向けて、変わる規格や分類方法
近年、IoT機器やモバイル機器が普及したことにより、これまでの規格や分類方法ではIPアドレスが足りなくなる「IPアドレスの枯渇問題」が持ち上がっています。
そこで、枯渇問題への対策として新たな規格や分類方法が採用されました。
規格面では、アドレス空間が32ビット(0~255)である「IPv4」に加え、アドレス空間が128ビットである「IPv6」が採用されました。IPv6では、43億個の4乗のIPアドレスが利用可能となるため、当分の間枯渇の心配はなくなりました。
併せて、枯渇が懸念されるIPv4についても、その分類方法をクラスフルアドレスからクラスレスアドレスへ変更することにより、より効率的に活用していこうという動きが進んでいます(クラスフルアドレス、クラスレスアドレスについては後述します)。
IPアドレスのクラスフル方式の種類と構成
IPアドレスは前半の「ネットワーク部」と後半の「ホスト部」に分けることができます。この「ネットワーク部」と「ホスト部」の境界を固定する分類方式を「クラスフルアドレス」と言います。クラスA~Eの5種類があり、先頭ビット列によって区別され、次のルールにもとづいて分類されます。
先頭ビット列が「0」のクラスA
先頭ビット列が「0」のIPアドレスを「クラスA」と呼びます。先頭ビットに続く7ビットをネットワークに割り当てるため、最大126個のネットワークを取り扱うことができます。また、残りの24ビットをホストに割り当てるため、最大16,777,216台(約1678万台)のコンピューターを取り扱うことができます。10進数では「0.0.0.0」~「127.255.255.255」と表します。
こうした特長から、1つのネットワークにたくさんのコンピューターを接続するような「大規模ネットワーク向け」と言えます。
先頭ビット列が「10」のクラスB
先頭ビット列が「10」のIPアドレスを「クラスB」と呼びます。先頭ビットに続く14ビットをネットワークに割り当てるため、最大16,384個のネットワークを取り扱うことができます。また、残りの24ビットをホストに割り当てるため、最大65,534台のコンピューターを取り扱うことができます。10進数では「128.0.0.0」~「192.255.255.255」と表します。
ネットワーク数とホスト数のバランスが取れているという特長から、ネットワーク数にもホスト数にも柔軟に対応する必要のある「中規模ネットワーク向け」と言えます。
先頭ビット列が「110」のクラスC
先頭ビット列が「110」のIPアドレスを「クラスC」と呼びます。先頭ビットに続く21ビットをネットワークに割り当てるため、最大2,097,152個(約210万個)のネットワークを取り扱うことができます。また、残りの8ビットをホストに割り当てるため、最大254台のコンピューターを取り扱うことができます。10進数では「192.0.0.0」~「223.255.255.255」と表します。
各ネットワークのホスト数が最大254台に制限されるため、「小規模ネットワーク向け」と言えます。
先頭ビット列が「1110」のクラスD
先頭ビット列が「1110」のIPアドレスを「クラスD」と呼びます。これまで紹介したクラスA~クラスCとは違い、残りの28ビットはすべて「マルチキャストグループアドレス」として使用する特殊用途のIPアドレスです。10進数では「224.0.0.0」~「223.255.255.255」と表します。
複数の受信者に向けて動画などを一斉送信する「ストリーミング放送」などで利用されます。
先頭ビット列が「1111」のクラスE
先頭ビット列が「1111」のIPアドレスを「クラスE」と呼びます。こちらもクラスA~クラスCとは違い、特殊用途のIPアドレスです。10進数では「240.0.0.0」~「255.255.255.255」と表すことができます。
将来的な利用に向けた実験用として予約されているため、現時点では実際に使用されることはありません。
任意のビット数でネットワーク部を区切る「クラスレスアドレス(CIDR)」
前述のように、クラスフルアドレスでは先頭ビット列が固定されます。また、クラスA~Cの最大数もそれぞれ16,777,216台、65,534台、254台と大きな開きがあり、結果としてIPアドレスが効率的に使われない理由となっています。
その課題を解決するために登場したのが「クラスレスアドレス(Classless Inter-Domain Routing 、CIDR)」で、ネットワーク部とホスト部の境界を自由に決めることができます。現在はこちらのクラスレスアドレスが主流になっています。
固定IPも!安心して活用できる、法人向けインターネットサービスの例
ここで、参考としてIPアドレスの種類やクラスの指定が可能で、安全かつ柔軟に活用できる法人向けインターネットサービスを2つ紹介します。
法人向けプロバイダーサービス「InfoSphere®」
NTTPCの「InfoSphere®」は、法人向けのプロバイダーサービスです。
手軽に利用できるインターネット接続サービスからVPNまで、幅広いラインナップでお客さまのニーズに合わせたインターネット接続環境を提供します。
例えば「InfoSphere® IPoEインターネットサービス」は、輻輳(ふくそう)の問題を解決した接続方式「IPoE」により快適な通信環境を提供するインターネット接続サービス。IPアドレスを固定IPアドレス/動的IPアドレスから選択することができ、さらに固定IPアドレスでは帯域やIPアドレス数など細かなオーダーも可能。
インターネットビジネスを展開していて高品質かつ安定したインターネット回線を利用したい企業さまにおすすめのサービスです。
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まとめ
今回は、インターネット上の住所にあたる「IPアドレス」について解説しました。
IPアドレスには世界にひとつしかない「グローバルIPアドレス」と特定のネットワーク内で使用する「プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)」があり、また割り振り方により「動的IPアドレス」と「固定IPアドレス」があります。
一時は枯渇が心配されたグローバルIPアドレスでしたが、現在はIPv6、クラスレスアドレスの登場により枯渇の心配はなくなっています。
今回の記事を参考として、IPアドレスから自社に適したネットワークについて検討してみてはいかがでしょうか。
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