【最新版】現場の熱中症対策が義務化!対策とウェアラブル活用
現場の熱中症対策とは、作業環境や体調を管理し熱中症を防ぐ取り組みです。本記事では建設現場・屋外作業を対象に、熱中症リスクや義務化の内容、具体策やウェアラブル活用を解説します。
- 目次
建設現場で熱中症のリスクが高い3つの理由
建設現場において熱中症のリスクが高くなる理由には、次のようなものがあります。
屋外の直射日光と高温多湿が体温調節を妨げる
建設現場では屋外作業が中心であり、気温の高さに加えて直射日光やコンクリートからの照り返しを長時間受ける環境に置かれます。これにより体表面や体内の温度が上昇しやすくなります。さらに、日本のような高湿度環境では汗が蒸発しにくく、体温を下げるための発汗機能が十分に働きません。その結果、体温調節が追いつかず、熱中症のリスクが高まります。
厚手の作業着と重労働で体内に熱がこもる
建設現場では、安全確保のためにヘルメットや長袖の作業着、安全帯、安全靴などを着用する必要があります。こうした装備を身に付けると通気性が制限され、発汗による体温調節も難しくなります。
また、装備の重量を負った状態で資材の運搬や高所作業など、身体的負荷の大きな活動を行うことで筋肉による発熱(熱産生)が起こり、さらに体温が上昇します。
服装も建設現場特有の熱中症リスクとなります。
休めないという現場の風潮が初期対応を遅らせる
建設現場では役割分担が細かく決まっていること、厳格な工程管理が実施されていること、出来高制の報酬が採用されていることなどの要因から、「少しくらい体調が悪くても休めない、休みたくない」という雰囲気が業界内に根強く残っています。
特に中堅・中小企業や一人親方の場合には人的・時間的な制約から、体調不良を申告しづらい環境にあります。少々のことなら我慢してしまう、という風潮は、熱中症の初期症状が出た場合の自己申告をためらわせ、結果的に重症化や死亡事故につながる大きな要因となっています。
事実、厚生労働省のデータでは、2021年から2025年までの5年間に熱中症で死亡した131人のうち、建設業が52人と全業種で最多となっています。死傷者数も1,038人と製造業に次いで多く、建設現場では組織的な熱中症対策が不可欠といえるでしょう。
出典:厚生労働省「職場における熱中症による死傷災害の発生状況(2021~2025年)」P2「業種別発生状況(2021~2025年)」
事業者にとって現場従業員の熱中症対策は必須
このように熱中症リスクの高い建設現場を適切に管理し、従業員に対し的確な熱中症対策を採ることは、法的にも、業務を事故なく円滑に進める上でも事業者(管理者)にとって必須かつ重要な業務となります。
改正労働安全衛生規則で事業者に求められる3つの義務
2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則では、熱中症対策を強化するため、WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の環境で連続1時間以上、または1日4時間超の作業が見込まれる場合に、事業者に対して「報告体制の整備」「重篤化防止手順の作成」「関係者への周知」の3つの対策が義務付けられました。
昨今の猛暑・酷暑の常態化による熱中症死亡災害の増加、とりわけ初期症状の放置・対応の遅れによる重症化を防ぐために必要な措置とされています。
対策を怠った場合の罰則と企業リスク
同じく改正労働安全衛生規則には、義務に違反した場合の罰則として、6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。
実際に熱中症の死亡災害を発生させてしまった場合には、労働基準監督署による是正勧告や作業停止命令のリスク、労災発生時の安全配慮義務違反による損害賠償リスクなども考えられ、経営上の観点からも熱中症対策が重要であることが分かります。
熱中症対策の義務化と罰則について、詳しくは下記コラムをご参照ください。
【2025年6月】熱中症対策が義務化!罰則内容と職場の対策
従来の熱中症対策だけでは防ぎきれない建設現場の課題
政府による熱中症対策は1990年代後半から進められており、作業環境の整備や作業者への教育・指導などを中心に一定の成果を上げてきました。
しかし近年は気候変動による猛暑の常態化や建設業界の高齢化、人材不足などを背景に、従来の対策だけでは十分に熱中症リスクを抑えきれないケースが増えています。建設現場では次のような課題が指摘されています。
体調変化の把握が自己申告に依存することの限界
従来の対策では、体調管理は主に自己申告(セルフケア)に依存してきました。
しかし、熱中症は初期段階では自覚症状が分かりにくい場合がある上、疲労や睡眠不足などの影響によって自身の体調変化を正確に把握できないこともあります。
中等症(Ⅱ度)以上の熱中症では意識障害が起こることに加え、本人による適切な判断がさらに難しくなります。そのため、自己申告だけに頼った体調管理には限界があるといえるでしょう。
休憩・水分補給ルールなど既存のルールだけではカバーできない
「適時休憩を取る」「こまめに水分を取る」などのルールを定めただけでは熱中症リスクを十分に軽減することはできません。
実際には作業の忙しさから休憩や水分補給が後回しになることもあります。また、年齢や体調、作業強度、気温・湿度などによって必要な休憩時間や水分補給の頻度は大きく異なります。そのため、一律のルールだけでは個々の状況に応じた熱中症対策が難しく、よりきめ細かな管理が求められます。
人手不足により、現場の作業員を常時把握することは困難
セルフケアに限界があるのであれば、第三者による見守りが有効となります。
しかし、建設業では慢性的な人材不足が続いており、熱中症対策のためだけに十分な監視要員を配置することは容易ではありません。
また、見通しの悪い建設現場において作業員全員の健康状態を把握するような業務体制を整えることは経営面からも人材確保の面からも難しいでしょう。複数の協力会社の作業員が混在する環境では、さらに監視が困難となります。
複数拠点では建設現場の状況把握が属人化しやすい
建設現場が複数拠点にわたる場合、熱中症対策の課題はさらに複雑化します。現場ごとに責任者が違う場合、水分補給や休憩の取り方、作業員への声かけ頻度など、差が生じる場合があります。また、初期症状などの発見も現場監督の経験に依存するなど属人化しやすいといえるでしょう。
そのため、複数の現場で一定レベルの熱中症対策を維持することが課題となります。
建設業では高齢者の割合が高い
建設業では、技能者のうち60歳以上が1/4を占めるなど高齢化が進んでいます。一般的に高齢者は加齢に伴い発汗機能や体温調節機能が低下しやすく、のどの渇きを感じにくくなります。そのため、熱中症リスクが高いとされており、建設現場では年齢も考慮した対策が必要となります。
暑熱順化が不十分な作業者への配慮が必要
建設業では、短期間に複数の建設現場を移動するケースが多発します。現場毎に気温、湿度などが大きく異なると、暑さに慣れるいわゆる「暑熱順化」が起こりにくく、熱中症リスクが高くなります。
特に高温多湿な環境での作業では、暑さに身体を慣らす「暑熱順化」が熱中症予防に重要とされています。しかし、建設現場では新規入場者や長期休暇明けの作業員が作業に従事することも少なくありません。また、梅雨明け直後など気温が急激に上昇する時期には、十分な暑熱順化ができていない状態で作業を行うケースもあります。こうした状況では熱中症リスクが高まるため、作業者の状況に応じた柔軟な対策が求められます。
建設現場などの熱中症対策には「ウェアラブルデバイス」が有効

近年、建設現場などの熱中症対策として注目されているのが「ウェアラブルデバイス」です。作業者自身による体調管理を支援するとともに、管理者による見守りを実現できます。体温や心拍数などのデータをリアルタイムで取得・可視化することで、熱中症リスクの早期発見や迅速な対応につなげることができます。
リアルタイムでの健康状態の可視化
腕時計型をはじめとする多くのウェアラブルデバイスには、体温や脈拍などのバイタルデータを取得する機能があります。可視化されたデータをディスプレイで確認することで、熱中症予防に向けたセルフケアを行うことができます。
異常検知による即時アラート
腕時計型やボディカメラ型のウェアラブルデバイスには、加速度センサーにより転倒や落下を検知する機能を持ったものがあります。異常を検知した場合に自動でアラートを発報することで、管理者が迅速に状況を把握し、救護や搬送などの対応を行うことができます。その結果、対応の遅れによる熱中症の重症化を防ぐことができます。
管理者による遠隔モニタリング
ウェアラブルデバイスにより収集した各作業者のデータを集約し、管理者による遠隔モニタリングを行うことで、セルフケアに加えて第三者としての見守り・監視を行うことができます。常時監視することにより、軽症者の早期発見などにつながります。
作業者の健康状態を継続的に把握できるため、体調不良の兆候や熱中症リスクの早期発見につながります。
データ活用による現場改善
蓄積したデータを可視化し、傾向分析することで、現場全体の構造的な課題を把握できます。また、熱中症や労働災害のリスクが高まる兆候を早期に発見し、事前の対策につなげることも可能です。さらに、発生した事象の要因分析を行うことで、休憩の取り方や人員配置、作業手順の見直しなど再発防止策の検討にも活用できます。
例えば、熱中症リスクが高まる時間帯や作業内容を分析し、休憩の取り方や人員配置の見直しなどに活用することで、より効果的な安全管理につなげることが可能です。
NTTPCの「みまもりがじゅ丸®」で従業員の健康を管理
NTTPCの「みまもりがじゅ丸®」は、リストバンド型のウェアラブルデバイスを活用した熱中症対策サービスです。「脈拍」や「位置情報」を取得し、従業員の見守りを実現します。2017年の提供開始以来、延べ800社以上、累計1万人以上の導入実績があり、そのうち約6割を建設業が占めています。NETIS登録済みで公共工事入札時の加点対象となっていることから、2025年度のお問い合わせ件数は前年同期比2倍以上に増加するなど高い注目を集めています。
また、一部プランでは「転倒検知」や「SOS送信」にも対応しており、一人作業の見守りとしても活用できます。「みまもりがじゅ丸®」では、熱中症対策に加え、一人作業時の安全管理に対応したお申込みタイプもご用意しています。建設現場の安全衛生管理に課題をお感じの方は、是非お気軽にお問い合わせください。
現場管理者が押さえるべき基本の熱中症対策5つのポイント
では、事業者(管理者)として、具体的にどのような対策を実施すれば良いのでしょうか。主な対策5点を紹介します。
1:WBGTを計測して休憩頻度の基準を設ける
WBGT(暑さ指数)は、気温、湿度、輻射熱(ふくしゃねつ)の3要素を総合した暑さの指標です。WBGTを活用することで、気温単独では把握できない熱中症のリスクを把握できます。前述の通り、改正労働安全衛生規則ではWBGT28度または気温31度以上の現場において熱中症対策が義務化されているため、まずはWBGT計を現場に設置し、数値に応じて休憩頻度を変えるなどのルールを定めることで、感覚に頼らない客観的な管理が可能になります。
2:水分と塩分をこまめに補給できる環境を整備する
水分、塩分を手軽に補給できる環境を整えることも重要です。作業場所の近くにクーラーボックスやウォーターサーバーを設置し、30分に1回程度の水分補給を目安として提示すると良いでしょう。各作業者について水分摂取チェック表を用意して記録を残す方法も有効です。また、アルコールやカフェインを含む飲料は利尿作用があるため、作業前日でも過度の摂取は控えるよう周知しましょう。また、塩分補給のためのタブレット、万一熱中症の初期症状が出た場合の経口補水液なども併せて常備しておきましょう。
3:日陰のある休憩スペースを現場内に確保する
エアコン付きのプレハブ休憩所の設置が理想ですが、現場が狭小地の場合や基礎工事段階で設置が難しい場合には、遮光ネットや移動式テントで日陰をつくり、業務用扇風機を併設する方法が有効です。休憩場所には冷蔵庫や冷却グッズも備えるなど、短時間で体を効率的に冷やせる環境を整えましょう。
4:朝礼での体調確認と暑熱順化を徹底する
毎朝の朝礼時に作業員の体調を確認し、睡眠不足や前日の飲酒、持病のある作業員に配慮した配置を行うといった対策も有効です。特に初夏や長期休暇明けには体が暑さに慣れていないため、最初の1~2週間は作業量を抑えた暑熱順化期間を設けましょう。
5:ファン付き作業着や冷却グッズを活用して体温上昇を抑える
衣服内に風を送り込むことで汗の蒸発を促進し、体感温度を下げるファン付き作業着は、その効果の高さからかなり浸透しました。現在ではさらに効果の高い水冷服も登場しています。そのほか、水に濡らすだけで気化熱により冷たくなる冷却タオル、叩くことで内部の薬剤が混合され急速に冷たくなる瞬間冷却パック、保冷剤を入れるポケットを設けたベストなどの冷却グッズも登場しています。作業の種類や現場環境に応じて適切なアイテムを選び、暑さを感じる前から予防的に使用すると良いでしょう。
まとめ
今回は、建設現場・屋外作業における熱中症対策について解説しました。
建設現場は環境的に熱中症リスクが高い場所です。さらに、2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則により、事業者には「報告体制の整備」「重篤化防止手順の作成」「関係者への周知」が罰則付きで義務化されました。
とはいえ、建設現場特有の課題もあり、従来の熱中症対策のみでは十分でない場合もあります。
今回紹介した5つの基本的な熱中症対策に加え、ウェアラブルデバイスを活用することで、現場の安全管理をさらに強化できます。建設現場の熱中症対策は、法令順守だけでなく、作業員の命と安全を守るために欠かせません。現場に適した対策を継続し、安全で働きやすい環境づくりを進めましょう。
※「みまもりがじゅ丸®」「みまもりがじゅ丸ロゴ」は、NTTPCコミュニケーションズ株式会社の登録商標です。
※「みまもりがじゅ丸®」は、ヘルスケアサービスです。 医療機器とは異なります。
※「みまもりがじゅ丸®」は、疾病を診断するサービスではありません。熱中症や頻脈などの症状を診断することはできませんのでご注意ください。
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