技術者が紹介するテクノロジー

クラウドコンピューティングサービスを支えるデータセンター

私たちは、これまでに築き上げたノウハウをもとに、データセンターの利用形態を問わず、アウトソースしているICT機器やデータを安全に運用管理したいという、お客さまの強いニーズにお応えしたいと考えています。
門前仲町データセンターのファシリティを中心に紹介しながら、最適な室内環境を維持するための気流の考え方、安全性と利便性を融合したセキュリティ装置、廃材0 (ゼロ)を目指したFIT Floor® (高機能アルミ製二重床システム)などを紹介します。
また、東日本大震災時における免震装置の効果を実証した写真は必見です。ぜひ、直接データセンターへ足をお運びください。私たちが案内役として、また、ご相談相手としてお待ちしております。

クラウドコンピューティングサービスを支えるファシリティ

数年前までは「クラウド (cloud)? 雲を掴むような話だね」と冗談を言っていたことを思い出しますが、ここ数年でさまざまなサービスが登場しています。
これまでのコンピューター利用は、ユーザーがコンピューターのハードウェア、ソフトウェア、データなどを自分で保存し、管理していました。
クラウドコンピューティングでは、ユーザーはインターネットの向こう側からサービスを受けるための最低限の接続環境を準備するだけでよくなります。

しかし、ユーザーの環境は大きく変わるものの、多くのICT機器とそれらを接続する物理的ネットワークは、データセンターに集中していることに変わりありません。
地震などの自然災害に強い建物、万一の停電に備えた無停電電源装置 (UPS)や非常用発電機設備、ICT機器へ最適な室内環境を提供する空調機械設備、情報資産保護のためのセキュリティシステムなど全てが備わり、かつ安全に設備運用がなされてこそ、データセンターとしての価値が認められると考えています。

蓄積したノウハウ

これはデータセンターという言葉が、一般的になる以前の話です。2000年にオープンした飯田橋DCにおいて、所轄消防署とガス消火設備設置について協議を行いました。「データセンター」という用途が、何に値するかという議論がなされたと聞いています。
結果は「電算センターと同様、ガス消火設備は義務として設置すること。」と指導がなされたという逸話が残っています。もちろん、これまでの電算センタービルとは大きく異なります。
データセンターには、多くのお客さま、機器ベンダー、工事業者、清掃業者などなど。お客さまごとに異なる方々の入室があります。したがって、これまでの電算センターとは異なり、特に『セキュリティ』は大きなキーワードになってきます。自社資産を安心安全にアウトソースしたいという意味で、監視カメラや生体認証装置を始めとするセキュリティ機器やISMSなどのセキュリティを管理する仕組みに、お客さまの大きな関心が集まりました。

  • 入館:IDカード認証
  • サーバ室:IDカード+生体認証 (静脈)

セキュリティを設計する上で大切なことは、「堅固さ」と「利便性」が相反するものであるということを理解してください。扱う情報によって異なりますが、目的地にたどり着くまでに疲れ切ってしまうセキュリティ。目的地の付近まで簡単に入室できるセキュリティ。どちらもお客さまに敬遠されてしまいます。

一般的にセキュリティは、目的地に近づくにつれ個人識別を確実にするものが望ましいと考えます。
NTTPCのセキュリティは、事前にWeb申請を行います。現地でカードを発行することで、受付までの入室が可能になります。受付では身分証明証による本人確認後、IDカードと生体登録を行い、初めてサーバー室への入室が可能になります。IDカードにはエレベータの着床制限も登録されており、該当しないフロアへの移動はできません。
また、共連れ防止として入室履歴のあるIDカードでしか退室することをできなくするアンチパスバック機能も設定されています。

快適な室内環境をお客さまへ

2009年にオープンした門前仲町データセンターは、ASPICが主催する「2010年IDC部門総合グランプリ」を受賞しました。NTTPCが90年代にデータセンター事業に参入してから、今日に至るまでのノウハウを結集したデータセンターと言えます。コンセプトは『快適な室内環境』『高密度搭載』『グリーンIT』『セキュリティ』でした。

『セキュリティ』に関しては前述のとおり時代の流れがありましたし、『高密度搭載』についても当時の利用電力ニーズが2kVA/ラックから4kVA/ラックにスライドしてきており、現在では6kVA/ラックのニーズも出てきつつあります。

  • スラブ高の利点を利用したエアーフロー
  • ラック設置が簡単なFIT Floor®
    (高機能アルミ製二重床システム)

門前仲町データセンターを設計するにあたり、まず、最初に判断したのは空調機械装置の方式でした。
気象庁のデータによると東京都の平均気温は、100年間で3℃上昇しています。
空冷式は室外機 (熱交換器)が外気温の影響を受けやすいため、期待したとおりの冷房能力が得られるかという不安がありました。また、チラーによる冷房システムでは、室内への水漏れが懸念されます。

NTTPCが採用した方式は、空冷式と水冷式のメリットを併せ持った方式です。室内機と熱交換器の間はこれまでの空冷式と同様、冷媒ガスを使用しています。この方式の大きな特徴は、設備機械室に設置された熱交換器を水で冷却し、屋上の冷却塔で放熱するものです。室内へ水を引き込むこともありませんし、冷媒ガスを水で冷却するため外気温の影響も少なく、快適な室内環境を提供することできます。
また、門前仲町データセンターの大きな特徴は、スラブ高が5,500mmと、他のデータセンタービルより恵まれた設計になっています。この高さを利用してサーバーから発せられた熱を天井裏に閉じ込め、空調機へリターンする方式を採用することで、効率的なエアーフローを行っています。
また、これまでは電力設備や空調機械設備が注目され、スラブ許容荷重に関心が示されませんでした。
通常、データセンターでラックを利用する場合、その数が増えることに比例し利用コストも増えます。
当然ながらお客さまはできるだけ1つのラックに多くのICT機器を搭載し、利用ラック数を減らしたくなります。しかし、従来はスラブの許容荷重値が低く、このニーズを実現できるデータセンターは多くありませんでした。そのような中、当ビルのスラブ許容荷重値1.5t/m²は魅力的と言えます。
『高密度搭載』を真に実現できたことはデータセンター事業者として大きな意味がありました。

その他にも門前仲町DC (2-2エリア)には、低ノイズ型LED照明、奥行き1,000 mm~1,200 mmのラックに対しては架台工事が不要なFIT Floor® (高機能アルミ製二重床システム)をNTTPCのデンタセンターとして初めて採用した設備です。FIT Floor®は工事の簡略化だけでなく、廃材0 (ゼロ)のエコなフロアです。

東日本大震災が与えたもの

門前仲町データセンターが2009年にオープンして以来、幾度となくお客さまを案内してきました。これまでの説明内容は、ファシリティの冗長化、無給油による非常用発電機連続48時間といったような設備のスペックが中心でした。
ところが、2011年の東日本大震災 (M9.0)を経験して以降は、設備のスペックはもちろんですが、データセンターの所在・立地・防災対策等といった地震に関係する問合せが急増しました。

更に、データセンターの人員や運用体制に関しても質問を受けることもあります。そこにはデータセンターの利用形態を問わずアウトソースしているICT機器やデータが現実にどのように安全に運用管理されているかを今まで以上に確証したいというお客さまの強いニーズがあると考えています。

耐震構造と免震構造

東日本大震災以降、お客さまから建物の構造についてのご質問が増えました。
NTTPCのデータセンタービルには、「耐震設計」「免震設計」の2種類があります。過去の大規模地震に記憶として新しい、震度7を観測した1985年の阪神淡路大震災 (M7.3)ならびに2011年の東日本大震災 (M9.0)の地震でも新耐震基準で設計された建物において、崩壊したというケースは、ほとんど報告されていません。

ただし、建物の倒壊からは回避できても、建物内部の什器の転倒、外壁の落下、柱や梁の亀裂などが発生しています。

一方、免震設計は建物の固有周期を長くし、建物そのものに加わる力から回避することで、建物の揺れを大幅に低減します。建物本体に損傷を与えにくくするだけでなく、建物内部の什器の転倒、設備 (OA機器)などの移動を防ぐことができます。

※1981年以降に着工された建物

門前仲町データセンターで採用している免震装置

高減衰ゴム系積層ゴムおよび天然ゴム系積層ゴムを採用した免震建物です。

1階床下の免震ピットに計45台の免震装置を設置しています。建物の重量を支えると同時に、地震エネルギーを吸収します。

証明された安全性

2011年3月11日14時46分 日本を震撼させた東日本大震災 (M9.0)は、皮肉にも門前仲町データセンターの安全性を証明した出来事でした。

保全の商品化

クラウドサービスやクラウド技術が時代の主流になろうと、データセンターの使命はICT機器やネットワークへ障害を与えないことです。それらを支える基盤となるファシリティやその運用体制を維持・継続していくことは当然のことです。
設備は完成してスタートすると同時に老朽化が始まります。設備にはシンプルな構成ものや数多くの部品で構成されているもの、受注生産のため納期に長期間を要するものなどさまざまです。
また、一部の部品が故障した場合に多大な損失を与えるものもあります。いずれも、時間が経過するにつれ機能が低下することは避けられません。だからこそ、お客さまが期待しているスペックを維持できるための保全活動も商品としての価値があるわけです。

保全を行う方法として初歩的な活動と言えば「故障したら修理する事後保全」です。しかし、設備によってはお客さまへ大きな損失を与えるものもあります。
そこで行われるようになったのが「故障する前に部品を定期的に交換する予防保全」です。
更に見直されたのが、設備の定常運転状態を計測して、そのデータを元に故障の前ぶれを事前に察知して修理を行う「予知保全」といわれる方法です。この方法は定期点検で発見できるもの、毎日の巡回で発見できるもの、収集したデータ分析により発見できるものがあります。
それぞれの保全活動には、長所・短所があります。設備 (部品)の重要性を理解し、組み合わせて実施することが大切です。いずれの方法にも言えることは、日常の地道な保全活動を継続してこそ発見につながるものです。私たちは保全も商品の一つと考えています。

最後に

私たちにとって、省エネ対策は大きな課題です。近い将来、交流電源と比較して信頼性が高く、電力変換効率が20%アップとも言われている直流電源装置を導入することになるでしょう。
また空調システムにおいては、ラック当たりの発熱量が増加傾向にある中、設計思想が大きく変わるのではないかと考えています。例えば、空冷式から水冷式へ、全体冷房から個別冷房へという考え方です。空調機1台当たりの冷房能力が大きくなる程、故障した時のリスクも大きくなります。設計する上で、これまでになかったさまざまなリスクを考えなければなりません。

門前仲町データセンターには、高効率UPSや機器に影響を与えない低ノイズLED照明を導入しましたが、最も省エネ効果が期待できるのは、空調システムの温度コントロールだと考えています。
NTTPCはICT機器へ最適な室内環境を提供しつつ、更なる省エネに向けた取り組みを実施していきます。

私たちは、保全活動に使命感と責任感を感じ、お客さまが安心してお使いいただけるファシリティサービスをご提供できることを誇りに思い、これからもお客さまのニーズに応え続けるデータセンターを目指します。
ぜひ、データセンターの案内役として、また、ご相談相手としてお会いできる日を楽しみにしています。

データセンター見学をご希望の方はこちらをご覧ください。

執筆者プロフィール

データセンターのファシリティエンジニアとして、電力設備、空調機械設備などの設計から、お客さまのニーズ合ったLAN配線や電源ケーブル配線を含むラック設置工事に従事。特に、2012年9月にオープンした門前仲町データセンター (2-2エリア)、ならびに2013年4月オープン予定の勝どきデータセンター (5Fエリア)の設計には、さまざまな創意工夫が盛り込まれています。

また、保守運用業務にも従事しており、快適なサーバー環境をお客さまへ提供し続けています。

※「FIT Floor® (フィットフロア)」は、NTTファシリティーズの登録商標です。

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